パーフェクト・カップル

監督 マイク・ニコルズ 主演 ジョン・トラボルタ、エマ・トンプソン

パンちゃん(★★)(3月25日)
予告編を見たときはクリントンとヒラリーをモデルにした喜劇かと思いました。女遊びがとまらないクリントンをどうやってヒラリーが大統領に仕立てて行くか……。そんな映画だとばかり思っていた。
ところが、意外にもおおまじめな映画。クリントンとヒラリーに似ているのは単にジョン・トラボルタが女癖が悪くてエマ・トンプソンが苦しむ事くらい。あとはひたすらアメリカ大統領選挙の裏幕を丁寧に丁寧に描写している。
むむむむ、む。
そして、これは私などから見ると非常に奇妙なことなのだが、大統領選挙における「ことば」の重要性がくっきりと描かれていること。候補がどのようなレベルでどのようなことばを使い、どうやって国民に接近するか(支持を獲得するか)ということが、鮮やかに描かれている。アメリカ人が、どれほど「ことば」を大切にするか、重視するかということが描かれている。
こんなに「ことば」を信じてしまっていいのかなあ。
ことばを重視するあまり、ことばにならない部分、ことばにしなかった部分が隠されてしまうということにならないのかなあ。
映画は残念ながら、そうした部分にまでは踏み込んでいない。
それは結局、映像で語る部分が少ないということでもある。映像で考えさせるという作品になっていないということでもある。
問題作になりそうな作品なのに問題作にならず、娯楽以下に終わっているのは、そのへんか徹底していないためだと思う。
そのためジョン・トラボルタのクリントンの真似も単に上っ面をなぞっただけになってしまっている。せっかく髪を銀色に染め、腹を突き出し、声までアレルギーでかすれたふうな調子にしているのにねえ……。ご苦労さま。


panchan world
Movie index(映画採点簿の採録)