ビッグ・ヒット


イングマル(1月30日)
furukawa@joy.ne.jp
http://www.joy.ne.jp/furukawa/
率直に言って、余りのバカバカしさに思わずうれしくなってしまいました。正に、これぞB級!これぞバカ映画!
ジョン・ウー、チョウ・ユンファ、そしてジャッキー・チェンと、このところ香港パワーがハリウッドに新風を巻き起こしていますが、この作品もジョン・ウーがプロデュースし、ジャッキー・チェン主演「新ポリス・ストーリー」のカーク・ウォン監督を起用した香港流娯楽作品です。節操がないほど過剰なサービス精神は香港エンターテイメントの真骨頂ですね。とにかくバカさ加減が半端じゃありません。終始、ハイ・テンションで、「そんなわけねえだろう!」と思わずツッコミを入れたくなるようなナンセンスな場面の連続です。本当にバカバカしさを堪能できました。メイド・イン・ハリウッドの香港流ノン・ストップ・バカ映画といったところでしょうか。
「ブギーナイツ」のマーク・ウォールバーグが凄腕の殺し屋を演じてるんですけど、仕事は一流でも私生活では几帳面で気弱な、一筋縄ではいかないユニークなキャラクターを軽妙に体現しています。命懸けでレンタル・ビデオを返却する場面は爆笑ものでした。言っちゃ悪いけど、彼は典型的な“B級顔”だと思うんですよ。「ブギーナイツ」でも、あの安っぽい顔がポルノ男優といういかがわしい役にハマッていましたね。これからもB級映画での活躍を期待します。
しかし、この映画で最も際立っていたのは、何と言っても胡散臭いラテン男を演じたルー・ダイアモンド・フィリップスです。今までのイメージからは一変して、卑劣極まりない悪漢を怪演しています。彼の濃〜いキャラクターが香港流の泥臭いコテコテのエンターテイメントと見事にマッチしていました。
映画の内容はと言えば、日系企業の社長令嬢の誘拐事件の顛末を派手なアクションを交えてコミカルに描いているのですが、バカ映画ですから当然ながら日本人を誤解してます。これがまた笑えます。破産した日本人の社長が、相撲の回しをつけて切腹しようとする場面には絶句しましたが、ギャングのボスが話すたどたどしい日本語が余りにも間抜けで笑えました。日本人を誤解した映画には不愉快になることもありますが、ここまでひどいと腹立たしさを通り越して愉快になってきます。
カーク・ウォン監督の垢抜けない泥臭い演出も、いかにもB級っぽくて楽しめました。女優にひどい扱いをするところまで香港流でした。
ジョン・ウーが絡んだ作品としては、僕は「フェイス/オフ」や「リプレイスメント・キラー」よりもこの作品が好きだなあ。「ラッシュアワー」に話題をさらわれた感がありますが、バカ映画好きにはお薦めの作品です。


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