日陰のふたり


監督 マイケル・ウインターボトム 主演 クリストファー・エクルストン、ケイト・ウィンスレット
パンちゃん(★★★★)(9月12日)
ラストシーン近く、主人公の2人が再会する。子供の墓の近くで。彼らには3人の子供がいた。一番上の子供が下の2人を殺し、自分は自殺してしまった。自分たちがいるために、主人公の2人が幸福になれないのだと思い……。
そんなやりきれない過去を持つ2人。
男は「おれを愛しているか」と問う。「愛していると言ってくれ」と迫る。
答えはわかっている。女にも男にもわかっている。女は男を愛している。だが、言えない。一緒に暮らすことができない。
けっして実ることのない愛--とぎすまされて、傷ついてゆく愛--
映画を見おわったあと、その愛の純粋さ、傷の深さだけが浮かび上がる。何より悲しいのは、彼らは愛によって傷つくだけではなく、その愛がなければ生きてゆけないことだ。その愛をきっぱりあきらめることができれば、2人は傷つかない。もっと楽に生きてゆける。しかし、愛してしまうのだ。愛さずにはいられないのだ。しかも、愛しているとは言えないのだ。愛しているから。愛していると言えば、さらに二人はどうしようもない世界に落ちてゆくことがわかるからだ。
その苦しい選択のなかで、過去が蘇る。美しかった女。活き活きと輝き、喜びにあふれていた。男を誘う目。ことば。かろやかな動き。それはけっして消えることはない。
だが、それが消えないということの、何という悲惨、何という残酷、何という純粋。
それにしても、こんなに映画向きではない小説をよく映像にしたものだ。小説なら、愛の残酷さ、純粋さは読み返しながら納得できるが、映画では苦しい。その困難な仕事をした監督の力量は凄い。また、主人公(男)の演技力も凄い。マイケル・ウィンターボトム監督とクリストファー・エクルストンは、忘れることのできない二人だ。
ICI(★★★★★)(10月18日)
ici@venus.dtinet.or.jp
http://www.venus.dtinet.or.jp/~ici/
感動しました。
映像も美しかった。
かなりヒットしているみたいですが、もっともっと多くの人に見てほしいなあ、と思います。
痛ましいお話ですが、それでも生きてゆく二人の強さに爽快な何かがありました。
みなさん、映画館に行きましょう!
PS(全然関係ないことですみません)
パンちゃん(呼び捨てですみません。「パンちゃん」というお名前に「さん」をつけるのがヘンなので)が日記で書いていらっしゃる「愛人」って山下晴代さんだと思うのですが(10月5日の日記から)、ひょっとしてご夫婦なのですか?
全然違っていたらすみません。
笑い飛ばして下さい。

パンちゃんから。
「パンちゃん」というのは「パンダ」に「ちゃん」がついたものが、つまった形なんですねえ。自分で自分に「ちゃん」をつけて呼んでるんですよ。「愛人」がそう呼ぶもんですから。最近は「P(ピー)ちゃん」ってことの方がおおいんですけどね。まあ、許してやってください。
「愛人」のことはときどき聞かれます。まあ、私の一存(?)では何とも言えません。好きな風に想像してください。どんな風に思われても私はいっこうに気にしません。山下晴代さんは怒るかもしれませんが……。私は自分で自分に「ちゃん」をつけるくらい厚かましい人間ですので……。まあ、お近づきになれたらいいなあ、とは思っているんですけどね。


PANCHAN world