FACE


パンちゃん(2月24日)
犯罪と生活感を組み合わせた映画では、最近では『ファーゴ』を思い出すが、生活感の出し方がまったく違う。
アメリカ映画ではくすくすという感じだが、イギリス映画ではしっとりしている。
闇の色の感じいい。
(イギリスの黒の色そのものがアメリカ映画よりきれいだと私は思う。)
*
体調が悪かったので、まともな感想を書けるほどしっかり映画を見ていない。とても残念。
そん(2月15日)
福岡では2〜3日前から始まりました。遅いっつうの。でも、やってくれるだけましですね。今回はKBCも暖房効きすぎではなかった。
確かに単館上映では勿体ない作品です。
ロバート・カーライルが圧倒的に格好いい。文句なし。二枚目ではないいい男としては、現代イギリスNo.1じゃないかな。
理想に破れ犯罪に手を染めるやるせなさが、恋人とベッドインするときの切ない表情が、けがをしたアタマの弱い弟分を車の中で見つけて安堵する優しさが、全て最高に格好いい。ちびでやせっぽちでくしゃ顔でがに股なのに。
ストーリーはある意味よくある犯罪映画ですが、彼の魅力とセンスのある映像で引き込まれてしまいます。
こういう映画はつい破滅型のラストにしてしまいがちですが、苦くともハッピーな結末で本当に良かった。この女性監督は人間の体温を大切にしていていいですね。「司祭」と「マッド・ラブ」もぜひ観たい。
石橋 尚平(★★★★)(12月26日)
shohei@m4.people.or.jp
これも予想外の収穫。今のロンドンはフィルム・ノワールが妙に映える。いや、ブラック・フィルム(クィーンズ・イングリッシュで発音するべし)か。FACEなる強盗団の一員(デイブ)が、あのレイ・ウィンストンであるせいか(しかも彼には家族がある)、どうしてもロンドンの夜のシーンが傑作『ニル・バイ・マウス』の印象とも重なる。私はこの作品と『ニル・バイ・マウス』を合わせ鏡のように観ていた。ロンドンにはパブがある。郊外にはフラットが林立している。寒々しく寂しい夜が覆う。質素な生活ぶりの家族がある。暗く哀しい目つきがある。拗ねた目つきの娘がいる。追手から逃げる路地がある。年齢以上に老けてた容貌。根の折り目正しいまっとうさを残しながら抜けられない下級の生活。感情を暴発させながらも合理的に事を運ぼうとする性分。仲間との待ち合わせ場所が橋の上で(この後の粛清のシーンで背景に火が燃えていることに注意)、恋人との待ち合わせ場所が高速道路のサービスエリアだというのは犯罪映画として寸分の違いもない正解である。監督のアントニア・バードは女性なのだが、しかし、驚いた。犯罪映画の雰囲気を見事に消化しており、ロンドンの映画にしている。たいした手腕だ。アングロ・サクソンの瞬発力とも言うべき銀行強盗シーンの手際よさ。同じイギリス出身の映画監督の手による、この作品と一字違いの邦題がつけられた某マフィア映画が、ノワールの味が出せず、役者の能力に甘えて、凡庸な『男の友情映画』に堕落してしまったのと対照的である。R・カーライル演じるレイは、仲間のアパートでTVに映る犯罪映画を観て、『犯罪者がアップにならないから犯罪映画が嫌いだ』と呟く。そう、素晴らしい犯罪映画の魅力は、多くの登場人物がセリエAのピット内の選手たちのように、非常に美しい有機的な動きをするところにある。このセリフは犯罪映画のお手本としての皮肉だろう。私が彼を初めてスクリーンで観たのはケン・ローチの『リフ・ラフ』で、哀しい恋に終わる建設現場作業員の青年役に好印象を持った。『トレインスポッティング』は狂犬のようなイカれた役だったし、『フル・モンティ』は憎めない離婚した失業者の役だった。今度はG・バーンのような、どこか繊細さを残しながら、理性的に回避しようと努めるのに厄介事に巻き込まれていく犯罪者。素晴らしい役者だと思う。
ダグラス・タガミ(12月19日)
douglas@msc.biglobe.ne.jp
恵比寿ガーデンプレイス。クリスマス前に一人で行く場所じゃなかった。
電飾ツリーだらけ。カップルだらけ。影でチューも結構してました。
札幌出身の私は、雪の存在しないクリスマスでは盛り上がれない体質です。
さて、映画館は3割ほどの入り。そのうち、コジャレたカップルが8割。
ラブシートがある映画館。ソファもすばらしい。キレイでひろい。 最高の映画館です。最近評判のエゲレス映画ですが、はじめて観ます。
ロバート・カーライルを知りませんでした。しかし、一応、 犯罪、マフィア、ヤクザ映画が得意分野なので押さえておこうと。
前半の強盗シーンはキレの良い構図の写真を、細かいカット割でロック にのせて撮ってます。これは、エゲレス版レザボアドッグスかなぁと。
でも、そこはイギリス。犯罪の裏にも社会的問題や思想的問題が 絡んでくる。ちょっと、説教くさいなぁと。そして、残り十五分。
裏切り者を追いつめて、よくあるパータンでお終いかぁ、 と思ったらとんでもない。
ここからが「FACE」の本番だった。たった残り15分で 予想外の展開が始った!!そして、ドキドキ、ホロっと するラスト。んんん。こりゃ、たまらん。終わってみると 今年最後の映画にふさわしい、とてもよい映画でした。
自己嫌悪、優しさ、侠気、切なさ、すべてを表現した ロバート・カーライル。かっこいい。着てた衣装もかっこいい。
(ギャルソン+ラング)÷2って感じで、いいっす。
私の男優ランクNo.1にG.クルーニーを抜いて躍り出ました。
(短髪で自分にすこし似てるから。)
★★★★☆あげても良いです。女優さんもキレイだし。
半分の減点は、レイ(ロバート)が何故、犯罪に走ったかもう少し 入れてほしかったです。でも、よく出来た映画です。
何で単館上映なんでしょう??
まあ、レザボアもバウンドも最初はそうでしたけどね。



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