BRINGING OUT THE DEAD
JO(★★★)(2000年1月21日)
mitsuoka@x-stream.co.uk
賛否両論のスコセッシ最新作。結果は、どう見方を間違えたのか、自分には合わな
かった。
退屈かつ暗い内容をここまで引っ張った監督に敬意を払うが、イキの好いサントラを
がんがん流して、早送り等の面白い編集を流すたびに、つまらない話を一生懸命スタ
イリッシュに見せようとしているんだな、などと頭で考えてしまった。
パターン化した生活をそのままパターンで見せるのは芸が無い。そこから何か見い出
せれば良かったのだがニコラス・ケイジは始めから最後まで死にそうな顔を見せるだ
けで変化も成長も無い。それともそんな変わる事の無い地獄の日々を描くだけが目的
だったのなら成功してると言えよう。
ケイジは彼のパートナーたちと違い精神的に仕事に参っている。
だが彼は患者がかわいそうで仕方ない役のはずが、‘そんな自分がかわいそうで仕方
ない男’に見えてしまった。つまり主役に感情移入できない。これは多分、意図的で
はなく、たんに脚本とミスキャストのせいだろう。
GODFATHER 3 のソフィア・コッポラにも匹敵するヒロイン(ケイジの実の妻)の酷さに
もあきれる。 麻薬中毒から抜けきれない悲しい役に、もっと深みを出せる女優が欲
しかった。
トム・サイズモアだけは狂った役が見事だったので、彼に星一つとスコセッシに二
つ。