フェリシアの旅



とみい(2000年4月15日)
tominco@pop11.odn.ne.jp
癒しを求めていくと、足元をすくわれる。
観終わったあと、すごく嫌な気分になった。
どう見ても太った気のよさげな善人、という風体のボブホスキンスが世間知らずの少女とかかわって、その実像を徐々にあらわしていったとき、そこに描かれた「人に愛されたい」純粋さと狂気というものに、自分の心のなかにもある闇を突きつけられたような感覚を覚えた。
私も基本的にはいい人でありたい、と思って日頃行動している。
できるなら、なるべく人には嫌われたくないし、愛されたいとも思うが、自分を100%善人とはとても思えない。
そういう自覚があるからか、この映画は、ある意味で共感というよりは「理解」できたのだ。
そこらのホラーやスプラッタ映画より、よっぽど怖かった。
その「怖さ」を演出したエゴヤン監督は、、ただものではない。
(実は前作のスウィートヒヤアフターは、登場人物たちの心理が、あまりよく理解できなかったのだが…)
★★★★。