ブリスター


NEK(2000年9月10日)
★★★★
 イヤー最高っすよコレ。
 実は見る前は全く期待していなかったんですね。CM出身の監督が作るんだからどうせ絵が綺麗なだけのツマンネー作品かと思っていなんですよ。
 ところがどっこい。これがSF、ファンタジー、アクション、ビルドゥングロマス、ギャグがこれでもかとつまっていてしかもそれ程破綻を来していないという快作。
 否この映画が素晴らしいのはそうではない。何よりキャラクターが良いのだ。
 最近の邦画に出てくるキャラクター、特にTV、CM出身の人が監督したそれは、見た目はしゃれているが。内面描写が非常に浅い事が多い(例えばサイコキラーものなら決まって幼児期のトラウマが原因だとか、愛で全てを片付けてしまう奴とか)。それは究極の所自分が創造したキャラクターを信じていない、否愛していないからだ。だから最後の段階になると結局セリフか絵「だけ」でストーリーを進めてしまう。
 それは映画じゃない、朗読会、ミュージッククリップだ。
 この映画はそこが違う。未だ見ぬ幻のフィギュアのために恋人の財産迄も使い込む主人公、店の金を使い込んでデロリアンを買う馬鹿店長(大塚明夫は声だけでなく演技も上手かった)を含め全てのキャラクターに作り手が、共感を持っている。だから、世間一般から見ればどうしようも無いボンクラ達に見ている側も感情移入できるのだ。
 とは言え何故星5つでないかと言うと。個人的には終わりの方が若干不満が残るからだ。「『集める』より『創造する』方が尊い」それは一面では事実だ。だがそれはその能力があるものに許される言葉であってそうでない、創造する事が出来ない人間には有る意味侮辱ともとれる言葉、作り手の驕りではないかしらん。
 それと細部の詰めが若干甘かった事と、個人的にエンドクレジットが不満なので。
 結論:今年の邦画では、今の所これが一番かな