インサイダー


監督 マイケル・マン 出演 アル・パチーノ、ラッセル・クロウ

パンちゃん(★★★+★)(2000年6月11日)
ラッセル・クロウが非常におもしろい。
正義感がある、しかし正義感を押し通す力がない。力がないけれど、信念は守りたい。
矛盾しているというか、あいまいなままであるというか、揺れる感情を繊細に表現している。
『L.A.コンフィデンシャル』のときは、そのあいまいで暗い目がキム・ベイシンガーのこころを引き出していた。
今度は、その暗い目、あいまいな弱さがアル・パチーノのこころを引き出す。
アル・パチーノの演じている役所は正義感に燃えるニュース番組のプロデューサーだが、彼の本当の信念は、ラッセル・クロウが演じる告発者の弱さによって引き出される。
この、弱い者が他者の力を引き出しながら自分自身を強い者に変えて行く、強者を一層強い者に変えて行くという感じがおもしろい。
toto(2000年6月4日)
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/2808/
渋い、そして何とも男臭い映画なんだろう。「ヒート」でも感じられた男の世界が描かれている。
物語はじっくりと手を抜かずに進行する。実話を元に練りにねった脚本が素晴らしい。最近の娯楽作品とは一線を画す作風が見終わる頃には心地よい疲労感を味あわせてくれる。
アル・パチーノはその存在感が圧倒的にかっこいい。仕事に生きる一匹狼、頭の切れるプロフェッショナルという役柄は彼以外には考えられない。ラッセル・クロウも素晴らしい。「L.Aコンフィデンシャル」以来、注目していた俳優の一人だが、彼は21世紀のロバート・デ・ニーロになれるくらい俳優として素晴らしいものを持っていると思う。
主演の二人の組合せ、よく出来たストーリー、どれをとってもA級。欲を言えばもう少し華々しさがほしかった感じもするがこの世界こそがこの監督の持ち味。そういう意味では持ち味を最大限に生かした秀作といえる。(私の評価★★★★)