IN&OUT

監督 フランク・オズ 主演 ケビン・クライン、ジョーン・キューザック、マット・ディロン、トム・セレック

麗奈(12月29日)
reina@osula.com
私もこの映画は結構好きなんですが、やっぱりラストはちょっとくさい感じがしました。でも、ゲイをおちょくっているって言う風には考えたこともありませんでした。では、どのようにとらえたかというと、偶然この先生はゲイだったけど、でもここにいるだれでもがゲイであるかもしれないっていうことが言いたかったんじゃないかと。確かに彼が好かれている先生だからみんなが助けたのかもしれないけど、ゲイである人間が普通の人間として好かれることがあると言うことを描いていると思うのです。日本でもゲイは特別視されているかもしれませんが、オープンに見えるアメリカはもともとはキリスト教徒が作った国なんです。ですから、モラルの基本はユダヤ/キリスト教の教え、聖書の教えなんですね。その聖書の中に「同性の者が一緒に寝てはいけない」と書かれてます。そして、そうすることは罪であるとも書かれてます。また、旧訳聖書で神が滅ぼされた「ソドムとゴモラ」というい街の住人達は悪い人ばかりでそこに来た旅人(男)をみんなで(こっちも男達)レイプしたがったという話もあり、そのせいでその街は滅ぼされたと教えられてます。(個人的には、ゲイとか何とかより、レイプと言うこと自体が悪いことだったと私は思いますが...)。もちろん聖書を隅々まで読めば、その教えを100%守っている人なんて絶対にいる分けないのですが、この「ゲイ=罪」という意識は「殺人=罪」、「姦通=罪」と同じ感覚でとらえられている場合が多いのです。ですから、サンフランシスコやロス、ニューヨークのような大きな街でゲイが大きく受け入れられているように見えても、実際にはそうでもないわけです。私はオープンな性格に見られるのか「実は僕ゲイなんだ」みたいに打ち明けられる場合が多いのですが、その人達も他の人にわざわざ自分からゲイだなんていわない場合が多いんですよ(ロスでも)。友達がいなくなったり、職場で何となく周りが静かになっていったりっていうのが現状なんです。だから、最後のシーンでみんなが受け入れてくれることに意義があると思うんですけどね〜。
そん(12月28日)
私もパンちゃんと同じ日に同じところで観たんですよ。13:45からの回。ひょっとしてご一緒だったかも?? で、感想。ほとんどパンちゃんと同じになっちゃいます。せっかくいい感じですすんだ話が、卒業式のシーンで生硬に・・・・。教え子達に助けられてぼけーとしているケビンが歯がゆくてしょうがなかった。 最後の“マッチョマ〜ン♪”なダンスシーンはまた良かっただけに、ねえ。 あとひとつ。ジョーン・キューザックがいい!!マット・ディロンとの車のシーンはじーんときてしまいました。えらそうな言い方ですが、ああいう人にはホントに幸せになって欲しい。 それにしてもケビンのさりげないゲイ演技はいくら誉めても誉めたりないっ!これだけでも観る価値ありです。 あ、ケビンとトム・セレックのキスシーンはMTVアワードのベスト・キス賞にノミネートされているそうな。
しーくん(★★★+☆)(12月28日)
kanpoh1@dus.sun-ip.or.jp
パンちゃんとだいたい同じ感想です。最初は本当におもしろかったです。アカデミー賞をパロディにしているところなんて最高!もうニヤニヤしながら観てました。直接の英訳は知らないけれど、”S.セガールの『沈黙の変態』”は場内大爆笑でした。予告編以外の知識は全然無かっただけに、結婚式での意外な展開には”おおっ”となったし(場内もあちらこちらで「ええっ?」という 声が聞こえた)、ケビン・クラインとトム・セレックの長〜〜いブチューーもGOOD!普通私はこういうシーンを見ると吐き気をもよおすんだけれど、それが無かった。婚約者のジョン・キューザックもいい味出していましたねえ。でも、やっぱり最後が・・・・・・しかし、後方に座っていたおじさんが最初から大声で笑いっぱなしで、最後は手をたたき出す始末!つられて場内は大爆笑!作品自体は傑作になりそこねたけれど、このオジサンのおかげでとてもなごやかな雰囲気になり、私としては今年最後の見納めをすることが出来たのでした。(☆はこのオジサンに・・・)
パンちゃん(★★★)(12月26日)
ケビン・クラインのゲイ、じゃなかった芸が楽しめます。この役者は、間合いがとてもいい。
教え子の俳優にアカデミー賞授賞式に「先生はゲイだ」とテレビで全国放送されて、どたばたが始まるのだけれど、そのゲイぶりが非常にすっきりしている。笑いを引き起こすけれど、下品じゃない。奇妙な品がある。
「男養成講座」のテープを聞きながら、ダンスしてはいけないのにダンスしてしまうシーンの軽やかさがいい。へたなダンスだと品が落ちるが、とてもいい感じで踊っている。媚びがない。踊る楽しさが体からあふれている。
トム・セレックとのキスシーンの足の動きも傑作。おもわずゲイの本性(?)があらわれるシーンなのだが、しつこさがないところがいい。
ゲイという特別な人間ではなく、一人の生きている人間の味がある。
ケビン・クラインは喜劇役者の部類に入るのだろうが、非常に知的な人間だと感じさせるものがある。知性の輝き、美しさを自然に感じさせるものがある。
問題は、卒業式のシーン。ゲイであるかどうかは問題ではない、人間にとって重要な問題ではない、ということをメッセージとして伝えるシーンなのだが、あまりに教科書的。
せっかくそれまで軽い乗りで描いてきたのに、最後で急に教科書的になるので、嘘っぽく感じられる。
ゲイであることは個人の問題なのだが、最後の瞬間に、ゲイを受け入れることができるかどうか、という社会の問題に視点がずれてしまう。
それも社会的に愛されるゲイであるなら、それはかまわない、というような感じに……。
あれれ、違うんじゃないかなあ。
他人に愛されようが愛されまいが、そんなことは個人の尊厳とは関係ないことだ。たとえ社会から愛されなくても、人はゲイであってかまわないはずだけれど、その点がなんだかごまかされている。
このあたりのごまかしは、ケビン・クラインの扱いにもあらわれている。
卒業式のシーンでは肝心のケビン・クラインが全体を引き締める演技をしていない、全体を引き締める役割を果たしていない。飾り物になっている。単なる弱者、社会から救済される人間として扱われている。
これでは結局、ゲイである人間へのおちょくりになってしまう。
最初の方にアカデミー賞のおちょくりが出てくるが、それと同じようにとは言わないけれど、ここではやっぱりゲイはおちょくりの対象に成り下がっている。ゲイでない人間がまっとうであり、そういった社会がゲイを救うのだ、というふうに扱われてしまっている。
最後の最後で、知的な映画の知的な部分が崩れてしまった。傑作になりそこねた作品だ。
きり(★★★★★)(11月4日)
noriko@sec.cpg.sony.co.jp
東京国際映画祭にて観てきました。
GAYであることをカミングアウトする!(違ったかな?)ていう映画だったんだけど、とお〜〜っても面白かった!
バンバン手を叩いてげらげら笑いながら観た映画は久しぶり。
ケビン・クラインはもちろんのこと、ジョーン・キューザックも、マット・ディロンも、その他の人も皆面白かった。
一つ嬉しかったのは、アメリカの人もやっぱり「アカデミーナイト」をあんな風に楽しみにして見ているものなのかぁ〜ということ。
なあんだ、同じなのね。と嬉しくなった。
しかし、GAYであるということは未だにそんな目で見られてしまうものなんだろうか・・・。田舎町ではまだ、そうたやすく受け入れられないものなのかなぁ・・・?
アカデミー賞を小馬鹿にしているところが、めっちゃめちゃ面白かった。
必見です!