ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒


監督 金子修介 主演 中山 忍、前田 愛、藤谷文子、山崎千里、手塚とおる

TAKO’S(★★★★★)(4月5日)
tako-s@ba2.so-net.ne.jp
 魅せる特撮はココにある。まとまりは前作、前々作以上とは言えないけれど、世界に誇るべき日本の映画であることには変わりなし。
 「最後」という意識があったのか膨れ上がった話がまとまらずに散漫になった感じはある。最近のなんでも風水的な状況が個人的には好きではないのでそのあたりを端折ってスッキリさせて欲しかった。白虎と青龍出てこないと中途半端な気がするし。
 ドラマ部分は前田愛に他の役者が全て食われた感じ。濡れ場(違)が多いせいか、しっとりした演技に見える前田愛だけが映えまくる。監督の意図通りだとしたら凄いんだけど...(安藤希の出番が少なかったのは勿体ない...(笑))
 山咲千里の選ばれざるモノの悲しみが薄く感じたのも残念。前田愛と2人になった時にそんなシーンがあっても良かったんだけど。気持ち悪さしか伝わらない手塚とおると合わせて、この2人の「地球のゆりかえし系話」は元警部補役の螢雪次朗にさらっと語らせたほうがシンプルで重みが出そうに思うくらい。
 同じコンセプトで放送を連ねているウルトラマンガイアと比較されるとさらにツラい...
 特撮は最高。点数の★の数は「片手の自由を奪われたガメラのメンチの切り方」が最高のカタルシスを与えてくれたからこそ。これぞ怪獣映画!!
 夜景の上で行われる空中戦のスピード感と格好良さはカメラワークに規制が無いアニメも手掛けている樋口特技監督だからこそか。USAゴジラのスビードを感じないヘリやなんの感慨もない戦闘機の見せ方とは段違い。
 USAゴジラは「実はゴジラと呼んでいたモノは全長350mの本物のゴジラのお口直しでしかなかった」とかで続編を作って欲しい。
 あ、渋谷で爆風に飛ばされる人間達の絵も良かったです!
 で、終末思想のキャラを亡き者にすることにより、終末に向かう状況にほんの少し希望を含ませて終わるのだけども...
 まる2時間、特撮だけの続編が欲しい。もうストーリなんか語らなくても十分。傷つきボロボロになっていくガメラの最後の生き様と、人智の届かない戦いに生きるために向かっていく人間の様子だけを描いた続編が見たいのは自分だけかなぁ...って、これで最後でも次で最後でもガメラが無くなるのは困るんだけど。
 しかし、一番吠えていたのはザ・ワイドのコメンテーターで登場していた小沢遼子さんだった。そのまんま、すごい存在感!
狗東西(★★★★★+!!!)(3月10日)
ri4s-armz@asahi-net.or.jp
http://www.asahi-net.or.jp/~ri4s-armz/
 素晴らしい。こんなに感動した映画は初めてだ。
 序盤の渋谷壊滅シーン、1万人を超える死者を出すことになる、(人間に対する)破壊神としてのガメラの行動。驚く。
 終盤の、助けを求める1人の少女の叫びにこたえてイリスを葬り去る、人と共感する存在として戦うガメラ。圧倒される。
 ラストシーン、死闘を終えた後にもかかわらず、世界中から集まってくるギャオスと戦うべく、傷ついた体を奮い起こし、炎の中に消えていくガメラ。しびれる。
 人のドラマ、かたくなな少女が、最後は素直にわびて泣きじゃくる。救ったのは、やはり周囲(少年やガメラ)の温かい心。愛。
 怪獣映画のシンプルなエッセンスを、きっちり押さえた作り。映像も精緻。これを見たあとでは、確かにハリウッド版ゴジラなど子供だましにしか見えない。
 民主主義のような社会システムが、生まれ育った地以外では、本場ほどにうまく機能しないように、また、私の好きなサッカーで言えば、発祥の地たるヨーロッパ列強には、ブラジル、アルゼンチン以外の国はなかなか勝てないように(この2国とて、主にヨーロッパからの移民の国だ)、長い伝統を持つ本家というものの、簡単に追随を許さない奥の深さを見せてもらった。
 やはり、怪獣映画の本場は日本。「正宗」のキレに心から酔った。この作品を世に送り出してくれたスタッフに感謝したい。
P.S.
 キャストを見て。「回想の綾奈 前田亜季」。全然似ているとは思わなかった2人だけど、こうしてみると、やはり血を分けた姉妹かな(それでも姉の方が好み)。そういえば、“お守り役”たる津川雅彦も出演していたっけ。
太田(★★★★★)(3月8日)
nota@gb3.so-net.ne.jp
前2作に比べ登場人物に気持ちを入れやすいお話で、さらに、ガメラにも感情移入できました。
前の2つもいいですが、こういう怪獣映画も大好きです。
主人公綾奈が、どれだけガメラを憎んでいたかを前田愛さんに上手く見せてもらいました(重い一言でグッときてしまいました)。
後半、主要人物が多くなり、画面がちょっと落ち着かないようにも感じましたが、各々の思いがわかるのでマイナス点にはなりませんでした。
本編も特撮(カッコいい!)も良くできた、良質の怪獣映画だと思います。
パニック映画と言われていますが、そういったシーンも感情移入の材料として上手く使われていたと思います。
***
倉田真也の死に方は少しジョジョ(漫画)っぽかったような…。
立花(★★★★★)(3月7日)
USA版ゴジラの20分の1の製作費で作られた『ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒』は USA版ゴジラの20倍面白い!!要はセンスの問題。とにかく全てにおいて、今まで 見たこともない怪獣映画になっている。次はどうなるか?どんな場面が飛び出すか?
ワクワクドキドキするうちに1時間48分が過ぎてしまった。これまた予想もつかない ラストに「エーッ!もう終わっちゃうの?」である。
圧巻は前半の渋谷壊滅シーン。なにげない日常に”怪獣”という非日常がなにげなく侵入 して来る淡々とした描写にはゾクゾクしました。怪獣同士のバトルが始まっても映像の 視点はあくまで渋谷を歩いている人、普通だったらただの怪獣どうしの”お相撲”になって 渋谷を歩く人と怪獣は分離してしまう。ところがこの映画の場合この時になっても 視点は渋谷の通行人のまんまだから怪獣同士のバトルはビルの陰になって良く”見えない”のです。
だからこそ、リアルに”見える”。まるで自分がその現場に立ち合ってるように。
人間ドラマのほうも高密度です。
途中から見たら「これ、ホントに怪獣映画?」と思ってしまうほどです。
怪獣と日常のドラマをいかに地続きさせるかに徹底的にこだわってます。
妙にエロティックで幻想的な数々のシーン。(観てのお楽しみ)
それと、USAゴジラにはないウエットなタッチがたまりません。
USA版は終始雨が降ってたけどそんなことしてもウエット感は出せないのだ。
怪獣映画はやはりメイド・イン・ジャパンに限ります。
初日の今日、観たのはナント朝7時40分の回。映画の中で壊滅する渋谷シネタワー。
金子監督、樋口特技監督、中山忍、前田愛etcの舞台挨拶を観るためです。
早朝にもかかわらず開映20分前で劇場内は”超”のつく立ち見(?)。
こりゃマイったな!と思いつつやはり簡単にあきらめちゃいけないですね、
目立たない隅の方に階段が・・・・登ると、こじんまりした2階席があって20席 くらい空いてました。
気付かないまま立ち見をした人は沢山いたけど、にもかかわらず劇場側で敢えて 立ち見客を誘導しなかったのはパニックを恐れたからでしょうか?
演技することと舞台挨拶は勝手が違うみたいで女優さん達は妙に緊張してて 気の利いたセリフひとつ言えないところが可愛かったです。
その中にあって樋口監督だけは大きな体で吼えまくってひとりでウケをとってました。 ただ単に凝ってるだけでなくパワフルでカッコイイ特撮はこの人だからできるんだなぁ。 と妙に納得してしまいました。
「試写会の舞台挨拶は慣れましたが、お金を払って観に来てくれているお客さんの前だとビビリます。」 の言葉が印象的でした。
ところで、数々の賞を獲り、作品のクオリティも高い平成ガメラ・シリーズは意外と興行成績が ふるわずゴジラ(日本版)の半分以下の成績です。一般の人にすればやはりゴジラに較べると キャラクターの知名度の低さと「どうせ、日本の怪獣映画なんて子供だまし・・・・」みたいな 印象があるのかも知れませんね。そのためガメラ2から3の間はなかなか製作のGOサインが 出ずに3年かかってます。(スター・ウオーズはあれは異常すぎ!)次回作を期待している私と しては言いたいとこがあります。
「USAゴジラを観て、JAPANガメラを観ないなんて、そんな・・・・」
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