佐野史郎第1回監督作品『カラオケ』
みさきたまゑ(★★)(1999年7月4日)
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佐野史郎も北野武のような「構図の監督」なのか? 登場人物を横1線に並べて
みたりとか。途方に暮れる表情の二人を真正面から撮ってみたり、繰り返される踏み
切りでのシーンなどで、そんな印象を受けた。
カラオケはわたしも好きで、よく行くんだけど、あの頃の歌は本当によかった。でも
野口五郎は歌手だからまあいいとして他の役者がおんち(わざとか!)なので、だん
だん苦痛になっていくのであった。まいったなあ。
黒田福美もちょっと必要以上に色っぽすぎないか? あそこまで色っぽい出戻りでは
別の展開を想像させてしまってやばい。ま、いいか。
当時の回想ついでに、もう一つ段田がぎっくり腰でびっこひいて歩いているのを見た
ら、『赤頭巾ちゃん気をつけて』で岡田裕介がゴム長をひきずってるとこも思い出し
てしまった。引用か?
最後の方の小道具に<わたしの1冊>ともいうべき寺山修司の『さよならの城』
(それもオリジナル。当時のまんまの新書館刊)がまさか登場するとはびっくりで
あった。包みの大きさから、ひょっとして……とは思いましたがね。いやあ、まさ
か、まさかです。わたしはこの本を中学の時に豊橋で買って、それから詩を読んだり
書いたりする人になろうと思ったりもしたわけなのだよ。感無量。
『戦争は知らない』はわたしははしだのりひこの方を覚えていたな。まったくわ
たしは歩く昭和歌謡大全集というか、当時の歌はカラオケなんぞがなかったせいで、
歌詞など全部覚えているのだ。みんな一緒か。カルメンマキの名前の横に作詞寺山修
司というクレジットも欲しかったところ。