コンタクト


監督 ロバート・ゼメキス 主演 ジョディ・フォスター
あまんだ・ら・かまんだら(★★★と半分)(9月10日)
amanda@mbox.kyoto-inet.or.jp
body: 久々の試写会に当たって、公開より一足先に8/30に見てきました。上映時間が2時間30分もあったのでちょっとオシリが痛かったです。
私の方は映画本編より予告の新作映画に出ていたスタートレックのピカード艦長役をしているパトリック・スチュアートに興奮して、“コンタクト”の本編でも主役のジョディより悪役の博士が、これまたお気に入りのUSAドラマ、ピケットフェンスの主役の保安官の俳優さんだったので、そちらの方が気になってしまいました。
関西にはストーリーを全部しゃべってくれる「浜村淳」がいますが映画ファンには不評なので、ここでラストは言わない方がいいのかな?あらすじは予告編批評の大関さんの紹介をご覧ください。
パンちゃんさんの言うとおり、ジョディの顔やせというか、年齢が顔に出てきたなぁ〜というのが第一印象でした。
『10年に1度の傑作』がキャッチコピーの超話題作ということでしたが、面白さ/エンターテイメントを期待していた私は見事に裏切られました。
息をつかせぬアクションの連続!というのではないので、ワクワク&ドキドキ&ハラハラというより、ボディブローのようにじっくり感動し、鑑賞する映画に仕上がっています。
とはいえ、数々の妨害に負けず、がんばるジョディの役に感情移入してついつい応援し、上司?のえらい博士が心から憎くなり、最後に夢を実現するジョディには拍手喝采。
宇宙人とのコンタクトのシーンはメルヘンタッチすぎて物足りなかったし、北海道が舞台になったシーンではジョディはユカタを着ていて、部屋にはミスマッチの掛け軸が掛けてあり、日本のスタッフは深々とおじぎをする(会場内で笑いが起きた)など未だに残るアメリカでの典型的な日本人の描写には閉口したけれど、ファンにとってはジョディが大活躍ってことで満足できるかも。
結局『夢』で片づけられたジョディの旅が、政府の女性高官の最後の一言によって救われ、未来に含みを持たせたラストは、あまりにもあっさりしすぎていたような気がするけど、まぁいいか・・・という感じです。
クリントンの演説シーンが実に上手く、ストーリーにはまっているのは(合成シーンは笑えるけれど)さすが!思ってしまいました。SFマニアには物足りないかもしれないけどジョディのファンにはお勧めです。
改めてジョディはカッコいい!上手い!アカデミー賞いけるかも!と納得した私です。
個人的には★★★と半分です。お金払って絶対見に行くべし!とはいいきれないのがツライです・・・・。
淡々としたストーリー展開なので寝てしまう人がいるかも知れません・・・これを見るときは睡眠を十分とってから。でないとスピィーディーなクライマックスを見逃してしまいます。

パンちゃん(★★★)(9月14日)
うーん、こまった。予想をはるかに超えてつまらない。
まず一番いけないのが、ゼメキス監督が「フォレスト・ガンプ」の自己模倣をしていること。
クリントン大統領や実在のコメディアンを出せば「創作」が「真実」にかわるわけではない。逆だ。「実在」の人物が登場すれば登場するほど、そこに描かれている世界は「嘘」になってしまう。
「フォレスト・ガンプ」は嘘の世界だったからこそ、「実在」の人間が必要だった。「実在」の人物によって、嘘が引き立ち、笑いが生まれ、嘘のなかに存在する「真実(大切なもの)」が浮かび上がった。
監督は、この点をまったく勘違いしている。
宇宙からの電波を受け取り、それから宇宙船を作り上げるまでの「科学」の部分も非常につまらない。ぜんぜんわくわくしない。人間同志の闘争が前面に出て、「科学」の面白さに欠ける。
たとえば『未知との遭遇』のシェービングクリームで目印の山を作ってみようとするシーン、家のなかに土や木々を持ち込んで山を作るシーン--その不可思議な熱意のようなものが『コンタクト』には欠けている。
あるいは『アポロ13』の計算尺のシーン、ヒューストンのスタッフの熱意のようなものが手触りとしてまったく伝わってこない。
これでは「科学的」興奮が味わえない。「コンタクト」という興奮が伝わらない。
ジョディー・フォスターは確かに熱演しているが、これではどうしようもない。ベッドシーンもファンサービスのつもりかもしれないが、何の必然性もないシーンだし、ベッドシーンをとるのなら、ちゃんとヌードを見せなさい。手抜きをしてはダメ。
カール・セーガンは、この映画を見ずに死んで、幸運だった。見たら怒るぞ、きっと。
じゅんこ(★★★★)(9月14日)
junko003@eis.or.jp
http://www.eis.or.jp/muse/junko003/index.htm
こんばんわ、パンちゃん。最近体が弱くてまた熱を出してしまいました。その熱をおして見てきたよ〜のコンタクト。
ちょっとボーっとしているので、アトランタの大関さんにメールしたのと同じ感想だけど、許してください。
結論からいうと面白かったです。あまりのボリューム感というかなんというか、1800円ぶんはバッチリ内容あったと思います。
(ついでに「Seven Years In Tibet」の予告も見てしまった。アクションとか派手なSFXばっかなのであまりに渋い、というか直球ストレートに「映画」していてかえって目立つか?いづれにしてもブラピ・ファンの私は幸せ。)
まあ、北海道のシーンは確かにちょいと笑ってしまいましたが(おじぎするジョディー…) あの程度ならばまだ許容範囲か?(それにあのジョディーの部屋は「失楽園」でふたりが心中したホテルにどことなく似ている。ああいう日本映画が誤解を増長するのかも)
それよりアメリカにとっての日本の軍事的位置付けみたいなものが見えるようで興味深かったです。(つまり北海道 のあの場所にというのが。しかもミールからその情報が入るところとか)
結末が最後までぜ〜んぜん見えなくて、こ、この映画これからどーするつもりだ?とたかが映画、されど映画で結構興奮+動揺しました。
ちょっとお尻も頭もしびれますが、基本的にエンターテインメントで、誰かが言ってい たけれど「IQの高いイベント・ムービー」と言った趣。
蛇足ですが、マシュー・マコノヒー、彼の話し方、あれは南部訛り?なのかな?宗教学者というより「テルマ&ルイーズ」でブラッド・ピットが演じた詐欺師のようで(声が似ている)、男性をよく 知らない秀才のジョディー・フォスターを騙して利用して研究資金を持ち逃げしそうでしたねえ(笑)。
でも、宗教と科学の折り合いを、どうつけるのかと思っていたので、その点でちょいと関心しました。おお、そうくるか!と。まあ、きれい事なのかもしれないけれど、 そうだなあ、大学生くらいの観客が多かったのですが、高校生とか中学生とかもう少 し若いひとにおすすめですね。未来に希望がある感じで。
Masa Ozeki (★★★★★)(9月15日)
masa@atl.mindspring.com
http://www.atl.mindspring.com/~masa/
こんにちは。以前予告編コーナーでこの作品を諸手を挙げて推奨したMasa Ozekiです 。今、パンちゃんの厳しぃ〜い感想を読んで、ちょっと立場がなかったりするのです が、賞賛した手前もあり、少しこの作品の魅力を書いてみたいと思います。
まず、確かにこの映画はアラを探すと結構あります。例えば、実在の人物を登場させ て現実と虚構との境界をあいまいにしているが為に私も作品の「嘘」の部分に過敏に 反応してしまったし、NASAで建造中のマシーンが爆破されるシーンは悲劇的とい うよりはギャグにしか受け取れない展開で失笑してしまうし、大富豪ハッデン氏がミ ョーに胡散臭いし(でも、彼は狂言回しの役で、私は結構好きだったりする)、マコ ナヘー演じる宗教学者はちっとも敬虔深く見えないし、そもそもエリーとの恋愛関係 があまりにあっけなく成立しちゃうのは許せなかったですね。でも、この辺はあくま で細部だと思って、無視するくらいでいいと思います。
この映画の中盤では、宇宙からの電波を受信し、その解読に寝食を削っている科学者 の一団と、それとは無関係に始まる政治的、宗教的、社会的な一大ブームというか、 お祭り騒ぎの両方を追っかけて行きます。それぞれに興味深いこの2つの方向性をな んとか一つの映画の中に織り込もうという欲張った試みですが、広範な視点、論点を 観客に提供して考えのきっかけにしてもらおうという意図は成功していると思うし、 エンターテイメントとして面白く観られました。この点、啓蒙家であるカール・セー ガン博士の意図は十分反映されていると思います。
確かに作品中では、どちらかというと宗教と科学の対立図式により強調がおかれてい て、その分、新発見に驚き、歓喜する科学者達の感動というものが押さえ気味になっ ている感じはしました。でも、ここは詳細に各シーンを検討していくと、そういった 発見の喜び、興奮というものはあちこちから伝わってきます。例えば、素数からなる 信号の発見を報告する際の、「数学こそが宇宙において唯一普遍の言葉なのよ」 ("Mathmatics is the only truly universal language, sir.")といい切るエリーの毅 然とした言葉には、今自分達が捕らえた事実に対する重みの認識、その秘密を解こう と全力を傾ける彼らの中にある絶対への自信、そして少しの傲慢が隠れている思いま す。
それから、クライマックスの浜辺のシーンについて。最新の特殊効果を使った映像の 美しさもさることながら、そのイメージが暗示する世界観には無限の広がりすら感じ られました。これについては詳しく書くとネ タばらしになるのでここを参照してください。
この作品については、未だに新しい発見があって、まだまだ鑑賞後の余韻が続いてい ます。上述の幾つかのポイントは、そういう発見のほんの幾つかだと思っていただけ ればと思います。そんな嬉しい発見、感動のきっかけがふんだんに盛り込まれた名作 というのは人それぞれなのでしょうが、本作もそういう名作になれるだけのポテンシ ャルを十分に備えていると思います。
とかげ王(★★★★)(9月23日)
lizard@osk2.3web.ne.jp
http://www2.osk.3web.ne.jp/~lizard/
地球外知的生命体とのコンタクトを通じて、科学と宗教の対立という重々しいテーマを扱ったこの作品には随分期待をして見に行った。しかしこの映画にはツッコミを入れたいところがいっぱいある。
まず、M・マコノヒー演ずる俗化した神学者のリアリティのなさ。まさに俗を絵に描いたようなキャラクターでどうしてこんな人間を政府が重用するのか分からないし、アロウェイと恋仲になる必然性もどこにもない。
まるでとってつけたような恋愛エピソードだ。
異星人の存在を信じ続け、研究資金を調達するため自ら走り回るアロウェイと、一旦地球外知的生命体の存在が確認されるや、それまで研究に懐疑的だった科学者が手柄を横取りしようとするエピソードなどは実にリアリティがあって、見てる方も引き込まれた。
脚本もかなりの出来栄えだと言って過言でないだろう。しかし、作品の核であるクライマックスの陳腐さと言ったら、もうガッカリを通り越してあきれてしまった。
パンちゃんのご指摘のように、故カール・セーガン氏も草葉の陰で泣いているだろう。
ジョディの役作りに関しては完璧と言っていいと思う。
幼い頃に父親と死に別れた深い悲しみを湛えた瞳と、知的好奇心で星空を見上げる情熱的な科学者としての姿を実に上手く演じている。それだけに不必要なエピソードや陳腐なラストは非常に惜しく感じられる。
ジェームズ・ウッズ演じる大統領補佐官役も実に陰険で、いい敵役だと言える。もっとメインに持って来ていいキャラクターだったのではないだろうか。
あと、クリントンの登場シーンはまるまる削ったほうが良いのではないかと思う。話題作りの為の演出以外の何者でもない気がする。観ていて不愉快だった。
宇宙船の設計図をアロウェイではなくパトロン氏が解読してしまうというのも何が目的の演出家わからないし、そのマシーンを爆破するキリスト教ファンダメンタリストのテロリスト(ジョニー・ウィンターに似てると思ったのは私だけだろうか?)が簡単に進入してしまうというのも、そんなに簡単に行くのかなっと感じた。巨費を投じた国家事業なんだから、テロ対策は万全な筈である。
もっともアロウェイが搭乗員に選ばれなかった時点で、「これは殺されるなあ」と思ってしまったが。
随分悪口を書いたが、この映画には強い思い入れを感じる。映画が終わって幕が閉まり、それから何日も経っているが、私の中ではまだ映画は続いている。
久しぶりに「好きだから苛めたくなる」映画に出会えた。


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