クロスファイア
裕也(2000年6月25日)
本当は何の力もないのに、親が有名という理由だけでどんな残虐な殺人を犯しても何の罪にもかからず、影でほくそえんでいる少年グループを人に心を開けない悲劇の主人公が怒りの炎で焼き尽くす、主人公の特性を活かす設定は整っているし、特殊効果も頑張っている。一人の会社員に主人公が徐々に心を開いていく過程もた堯垢両歡d「淵掘璽鵑忘未蕕譴討い憧尭暗泪\r\n難点はち鞍召離汽好撻鵐好侫襪陛験C鬟薀好箸ホB級アクション映画的な見せ方で全てだめにしてしまっているところ。結局ガーディアンって何だったの?主人公以外のキャラも活かしきれていない気がする。星三つ。
有水 伸一(Arimizu,Shinichi)(★★★★☆)(2000年6月21日)
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それにしても、ストーリーの設定があまりにタイムリー。登場する人物は、少
年法(とプラスアルファ)に守られていることを知り尽くして犯罪を繰り返す少
年の集団、その集団に妹を殺されながら、加害者に制裁を加える何の権利もない
ことに無力感をかみしめる会社員、モラルなきマスコミ人……などなどである。
悪の頂点に位置する巨魁として登場するのは、正義感のかけらもなくしてしま
った警視庁の部長。それは、法を通用させない社会上層の無法者。それに対する
主人公は、「炎の超能力者」である女性。法に触れずに、無法者に制裁を加えら
れる力を持つ彼女は、子供のころから今まで封じてきた自分の感情を解き放ち、
その悲しみと怒りを、法で裁けない社会の無法者たちに炎としてぶつけていく。
そして、悪党たちを焼き尽くしたその炎は、やがては自分自身も焼き尽くしてし
まうことになる。
警視庁の一室で、社会に対する怒りから炎をまき散らしてしまい、社会のおき
てには従わない、自分の感情に素直に生きる道を見つける、と宣言する彼女が印
象的。
ラスト、彼女は、どうにもならない世の中で1人、自分のことを思って支えて
くれた会社員に対して、感謝の言葉を述べながら、炎の中に消えていく。一方、
勝ち残ったかに見えた警視庁部長は、その後のうそ八百の記者会見のさなかに、
1人生き残った別の超能力者の少女の力で焼き尽くされ、悲劇の作品はわずかに
溜飲を下げる。
この結末は、映画だからか。現実の社会では、きっとこういう悪漢は堂々と跋
扈したままで、弱い者は弱い者のままなのであろう。
ラスト近く、丸腰の女性と少女とを、警視庁部長が取り囲んだ警官隊に射殺す
るよう命令し、「し、しかし……」といって部下の警官たちが抵抗する場面があ
るが、今のご時世の警官たちなら、「撃て」と命令があれば、何も考えずに素直
に撃っているような気もした。