マーシャル・ロー


監督 エドワード・ズウィック 出演 デンゼル・ワシントン、アネット・ベニング、ブルース・ウィリス

竜崎麗香(2001年2月14日)
★★★★
 今更ですが、やっとビデオで見ることができました。派手なCMを見て、アクション映画かと誤解したまま見続けて、後半になってやっと、社会派作品であることに気付いたマヌケな私でした(汗)が、思わぬ拾い物をした気分です。 うーん、扱っている題材は大変おもしろい。
 「『人権』は果たして普遍的なものか」というテーマを、日常生活の中で考えることが多いのですが、「国家」と「人権」の関係について、改めて考えさせてくれた作品でした。私は、国家は人権を守るために存在するものだと思っているので、国家のために人権を抑圧するのは本末転倒だと感じます。なので、デンゼル・ワシントンがブルース・ウィルスに対して見得を切る最後のシーンは、鳥肌が立つくらい良かった。
 また、テロリストの「世界の指導者ぶってるおまえらに思い知らせてやる」というセリフは、皮肉が効いていていいですね。大きくうなずいちゃいました(笑)。
 アメリカが抱える人種対立の問題も興味深かった。アメリカは「人種のるつぼ(とけあっている)」ではなく「サラダボール(サラダの中味のように、けして溶け合うことなくそれぞれが独立している)」であるという説を改めて想起してしまいました。
 一方、前半はテンポが悪いし、分かりづらい展開になっているのがちょっと残念。それから、見終わってどうも釈然としない感が残ったのは、結局大統領は何だったのか、ということが最後まではっきりしないため。シークを拉致したこと、戒厳令をしいたことに関して、大統領はどこまで絡んでいたんでしょう。ブルース・ウィルス演じる将軍の目的、真意がいまいち理解できないまま終わってしまいました。
 全体的に中途半端で、相変わらずご都合主義な感は否めないハリウッド映画ですが、私に提起してくれた問題は大きかった。収穫あり、の映画です。
パンちゃん(★)(2000年4月28日)
ブルース・ウィリスは、あの小さい目、特に横目の視線がうさんくさい。
うさんくささというのは、ある意味ではとても人間臭い味があるから、時には温かみとしてあらわれることもあるが、この映画のように一種の極限状況では、ただ単にうさん臭いだけ。
ブルース・ウィリスがやった役を、たとえばジャック・ニコルソンがやれば、そこに右翼の純粋さみたいなものが出てくるのだろうが、ブルース・ウィリスじゃねえ……。
前半はなかなか面白かったのだけれど、ブルース・ウィリスが出て来てからが、筋があまりにもくっきり見えて、単なるお話になって、まるで紙芝居。
まあ、ブルース・ウィリスのつまんなさというか、うさんくささが暴かれた映画という意味では見る価値があるかもしれないけれどね。
もっといろいろけなしたいことがあったのだが、書き始めたらあまりに退屈なので書く気持ちがなえてしまった。
デンゼル・ワシントンもこういう正義の味方っぽい作品ばかりに出ていたんではせっかくの美貌に深みがなくなってしまう。
俳優のみなさん、もっと脚本を読む力をつけましょう。