マン・オン・ザ・ムーン


監督 ミロシュ・フォアマン 出演 ジム・キャリー、ダニー・デビート、コートニー・ラブ

s.hayashi(2000年6月30日)
★★
最初と最後はとてもいい。
最初のエンドロールで本当に終わってたら、素晴らしかったのに。
お笑い芸人を描く映画って、どうして暗くなるんでしょうか。
喜劇と悲劇は表裏一体ってこと?
それを突き破る、ほんとに可笑しいスタンップコメディアンの一生ものの映画を見たいです。
パンちゃん(★★)(2000年6月18日)
こういう映画って、評価がわかれるだろうなあ。
映像がきちんとしているし、演技もきちんとしている。
でも、私は嫌い。
暗いからね。
暗くても大丈夫、毒が好き、という人にはいいかもしれない。
おんたけ(2000年6月18日)
http://www2m.biglobe.ne.jp/~t-gnp/index.htm
★★★
実は、ジム・キャリーということで、敬遠しようと思っ ていたのですが、中々の評判ですので、見てみました。 結論から言うと、これは今年度のベスト10でも上位に 位置するような作品と思えましたね。
完成度の高さから言うと、かなり高い位置にあると思い ます。もちろんそれは名監督ミロシュ・フォアマンの作 品だからと言うこともありますが、かのジム・キャリー が、「マスク」「トゥルマン・ショー」以上の演技をし ていたことにも裏付けられます。
無駄のない演出。必要以上に凝らないキャメラ・ワーク。 音楽。オープニングのユニークさは、「マグノリア」と は異質にしても、新しさを感じました。それが、エンデ ィングにも施されている。
期待を裏切るラストが、意外性が私の好みとするところ ですが、この作品に関してもそれが言えます。ラストの トニー・クリフトンの復活祭のシーンは、果たして、ア ンディ・カフマンだったのか?葬式のシーンの一年後な のですが、彼だとしたら、あの葬式も彼のコメディだっ たのか?ボブ・ズムダであることは否定しています。最 後に少しだけ映りますからね。パンフを紐解くと、トニ ー・クリフトン本人がトニー・クリフトン役として出て いたと載っています。ということは、トニーは、三人い たことになる。実在のトニー、アンディ演じるトニー、 そしてボブ演じるトニー。
実在(?)のトニーは今もどこかのクラブで唄っている という噂があり、アンディの葬式後でも今でもアンディ が生きていると言う噂が地元には残っていると言う。 “実話”であることが事前に分かっていながらも、トニ ー=アンディの存在を後世に残した“アンディ”。もし かしたら、それこそが彼が仕掛けた“コメディ”なのか もしれない。自分の人生と死をコメディに昇華していた としたら、それこそ、ナルシストで自虐的で天才肌の彼 の実像を垣間見たことになるかもしれない。ミロシュ・ フォアマンの意図はそこにあったような気がする。結論 がはっきりしていないといやがる国民性が日本にはある。 あいまいさが売りのはずなのにそれを許さない。だから、 この作品の評価も分 かれるところでしょう。
ただ、私としては、ジム・キャリーが相変わらずの演技な のにも関わらず、しっくりとした印象を与えたこと。そ れは、もちろん、彼自身がアンディを崇拝していること に他ならないのですが。そして、「アマデウス」「カッ コーの巣の上で」のミロシュ・フォアマンが名人芸的演出 で2時間を一気にみせてしまった手腕。そして、それを 完璧に具現化したスタッフの力量。そして、誰もが疑問 に思うようなエンディングを備えたこと。それはエンド ロールが流れて、アンディが画面左から少し顔を覗かせ た事に暗示されている。だって、オープニングで彼が言 っていたでしょう。この映画は事実を捻じ曲げているか ら、私がカットした。そしたら、映画は終わりだよって。 そして、オープニングなのにエンドロールが流れる。音 楽がとまるとロールは止まり、また、音楽が流れ出すと ロールが流れ始める。
人生はエンド・ロールのように、流れて最後は消えてしま うもの。でも、それは止める事も、また、流れさすことも 出来る。彼の、アンディの意図はそこにあり、ミロシュ・ フォアマンもそれを観客に突きつけた。何とも、心憎く も意地悪な映画なのです。それは、まるで、アンディが 具現化した“コメディ”そのものです。実話ものを客観 的ではなく、その実在の人物の遺志を映画に取り込んで しまった作品なのです。