マーキュリー・ライジング

監督 ハロルド・ベッカー 主演 ブルース・ウィリス、アレック・ボールドウィン

パンちゃん(★+★)(10月10日)
少年がNSA(最近の悪役はこればっかり)の暗号システム(マーキュリー)を解読したために命を狙われ、それをブルース・ウィリスが助ける、という話なんだけど……。
全然盛り上がらない。テンションは予告編を見たときが一番高く、どんどん下がる一方。
少年が複雑な暗号を解読し、その能力がイラク(??)に利用されると困るので殺す、という設定が無理だなあ。
イラクがその少年を誘拐し、利用しようと必死になっているわけでもない。だいたいイラクはその少年の存在を知らない。たとえ知ったとして、少年を誘拐しようとしているのなら、少年を守ることを第一義にすべきであって、少年を殺してしまえば少年が誘拐されることもなく、安全も保たれる、というのは論理に飛躍がありすぎる。とても信じる気持ちになれない。
黒幕がアレック・ボールドウィン一人というのも頼り無い。権力システムの持っている怖さが浮かび上がって来ない。
誰だ、こんなとんでもない脚本を書いたのは。
自閉症児は能力が欠如しているのではなく感覚が鋭敏すぎて外の世界が怖いから自分の内に閉じ籠もり安全を守ろうとする--という、たいへん温かな視点を導入しながら、これではねえ。
★1個プラスは、この自閉症児への理解に対して。これがなければ完全に「金返せ」映画である。