目撃


監督 クリント・イーストウッド 主演 クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、エド・ハリス

日柳 賢(★★★)
9722095e@ipc.kobe-u.ac.jp
サスペンス超大作!
めくるめく緊張感の中でハードな推理が展開されるという内容を期待して見に行きましたが・・・
あれ?
この映画はサスペンスではありません。(断定)
親子の愛情を描いた人情物と分類した方がいいと思います。
かわいい娘を守るために粉骨砕身する老齢オヤヂの愛情をメインに、いやむしろそれのみを考えてみてはどうでしょうか。
そうするとあの間延びしたかったるい展開も別の意味を持ってくると思います。
この際緊張感や脚本のまずさ等は無視して考えてみて下さい。
イーストウッドオヤヂの娘への愛情!
娘が彼の部屋に入ると机一面に娘の写真が飾られていた。彼はいつも彼女のことを見ていた。
泣ける!
人情ものとすれば結構じんわりくる描写もあったのではないでしょうか。
イーストウッドの皺もそのファクターの1つだったのです。決して惨めなどと判断してはいけません。
といってもサスペンス要素がもっと整っていたらずっといい作品になっていたという悔やみも当然あります。
ヲレも実際だまされた気分でしたので。
パンちゃん(★★)
イーストウッドも、すっかり老けてしまいました。あごの下のしわなどみじめなくらいでした。しかし、なによりもみじめなのは、後へいけばいくほど、パワーが落ちてくる映画の展開でした。
エド・ハリスなんか、実際に何か推理でもしたでしょうか。ピストルの発射位置と、被害者の関係がおかしい、などということに気づきながら、その気づいたことが何ら役に立っていない。
脚本が悪い----といってしまえばそれまでですが、なんとも間延びした話です。
娘の検事という役も何の役にも立たないもんですねえ。単に、検事だから、あとで質問されそう、だから殺そう、というだけ。おいおいおい、あんまり調子良くストーリーをでっちあげるなよ。
私は、イーストウッドもジーン・ハックマンもエド・ハリスも好き。だからだいサービスで★2個。ほんとは★1個の映画だな。目新しいところは全然なし。わざわざ大統領の犯罪じゃなくてもいい、という印象だけが残る。きっと、たぶん、そうなのだ。これがどこかの市警の刑事くらいだったら、もう少しリアリティーのある展開になったかもしれない。
映画はどっちにしろ嘘の世界なのだが、その嘘の世界も日常から遠くなればなるほど、味気なくなる。変なものだ。
唯一面白かったのは、大豪邸の階段のシーン。ナイフを探しに行くのも、イーストウッドを追いかけるのも、階段をせっせと駆け登り、駆け降りなければならない。そんなふうに、ふいに直面する「日常」----それだけが面白かった。あとの部分は、そうした「日常」が欠けていた。そのために緊張感がなくなってしまったのだ。