長崎ぶらぶら節


監督 深町幸男 出演 吉永小百合、渡哲也

おんたけ(2000年10月9日)
http://www2m.biglobe.ne.jp/~t-gnp/index.htm
全く、正反対の評価ですが、まあ、こんなのもありでしょう。
でも確かに言われてみれば、ひどい出来なのかも知れませんが私にとっては、情感に打たれました(^_^;)
なかにし礼原作の映画化。中盤からエンディングまで、涙と鼻水が止まらなく、参りました。通常エンディングだけで泣ける映画は多いのですが、この作品は後半殆ど泣かせられます。
何故にこれほど、泣けるのか?もちろん、泣かせるストーリーと演出ではあるのですが、それ以上に吉永小百合演じる実在の人物“愛八”の情感が心に染みてくるからでしょう。決して上手とはいえない吉永小百合の演技も見事にはまっていてその情感を増幅させています。これまた、決して上手ではない渡哲也も実在の人物像に近いような気がしてはまっています。二人の情感が身体に残り、映画館を出てからも涙する始末でした。
実在の人物“愛八”は、生涯を愛しながらもその愛を守り抜くため、渡哲也演じる長崎の歴史にすべてを捧げた学者古賀と肉体関係を持たずに終わる。二人は実に良い理解者ながらもその愛におぼれることはない。また、“愛八”は自分の稼ぎを他人の娘のために使うなど、とにかく人々の役に立たせようとする。この無償ともいうべき愛と愛する人と添い遂げられない孤独感が見るものの心を打つのでしょう。何と言う人生!映画はその人の人生を瞬時に見せてしまいます。
監督の深町幸男はテレビ出身の70歳。映画デビュー作です。テレビ出身らしく、アップ系が多いのが気になりますが、撮影の鈴木達夫、照明の安藤清人、そして美術の西岡善信といった日本映画界きってのスタッフ陣に支えられ、見事な秀作に仕上がっています。意外性のある作品では決してなく、無難に仕上がった作品ではありますが、とにかく、情感に浸ることができる、良い意味で困った作品でした。
パンちゃん(★)(2000年10月2日)
これはいったい何なのだろうねえ。
最初の方に長崎市長がほんの一瞬映っているが、その印象と同じように、すべてのエピソード、シーンが一瞬ずつ、均等に続いて行く。
民衆の埋もれた歌を探し、それを記録するということは大変なことだと思う。
それだけを丁寧に描けばとてもおもしろいものになっただろうに、その他の要素を取り込みすぎた。
この映画、本当に終わるのか、と思っていたら突然吉永小百合が死んでおしまい。
何だかなあ……吉永小百合がその昔、渡哲也に血染めのラブレターを書いたけれど、とりあってもらえなかった、というようなエピソードを思い出した。
吉永小百合の長年の夢はかなったのかどうか知らないが、脚本はちゃんと読んで、主演作を選ばないと汚点が増えるだけだぞ、とファンでもないのに思ってしまった。