お いしい生活




監督 ウディ・アレン 出演 ウディ・アレン、トレーシー・ウルマン


パンちゃん(★★★★)(2001年12月6日)

ウディ・アレンと言えば、インテリ、あるいは有名人を笑いの対象にしたコメディーが多いのだけれ ど・・・。
今回は、まったく逆。
インテリとも有名人とも無関係な人間。銀行強盗もできない落ちこぼれ犯罪者。その妻。犯罪を見抜けぬ警官。
まとも(?)な人間が一人も出てこない。
そうした人間が、「成功」によってではなく、失敗によってにわか成金になってしまう。
思いもかけず大金を稼いでしまうまでのやりとりもおもしろいが、成金になってしまってからも非常におかしい。
で、もしかするとインテリ、ハイソサエティーの人間も、本当はこうなんじゃないか・・・と思わせるところが、また、奇妙ですねえ。
そして、ハイソな世界がそうだとしたら・・・と思った瞬間、今まで、まぬけでどじで、全然まともに見えなかった登場人物が、急にかわいらしくなるんですね え。(笑い)
「みんな、俺のことを切れ者、と呼んでいる」
「皮肉で言っているんだ」
とか
「チョコレートで妻を言いくるめる作戦は成功したかい?」
とか、全部ことばにしてしまう。それも全部真顔で言ってしまう。
そうなんですねえ、思っていることを全部ことばにしてしまうと、世界はとっても奇妙というか、笑いに満ち溢れる。みんな、まぬけなんです。
しかしね、このまぬけがおもしろい。というか、どんなにまぬけでも生きている。まぬけであることによって、自分がまぬけであるということに気がつかず生き ているというべきか。(笑い)
あ、なんだかストーリーの紹介だけに終わってしまいそうだけれど・・・。
夕日を見ながら、ウディ・アレンが妻と昔のことを語り合うシーンが美しいですねえ。
ばかな夫婦のコメディーなのだけれど、そうしたおろかでどうしようもない人間を描きながら、その人間の奥にある美しいものが、屋上から夕日を見つめ、思い 出を語り合うシーンにとてもよく出ていたと思う。
なんだかわからないけれど、「愛って、すばらしいですねえ」と思わずつぶやきたくなる。
映画のラストシーンでも。
使われているジャズもとても美しかった。

Colles(2001年 12月24日)
☆☆
もし、画面が白黒だったら、私には、当然のようにかなりの昔の作品だと思われたことでしょう。
会話が、くどいかんじがしました。
登場人物が愛らしくみえてこなくて、私には、この映画あわないようでした。
TAKO’S(2001年 12月23日)
★★★と1/2
男は夢に増長し、女は現実で増長する。その「いきがり」と「空回り」をスパっと描いているのが面白かった。
複線の張り方も正直すぎな程に素直なので展開で驚くコトは無くて、非常にコンパクトな作り。コンパクトで途中でダラダラしないから展開に怒濤の波がなくて も飽きないのが妙な大作とちがって良い。喫茶店に入るがごとく観られる映画でありました。しかもおいしい...
定番ジャズも絶品。「ああ、ジャズってアメリカの音楽だったんだよなぁ〜」と思ったとき、ふと一番増長しているのはアメリカなのかな?と思ってしまった午 後でした。