ラストサムライ



佐藤 基(2004年1月14日)

ラストサムライ
★★★
てっきり「将軍」みたいな勘違いな日本史が描かれるのかと思いきや、「武士道」を丁重に描いていたし、明治初期の町並みをよく再現していたし、合戦場面も 日本の時代劇よりはるかにしのいでいて見応えはあった。監督のエドワード・ズウィックはよく日本を研究しているなと感心はする。が!渡辺謙演じる勝元が、 あんな山奥に住んでいて英語が堪能なのが説得力がない。ましてやあれほど他人との「会話」を重視していたのに、なぜ無謀な戦いを挑むのか。まんま「葉隠」 の「武士道とは、死ぬ事とみたり」で、唐突すぎる。それに明治時代に忍者はなかろうに。よくは出来ているが、素直に感動出来ない。時代劇と見るより、アメ リカ人がイメージしたサムライ・ワールド物語と解釈するべきなのかも。尚、大村を演じた原田真人は「突入せよ!あさま山荘事件」の監督でも有名だが、「お ニャン娘ムービー危機イッパツ」なんてのも撮っていたが、何故かパンフには黙殺されていた。
りょうこ(2004年1月8日)
長い!長いよっ!!
外人が作った日本の背景としてはケチつけたくなるようなものはなく、よかったと思う。
でも日本特有の静の演技、情緒的な交流が少ない。
戦う者同士だから少ない会話で理解しあうとか、潔い最期に敬礼(土下座・・・なぜだ!)する。
あぁ・・・・外国だねぇ・・・と思った。
すごくすごく残念なのは、まさにそこです。
あの時代、男女がそんなに見詰め合う事はなかったでしょう。ましてキスなど。
キス抜きでそっと寄りそうだけの方がぐっ・・・ときます。
受け入れつつも真は持つ、まっとうするのが日本のよさではなかったのか。
おまけに会話が多い。
渡辺謙が大絶賛されているけど、侍を表していると言う事では真田広之の方がしっくりくる。
なんだか、非常に残念な映画でした。
人にはすすめません。
★は2つ。
パンちゃん(★)(2004年1月8日)
長い。終わらないかと思った。まあ、終わった感じはまったくないなあ。(笑い)
おかしな点はいろいろあるが私が一番違和感を感じたのは、あんな山奥の集落で村人が道や畑にあふれているわけがない、ということ。
畳の上の靴――というようなものは文化の違いだから誤解もあるだろうけれど、昔の人の生活のあり方というのはどこも同じだろう。
アメリカだって山奥へ行けば村人は少ない。道を歩いていて、すぐそばで誰かが働いているという情景を見る機会はないはず。
子供だって大人が働くそばで遊んでいるはずがない。
そういうところでは子供も同じように働くもの。
そういうどこの世界でも共通する要素にうそがあったのでは、「武士道」などと言ってみても、架空の概念にすぎなくなる。
まあ、架空の概念なら概念でもいいのかもしれないけれど、生きている人間が登場しない映画というのはつまらないねえ。
渡辺謙の猫背の演技もいやだなあ。
トム・クルーズにそんなに気をつかうことはないだろう。
うし★★(2004年1月1日)
渡辺謙主演で、真田広之が脇役の映画でした。渡辺謙は、仲代達也ばりの映画スターらしい迫力の顔 だなと思います。
なぜ、米国人がこの映画を製作したか? カンフー映画と同じようなチャンバラ映画ではありません。
この映画の主役のサムライは、滑稽な程に弓チ筌刀だけで天皇の軍隊と戦います。
天皇は近代化をめざし、その軍隊はまさに近代兵器の大砲サヾ惱謄鉄砲を装備しています。戦いの勝敗は最初から分かっていますが、その時代錯誤な戦いの場面 を丁寧に映しながら、近代化というもの、欧米化、米国のやり方というもに批判をなげかけています。
米国人にとってはその良心をくすぐり、好奇心を刺激される寓話かもしれませんが、題材にされた日本人としては、富士山・芸者・テンプラの国というぐらいの 日本の扱いであって、日本の歴史における武士や武家社会の意味を問うような内容とは無縁です。
こんな映画でもし渡辺謙が米国での賞でもとって、次の作品をなどとなれば、中国と日本がごちゃ混ぜのオリエンタルがまた登場することになるでしょう。