恋愛小説家

監督 ジェームズ・L・ブルックス 主演 ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント

ヤマ(1月30日)
mountain@dc.mbn.or.jp
ヘレンハントの表情の演技が素晴らしかったです。ジャックニコルソンも、大変いいのですが、少なからず身に覚えのあるような、行動をするので客観的に評価しにくいです。出演犬も、(ローズ家の戦争)のワンちゃんに優るとも劣らない、いい味出してます。脇役では、この方が1番印象に残りました。★★★★★
kaeru(1月23日)
kaeru-n@msn.com
夜明けのパン屋のラスト・シーンがよかったですねえ。押し付けがましくなくて。泣きました。
パンちゃん(★★★★)(4月12日)
ジャック・ニコルソンは「少年」を演じるのがとてもうまい。「少年」のこころを演じるのが。
「少年」というものはかたくなに信じるものがあって、その信じたもののために、自分の感じたことを思わず歪めてしまう。感情とは違った行動をしてしまう。「愛している、好き」というかわりに、毒舌をはいてしまう。
自分が変わってしまうことが、「少年」にとっては恐怖なのだ。知らない世界へ行ってしまうことが「少年」には不安なのだ。だから、「愛している」といいそうになるこころを裏切るように、嫌われてしまうことばを口にする。
ところが「恋愛」というのは、自分がかわってしまってもかまわない、と決断することである。愛する人のためなら、今の自分が自分でなくなってもいい、と覚悟しないことには本当の「恋愛」にはならない。
「少年」と「恋愛」は、実は、相いれないものである。矛盾するものなのだ。
この矛盾、こころの葛藤を、ジャック・ニコルソンは、非常に愛らしく演じている。魅力的に演じている。行きつ戻りつする感情がとても、いきいきしており、飽きる瞬間がない。架空の話ではなく、今、ここに生きている人間を見ている気持ちになる。
ヘレン・ハントは、その揺れ動く「少年」を「大人」に導く、とても重要な役を、しっかりと演じている。ジャック・ニコルソンを引き立てるための、いわば「損」な役なのだが、その人物像がしっかりしているからこそ、ジャック・ニコルソンの「少年」から「大人」への脱皮が、ほほえましく、楽しいものになっている。
変な役者が演じれば、とても「くさい」映画になるところを、二人の名演のおかげで傑作になった。
「少年」のこころが残っているあなた(初恋がしてみたいあなた)、もう一度「恋愛」の複雑な感情を味わいたいあなた(初恋を思い出したいあなた)のための映画です。

きりこ(4月9日)
主人公メルビンは極度の潔癖で、加えていうなら人間嫌い。
歩道の裂け目をよけるように、近所付き合いも含めた人付き合いの一切を避けてきた彼が初めて心をひらくのは、「一匹の犬とウェイトレス」。
犬のほうは動物ですから、メルビンの言葉ではなく心そのものをいちはやく見抜き、仲良くなってしまうけど、ウェイトレスはそうはいかない。
せっかくいい雰囲気になっても、メルビンの毒舌がキャロルを怒らせてしまう。
ああ−、なんてこと。メルビンは本当はいい人なのに!
…とメルビンに同情してしまった私は、すでにジャック・ニコルソンにしてやられてますねぇ。ジャック・ニコルソンって本当に上手い。
演技の引き際っていうのかなぁ、メルビンの「嫌なヤツ」ぶりの加減がいい。
こんな人の相手役はさぞ大変だろうと思うけれど、その相手役がまたいいのです。
キャロルは、メルビンとは対照的に現実ばかりを見なきゃいけない生活を送っている。
ともすればババくさくなってしまいそうなこの役を、ヘレン・ハントがとっても表情豊かに、かわいく演じていたと思います。
キャロルとキャロル・ママのかけあいも最高です。
ラストは、メルビンがためらいつつも、裂け目だらけの歩道を踏めたことに象徴されますね。最後にホッとできたのも良かったなぁ。
スト−リ−としては、単純なのでしょうが、キャストとセリフのおかげで、とても「食後さわやか」な映画になっていたと思います。
(メルビンがキャロルに言う”You make me wanna be a better man.”っていうセリフが最高。)
ついでながら、主役の2人だけでなく脇役もよかった。
ゲイの友人役のグレッグ・ギニアもいいんだけど、私としては、スキ−ト・ウルリッチの表情が非常に印象に残りました。
なんだか、ベタほめしているようだけど、本当にいいのです。
どちらかといえば、ジジババ向きの映画かもしれませんが。
というわけで、★は…4、いや5かな。


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