ロング・キス・グッドナイト


監督 レニー・ハーリン 主演 ジーナ・デイビス、サミュエル・L・ジャクソン


パンちゃん(★★)
最初にジーナ・デイビスが拳銃をぶっぱなすシーンは格好よかったねえ。サミュエル・L・ジャクソンのポケットに手を突っ込んで、ポケットのなかから撃つんだけれど、そのとっさの判断、反射神経のようなものが、うーん、スパイなんだなあと納得させられますねえ。
はっきり言って、私は、このシーンでかなり期待しました。面白いんじゃないだろうか。次はどんなシーンが出てくるんだろうか。どんな反射神経が出てくるんだろうか。
脚本もこまめに伏線がありましたねえ。サミュエル・ジャクソンが行動を歌にして、「ピストルは右のポケットに……」などというのがあったからこそ、その銃撃戦のシーンも生きてきたんですよねえ。
3階から氷のはった川に飛び込むシーン、氷で骨折しないように銃で氷を割る、なんていう冷静な(?)シーンも、まあ、面白かったですねえ。そんなことしている間にぶつかっちまうよ、なんて言っちゃあいけないんでしょうねえ。確か看板には「薄氷注意」て書いてなかったかなあ、なんて言っちゃあいけないんでしょうねえ
しかし、まあ、いい加減な映画です。氷がらみのシーンで言えば、スケート靴をはいて車の先回りするなんてなかなかの機転ですけど、いったいそんなに早く靴をはきかえられるの? 脱いだ靴はどうしたの? スケート靴のシーンのあとは、普通の靴に戻ったようだけど……。
あんまり都合がよすぎてというかなんというか、クライマックスの時間カウンターのカウントダウンのころは、全くどきどきしませんでした。このころになると、主人公は絶対に死なないということが、あまりにもあからさまになってきていて、絶対死なないのにいくら秒読みシーンを見せられてもねえ。ジーナ・デイビスはいいとして、瀕死のサミュエル・ジャクソンが突然元気になり、助けにくるなんてあまりにもいい加減。それに、どうしてジーナ・デイビスのいる場所が、そんなにすぐにわかったんでしょうねえ。
少女のギプスに書いた電話番号、少女とジーナ・デイビスのろうそくの約束、ろうそくと結びついたマッチの登場のさせ方など、とてもきめの細かい部分もあるだけに、手抜きの部分が余計目立ってしまう。
どうせいい加減な展開にするなら、こまめな伏線なんかもやめてしまえば、ずっとリラックスして楽しむことができるのにねえ……