シークレット--嵐の夜に

監督 ?? 主演 ミシェル・ファイファー、ジェシカ・ラング

パンちゃん(★★+★)(11月30日)
カタルシスがまったくない映画。なぜ映画にしたのかわからないような作品。
映像も光を排除して、ごく自然な感じ、自然よりもトーンダウンした感じで、非常に地味だ。
カタルシスがない--とは言っても、それは日本人の感覚からすればそうなるのであって、アメリカ人から見れば違うかもしれない。
ふいに思い出すのは『さらば愛しき大地』である。
あの作品も日本の農家、農村のありよう、農村の緑の風景というものを知らないとカタルシスがないかもしれない。最後の「幸雄ちゃん、元気やった」という会話や豚を追いかけるシーンなど、日本の農家のありようがわかっていると、とてもこころに響くものがある。
この『シークレット』もアメリカの農場(農家ではない)の感じがわかる人には納得がゆくかもしれない。
父親の性的虐待、裁判、痴呆症、がん、農場を捨てて行くこと……それらのすべてが、もしかすると、からみあいながら一つの「明るさ」に到達しているかもしれない。
ただ私には、そのあたりがちょっとわからない。
もしかすると非常にいい作品かもしれない。すくなくともジェシカ・ラングの演技はあいかわらずミステリアスで引き込まれてしまう。最後までストーリーを引っ張って行く。それだけでも見る価値はあると思う。


PANCHAN world