シックス・センス


監督 M・ナイト・シャラマン 主演 ハーレイ・ジョエル・オスメント、ブルース・ウィリス

mark(2001年2月26日)

 なるほどね、やられたなというのが大方の最初の印象でしょうか。ところが私はどうも鈍いのか、エンディングを迎えても映画の意味がわからず、しばらく理解に苦しみました。お恥ずかしい話ですが、横で同席して観ていた女性が(ヴィデオだと気楽に観れて、こういう部分は善し悪しなのですが)首を捻る私を見かねて、滔々と映画の「真相」について説明してくれました。それを前もって知っておかないと、ところどころの描写についての違和感が納得できません。けれども、真相を前もって知る由もないわれわれは、原則として観ているあいだはずっとこの違和感を持ち続ける装置として機能しています。
 白状すると、この映画、途中で眠くてたまらなくなって何度か居眠りをしてしまいました(^^)。しかたなしに件の女性に頼みこんで、「重要な(怖い)シーンのときは起してくれ」と言って睡魔に負けそうになったのです。最後のシーンで、ついに自分の嵌めているはずの指輪が向こうから転がってくるところで、いくらニブい私でもこれはどうもおかしいと気づきます。
 おかしいな、何だったんだ? と首を捻りましたが、まあ眠りこけておきながらあまり偉そうなことは書けませんが、純粋に謎解きの興味に与することができなかったのは、ひとつにはホラー映画仕立てでよくあるショッキングな効果がどうも苦手だということに関係しています。まさかB級ホラーとまで断じるつもりはないのですけれども、相変らずこの手のシーンで多用される不快な(と私には思われる)衝撃音等は、スタッフの工夫に対しては申しわけありませんがむしろ邪魔でしかたなかったですね。そうではなく、もっと淡々と死者達を描くほうが、謎解きとしては余計な夾雑物がなくて洗練されたのではなかったか。子供の恐怖心とは、こういうものだと考えれば、あの心臓にわるい効果音なども許せないではないですが、薬殺された少女の幽霊が涎を垂らし蒼白な顔面をいきなり覗かせるといったシーンあたり、けっこう扇情的な狙いが感じられました。
 とにかく相当強引な作りがなされている作品で、知的な解釈だとおそらく破綻する部分が多々あるように思われます。ご都合主義とでもいうか、こう強引だと、最後に出てくるタネ明しを観ても鼻白む思いがあり、その澱みが、観る者に対してたとえば眠気といった反応を惹き起します。この監督の意図、というか冒険は理解できるのですが、そこまで観客は馬鹿ではないのです。
 すなわち、もし死後の存在が自分自身の「死」を意識しないでいたとしたら、この作品では霊視能力を持つ男の子だけが相手をしてくれていることになりますが、その視点で徹底して描かれているわけでもなく、キャメラの物理的な三人称の視点がある場合は男の子の眼から、ある場合は死者の夢想からという風に、その都度くるくると都合のよい断片を切り取っているわけです。この錯綜があるために、こちらの知的な解釈をどこかで回避しているように見受けられます。・・・評価としては男の子の演技に星をひとつ加味して『★★★☆』です。
竜崎麗香(★★★)(2000年1月15日)
toshi.ow@jasmine.ocn.ne.jp
見終わって数時間たつ今現在も、自分の感想がわからない、というのが正直な感想です。
戸惑っている原因の一つは、あまりにリアルな描写だったので、つい怖かったシーンが思い出されて、この映画の本質にまで思いが至らないこと。もうひとつは、「すごい秘密が最後に隠されている」という先行情報がインプットされていたので、どんな奇想天外な結末を迎えるのか、と期待が大きすぎたこと。
見終わってからすぐ感想を語り合える友人と行けばよかった、と後悔しています。
もう一度見てから自分なりの判断をしたいと思っています。
JO(4つ星)(1999年12月14日)
mitsuoka@x-stream.co.uk
男は少年を救い、少年は男を救った。 
新感覚スリラーと呼ばれたこの映画の正体は「孤独の癒し」をテーマにしたドラマだ。
アクションスター B・ウィリス主演ながら、これは会話と人間関係の映画であり、脚本の出来が映画の成功のカギだったと言っていい。
無論、話題の子役・オスメント君はただカメラの前で泣くのが得意な子供ではないが、カッとなって汚い言葉を吐いたウィリスに、「使っちゃいけない言葉を言った。」、ウィリスの手品を馬鹿にしたくせに後で真似してみるなど、普通の子供を見事にとらえた脚本に相当助けられている。
2度味わえる映画として作ってある構成も面白く、多くのシーンはたった一つのカメラで撮られ、大胆でいて自信と落ち着きがある。
お堅い評論はここまでにして、これは幅広い年齢層に受け要られる秀作だ。
yasuko(★★★★)(1999年12月11日)
ya@ss.iij4u.or.jp
この映画の秘密(謎)を見てない人に言わないように気を付けて、友達には面白かったって事だけ言ってます。
しんさんの言うとうり、矛盾な所もあったけど、また劇場に見に行きたい映画でした。
しん(★★★★★)(1999年12月10日)
stoda@d4.dion.ne.jp
とてもいい映画でした。場内が明るくなるまで,人があまりたちあがらない映画ってひさしぶりです。
”秘密”を,見ている途中で分かってしまったのですが,それでも脚本の妙を感じずにはいられませんでした。
すごく悲しい映画でしたが,なんか安らかな気分になって,劇場を出ました。いろいろ矛盾点はあるんでしょうが,がちがちに,理屈があってるよりかは,この映画のバランス感覚が好きです。
colles(★★★★)(1999年12月7日)
colles@sam.hi-ho.ne.jp
人間だれしも満たされぬ思いがある。
どこかで、おりあいをつけないといけない。
だれしもが、本当は、よいひとであってほしい。
だれしもが、よくない面を持っている。
もうそれはどうしようもないものなのだ。
言いたくない別れを、言わなければならないときがある。
人生とはそういうものなのだ。
ダグラス・タガミ(★★★★)(1999年11月30日)
まんまと、騙されました。あの子役うまいです。
この監督と脚本もうまいです。面白かったです。
迷っていたら、見て損はしませんよ。
今回は、内容は知らない方が楽しいので余り書きません。
jean(1999年11月14日)
jean@pop21.odn.ne.jp
主役の少年の、泣きそうな顔が印象的でした。
青白くて弱々しい感じがするだけに、ひとたび怒りを爆発させると、ただ事ではない迫力です。ミニ・エドワード・ノートンなんて呼ばれてるのも納得できたりして。(『真実の行方』のラストが思い浮かびます。)
死者と交信ができるというのは、「さまよう魂たち」にもありました。
あっちはコメディ(しかし中途半端もいいとこ)だったけど、こちらは真剣そのもの。そこが凄いですね。
死者の姿が見えてしまう、それがどんなにコワイか、というのは嫌というほど伝わってきたし、さらにそんな能力があることで、どんなに周囲から奇異の目で見られ、疎外感を味わわされるか、という点にまで注目したのが鋭い。
この映画に関しては、あんまりあら探しをする気にはなれません。
つじつまのあわない点も、注意深く見れば出てくるに違いないけど、そんなことはどうでもいい。見ている間、一瞬も気をそらされず、ドキドキのし通しで、最後も気持ちよく驚くことができたし、それだけでもう十分です。
星は★★★★かな。途中であまりの怖さに目つぶっちゃったので、十分「楽しめた」…とは言えない。
灘かもめ(1999年11月7日)
seagull@d1.dion.ne.jp
とても感想の書きにくい映画ですね。何を言ってもネタばれにつながりそうで(笑)。
私は、「秘密」が明かされる瞬間、ある別の映画を連想してしまって、そこから純粋に感動できなくなってしまいました。とても残念です。
これはホラー作品ではないです。(あまり使いたくない言葉ですが)「癒し」がテーマであると思います。
コール少年は「死者」が見える。「死者」は感情を強烈にぶちまけながらそこに「存在」している。彼は、その「存在」を感じてしまうこと自体が恐ろしくて仕方がない。恐怖でどうしていいのかわからない。「死者」が見える自分を「怪物」だと思い込み、母にすら言えないでいる。
そんな、小さな箱に押し込められたようなコール少年が、小児精神科医のマルコム(ブルース・ウィリス)と出会う。
お互いが影響を与え合って、「秘密」を克服(と表現するのは間違いだけれど、他にいい言葉が思いつかない)していく。
「秘密」は、どうしようもない「悲しみ」であると思う。
私がこの映画でとても好きなところは、「死者」の捉え方。死者が見えることを怖れてしまうのはこちら側(生きている人)の勝手な感じ方である、と教えてくれたこと。「死者」は生きているときの感情の延長上に存在している、と捉えているところがとても納得できる。そのように表現できるシャマラン監督は、やさしい人なんだろうと思う。
(東洋人の監督ならではの感覚なのでしょうか。)
「死者」を単なる恐怖の演出材料としか捉えていない様々な作品(映画に限らず)が多い中、こういう視点はなんだかうれしい。
余談ですが、私は「怖い話(幽霊話)」で「怖がりたがる人」が大きらいです。当然「あなたの知らない世界」みたいな番組も大きらい。死者の気持ちを置き去りにして勝手に騒ぐ行為が許せない。
まるで、死者の気持ちがわかるような書き方ですが(笑)、私自身の経験では、幽霊を見たことはありません。金縛りはウン十年生きてきて、たったの一回。第六感などは皆無です(笑)。
ただ怖れてるばかりだった(あれじゃ無理も無いけど…)コール少年がマルコムに出会って、彼なりに死者に対する接し方が変わっていったのがとてもうれしい。コール少年のやさしさが、とてもうれしい。
彼のやさしさが、「秘密」を・・・・・あぁ、もうストップですね(笑)。
もう一度、「秘密」を踏まえた上で観にいきたいです。
既に観た方、秘密は絶対ばらしてはいけません。映画好きの仁義にもとる行為でありましょう(笑)。
ドット→まみ君(1999年1月4日)
n-tomoo@mtj.biglobe.ne.jp
星3つ
そうだなー、割と淡々とすすんでいって、まあ、なんとなく、どんてん返しがあって、終わったのかな。少なくともホラーではないし、おれが感心したのは、アメリカ人もこういった「お払い」的な映画をすすんでみると言うことだ。作ったのはインド人監督のようだ。やっぱり、CGやドンパチには飽きてきたんだよ。
ほんと、淡々としているんだよね。この映画。あえて注文があるとすれば、少年が「障害」を克服していく過程をもう少し描いてもよかった。1例だけではなくて。俺の悪い癖で、だいたいこの映画が後何分だろうな、と計算しちゃって、寒気のするビデオをみせられて、あ、もうすぐこの映画終わりじゃないのって、思ってしまった。なんか、尻切れトンボというか、しかしその後の「秘密」が待ってたわけだけど、だから、ホラーではなくて、感動ものになってしまった。
むしろ、日本人の方がこういった映画は得意な気がするな。だから、日本人の監督に作らせたら、いいのができるよ。もうちょっと、エンターティメントを混ぜてさ。日本映画の廃れ具合に合わせて、制作者全般にもやる気が失せてきた。伸びる才能ものびなくなってきた。日本人監督よ、なんでもいいから、海外にでてがんばってくれ。北野たけしに負けるな。
かっくん(11月3日)
Kao@bio.ne.jp
まだ見たことのない友人を連れて、もう一度一緒に見に行きたい気分になる映画でした。(これは噂どおり!)友人の反応を見てみたいということともう一度ストーリーの確認がしてみたいということが理由です。
世間で騒がれている映画だけに、ちょっぴり期待もしてました。
先行レイトショーも満員で、すごかった。。。
感想は、率直に言うと、最後の30分を迎えるまでは、単調な映画だと思いました。特に期待するほどのはらはらドキドキ感もなく・・。
最後を迎えて、う〜ん、やられた〜と思いました。
最近こういう映画多いですよね。流行なのでしょうか??
パンちゃんのおっしゃるとおり、語れば語るほど、ネタバレになりそうになりますね!
疑問点もあるのですが、それすらもここに書けない。。。
「秘密」を人に話さないでくれとあえてお願いする意味もにくらしいくらい解ります〜ぅ。。
星はもう一度見たくなるという点で4つ!★★★★
しーくん(★★★★)(1999年11月1日)
kanpoh1@dus.sun-ip.or.jp
是非見たい!と楽しみにしていたにもかかわらず、上映が迫るにつれて緊張が増した映画は初めてです。『ホーンティング』にも書いたように、私はこの手の映画が苦手!ビデオだと逃げ出せるけど、映画館だとそういうわけにもいかない。しかも見た日は初日ということもありほぼ満席状態。良い席が空いていなかったので、結局座ったのは最前列!(ハハハハッ^^;)とにかく無様な格好だけは見せたくないので、出来る限りシート奥深くに座り、しっかり腕組みして上映にのぞんだ次第です。最初のクレジットでへぇーっと思ったのが、キャスリーン・ケネディとフランク・マーシャルがプロデューサーである事。二人の名前を見ただけでこの映画の成功を確信しました。で、映画はワインセラーのシーンから始まるのですが、もうすでに緊張しまくり状態!冒頭から冷や汗たらりで見た映画は初めてじゃないかな?
もう皆さんはご存知でしょうが、この映画には、ある“秘密”が隠されていて、本当に「やられたぁ〜」て感じになるのですが、アメリカではリピーターが続出したというのには納得です。パンちゃんが書いたように、見終わってから一緒に見た人と「だからあのシーンは***だったのね」とか「けどあのシーンは矛盾してるんじゃない?」なんて語り合える映画、そして正にもう一回見たくなる映画だと思います。史上最年少のアカデミー賞受賞を噂されている少年の演技も凄かったのですが、ブルース・ウィリスも『ダイハード』以来の適役だと思いました。音楽や音で恐怖感を演出していないところも良いですよね。最近はそういう映画のほうが多いので、かえって無音に近いほうが恐怖感が倍増します。私の見た回も、最後のクレジットが終わるまでほとんど席をたつ人はいませんでした。そしていつも以上にざわめきが大きかったです。それほど最後の“秘密”は衝撃的であると言うことでしょうし、満足したということでしょう。ただ、不満が無いわけでもない。確かに素晴らしい作品には違いないのですが(私がこういうのも何なのですが)「予想ほどは怖くなかったなぁ」というのが正直な感想。これには2つ理由があります。1つは予告編で“少女の幽霊”を体験済みだった事。もう1つが<(注)ちょっとネタバレになります>少年が部屋に閉じ込められた時の演出です。私が1番緊張したのがこのシーンでした。何とか今まで耐えたけれど遂に来たか・・・て感じで覚悟を決めた(本当に体が硬直した)のに・・・・結局は肩透かしでした。公開が始まったばかりなので詳しく書けませんが、このシーンは恐怖シーンが無かったから(あ〜良かった)のではなく、もうちょっと演出に工夫がほしかった場面でした。“少女の幽霊”に関しては、予告編で見せてほしくはなかったですね。最近の予告にしてはめずらしいくらいハイライトシーンを写していないのに“少女の幽霊”で台無しにしている。というより、せっかく少ない出演シーンで強烈な印象を残す彼女の演技を全く台無しにしている。彼女には本当にお気の毒です。ハイライトシーンを見せなくても素晴らしい予告編は一昔前にはいっぱいあったのにな・・・。最近の予告編のセンスの無さには、ただただあきれるだけです。まあしかし、新感覚のホラー映画ということで、強烈な印象を残す作品には違いないです。星は4つですが、私の本年度ベストテンには必ず入るでしょう。
パンちゃん(★★★★)(10月28日)
映画が終わった瞬間、劇場が一瞬静まり、それからざわざわとどよめきが広がって行く。そのざわめきが一段落して、観客がぽつりぽつりと席を立ち始める。最後の最後、つまり劇場に明かりがつくまで、残っている客が多い……。
こうした観客の反応のすべてが、この映画の本質を語っている。この反応は、『もののけ姫』と少し似ている。(『もののけ姫』には、ざわざわ、というどよめきの広がりはなかった。)
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この映画は、たぶん、あまり多くのことを語ってはいけない映画だろう。特に、まだ上映が始まったばかりなので。
私が一番衝撃を受けたのは、「事件」の1年後のフィラデルフィアの街並みの映像。
左右対称の美しい街並み。その動きのない静謐さにとても衝撃を受けた。
その衝撃があまりに大きかったので、★が1個減ったのだが、しかしよく考えてみれば、その衝撃がなかったら、最後のざわめきを納得できなかっただろう。
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うわさの少年の演技は、まさに天才的と言えるかもしれない。
この少年の演技がこの映画を支えている。