しあわせはどこに


監督 エチエンヌ・シャティリエーズ 主演 ミシェル・セロー、エディ・ミッチェル

パンちゃん(★★★★)
エチエンヌ・シャティリエーズ監督は、どうも人と人が入れ代わるストーリーが好きみたいだなあ。『人生は深く静かな河』もそんな話じゃなかったっけ。
人が人と入れ代わる、他人の人生を生きる----というのは、どういうことか。あまり大問題ではない。どこにでもいざこざがあり、どこにでも問題がある。そして、どこにでも喜びがあり、どこにでも救いがある。
そんなことが奇妙にのほほんとした雰囲気のなかで展開されていく。そののほほんとした感じがうれしい。
主人公が中年、というか、熟年というのも、なかなか効果的だ。人生の半分を過ぎてしまったあとだって、人生はやりなおせる。それも一大決心、というよりは、つまらないなりゆきで、やりなおすことができる。自分一人で頑張るのもいいけど、他人の厚意に甘えるというか、他人に任せてみるのもなかなか、不思議でおもしろいことかもしれない。
主人公が、田舎へいく途中で、川べりで憩い、そう風景の美しさにぼんやりする場面とか、美しい丘で夕日をぼんやり見つめるシーンとか、そのぼんやりした感じがとても美しい。
私たちの人生など、「人生」という大きな舞台の上で繰り広げられるささやかなできごとなのだ、ささやかだから美しいのだ、などというとりとめのない思いが、そのぼんやりした風景のなかでゆったりとたゆたう。その感じがいいなあ。


PANCHAN world