スリーピーホロウ

監督 ティム・バートン 出演 ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ

ガーゴイル(2001年2月7日)
 確かに映像美は素晴らしかった。僕は残念ながらビデオ鑑賞だったので、映画館で観ればもっとこの世界観を堪能できたかもしれません。
 しかし、映像の美しさに比べて、いかんせん内容がなかったように思われます。もともとはアメリカの有名な怪談だということですが、もう少しいい意味での裏切りが欲しかったです。
 とくに、よくみられる“ラスト数分前の告白”そのままのストーリー展開は、ちょっと受け入れがたいものがありました。また、これは蛇足ですが、演出上デップがことごとく命拾いするところにも、説得力を感じませんでした。
 あと、どなたかがおっしゃっていた、“首なし騎士の悲哀”をもっと話の中心に据えて、観るものの心に訴えかけてくれれば、また違った作品に仕上がったのではないかと思います。
 せっかくの映像美がこれらの理由によって、僕の中では凡百の作品と同列になってしまったのがとても残念です。ってことで、僕は★★★です。
しろ太(2000年3月12日)
tamagotake@exite.co.jp
★★★★
幸せっ。マーズアタックもそうだったけど、いつまでも、何度も観たくなり、その間中ずっと幸せな映画。ドラマとしての部分はかなり破綻していると思う。謎解きの部分が全部せりふで解説されるので、映像にうっとりしていると誰が何をしたか良くわかんなくなる。でもそれは気にならない。怪奇映画のフォーマットを踏まえながら、彼の確立した「ティムバートン映画」とも言うべき独自のジャンルの現時点の最高作と思います。怖いのに魅力的で、すごくおかしい。騎士が首を切り落とす前に剣をくるっとまわす、そのアクションのかっこいいこと。音や動きが絶妙にコントロールされていると思われる切断シーンの躍動感(すごい残虐なのに、ここだけ何度もリプレイで見たくなる)。せりふなしなのに、デアデビルを優しくなでる手の動きだけで騎士の悲しさを表現するクリストファーウォーケンの美しさなどなど。
他の採点者の皆さんと同様、いろいろけちつけたくなるけど結局すごく好きな映画です。
kigc(2000年3月7日)
kigc@mail.goo.ne.jp
陰影に富んだ美しい映像はさすがにティム・バートン。ただ全体的には「らしくない」感じがする。西の森の魔女やラストの騎士のシーンのCGでは彼らしいお遊びも見られたけど、全体がすごく真面目な分そこだけ浮いてしまってるし。
灘かもめさんの言う「悪役に対するやさしいまなざし」の欠如というのも、確かに「らしくない」ところだと思う。いかにも自らが「異端者」であることを自覚して生きてきたようなティム・バートン。だからこそ「異端者」を中心に据えた彼の映画には、やさしさと、しかしやはり「異端」であるがゆえの哀しみとに深く彩られて美しかったのに。結婚して幸せになって、「異端者」の枷が外れて、それが映画に表れてきているということだろうか。
パンちゃんの「ファンタジーが現代と絡み合って来ない。」というのにも納得。有名な話がベースということでそれが足枷になっているかのよう。300年前のニューヨーク北部でああいう出来事が本当にあったのか。JOさんが言うように作品ごとにバランスが取れてきているのだとは思うけど、その分「リアル」になりすぎて、描こうとするファンタジーとうまく結びつかなくなっているような気がする。
「シザーハンズ」のように、我々の住む世界と非常によく似ているが違うどこか、どこかに本当にそういう場所(と時代)があるのかも知れないような、パラレルワールド的な設定にすることでファンタジーを押し進めてほしかった。漫画「ベルセルク」で描かれているようなダークファンタジーの世界観を構築してほしかった(「ベルセルク」までいくとダークすぎるけど)。
文句はたくさん付けるけど★★★。決してキライではないです。
jean(評価★★★)(2000年3月6日)
jean@pop21.odn.ne.jp
映像的にはとても楽しめました。切り絵の抜き型がろうそくの光を包んで、部屋いっぱいの影絵になる場面、すごくよかったけど、予告編でいいとこ取りされていたので、驚きはなかったのが少し残念でした。こういうのは本編で「わっ」と驚きたかったなあ。魔女のびよよん目玉は、ほんとに「わっ」でしたが…。それから、捜査官自作?のへんてこな道具類もよかった。検死の時に、右手に持っていたもの、不思議な形をしていました。小指の先ほどの輪っかをいくつか、針金でつないだような部分しか見えなかったけど、どういう仕掛けで動くのか見てみたかった。あれのほかにも、製作の段階でいろんな妙な小道具類が考案されていたのでは…そしてその一つ一つに、考案者の愛情が込められていたはず。本編の謎解きがいまいちだったので、細部のマニアックなこだわりの方に目がいってしまいました。
灘かもめ(★★★★)(2000年3月5日)
seagull@d1.dion.ne.jp
これって、アメリカではよく知られたお話のようです。日本で言えばハーンの「怪談」みたいなものかな?
よく知られてるお話なら、ミステリー仕立てにしなければいいのに〜と思いましたです。これがティム・バートン監督だと聞かされなければ★5つだったのに。。。
らしくないな〜と思ってしまったのは、彼の持ち味である(私はそう思ってます)、悪役に対するやさしいまなざしが感じられなかったからです。
首を集める騎士の悲哀や、犯人の心情にせつなくせまってくるものが無かった。だから、ラストシーンもただ美しいだけ。。。
え〜〜ん。。。。残念。。。。。
でも、その点以外はほぼ満足!!!
なにより気に入ったのが、映画全体の色合いです。俳優たちの肌の色なんて、もう完璧!いつまでも見つめていたい、イギリスの絵本のようです。イカボット(ジョニー・デップ)の助手になったマスバス少年役の子(マーク・ピッカリング)がかわいい!!!真っ黒の髪と瞳、白いお肌に真っ赤な唇がたまらない!
あと、不思議な模様のドレスをお召しのタッセル夫人(ミランダ・リチャードソン)。うずまき模様の衣装には「マーズ・アタック!」を思い出してしまって、ちょっとニヤリ(笑)。
それから、ティム・バートンの公私共にパートナーであるリサ・マリーに「母親役」を演じさせてたのにもちょっとニヤリニヤリ。
今までになく、女優陣にセクシーというか官能的な雰囲気が漂ってましたね。ひょっとしてバートン監督は今、作風の変化期なんでしょうか。
というわけで、映像の美しさに★3つ。ジョニー・デップのかわいらしさ(笑)に★半分。あーとかうーぐらいしかセリフの無かったクリストファー・ウォーケンに★半分です。
##けなしてますが、結構気に入ってるんです。。。
パンちゃん(★)(2000年3月3日)
湿った空気が、スクリーンからじわじわと漂ってくるような、独特の映像。
陰気臭くて、さすがティム・バートン、★★★★★、と思ったんだけどなあ。
ファンタジーが現代と絡み合って来ない。
こういうのは一気に関心が冷めてしまう。私の場合は。
で、どうでもいいことなんだけれど、頭のない騎士って、いったいどうやって考えるんですかねえ。
いっそうのこと、頭が体を探し求めてさまようなんていう物語はどうでしょうか。
まみ君(2000年2月27日)
n-tomoo@mtj.biglobe.ne.jp
まみ君、今日は時間あるけんね。
星3つ
とにかく、なんでもいいから首を切るんだわ。ほんと、何でもないのに首を切るのよね。子供の教育に悪いよ、これは。ちょっと気になったんだけど、首切りマンの人、クリストファーウォーケンだよね、違うかなぁ、教えて誰か。
空想なんだけど、こういった映画って、監督の趣味、好みが色濃いよね。普通、よっぽど大物でもない限り、まあ、そんなに金かけられないよね。でもアメリカってバブリーなんだろうな、金かかってるよ。雰囲気ででるよ。だからチープな映画にはなってなくて、それなりに楽しめた。
これで、邦画の無理矢理作った続編みたいな、安っぽさだったら、結構怒ってたよ。
それにしても、皮肉れた俺だから言うが、一番得したのは、「恋人を失って涙は流したが、不思議と心は乱れていない」あのお嬢さんでしょうね。やっぱり彼女が操ってたんじゃないの。金は入るは、都会のオトコと知り合うわでさ。
JO(★★★★)(2000年1月21日)
mitsuoka@x-stream.co.uk
夜中の森。唸る雷。黒馬が落ち葉の道を駆け抜ける!
これで鳥肌が立たなかったらその人はティム・バートンに向いてないと断言。
彼の作品はいつも素晴らしいアイデアとヴィジュアルであふれているのに、‘傑作’ の一歩手前でとどまっていた。
だが明らかにティムは成長し、作品ごとにバランスが取れ始めている。
  自分が好きなティムはシザーハンズとED WOOD なので、やはりジョニー・デップは彼 の映画には欠かせない存在。
  八つ墓村等のミステリー、ゴシックホラー、コメディーにロマンスとサービス満点の 娯楽作。
‘傑作’にまた一歩近づいたと言えるだろう。


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