ストレート・ストーリー


監督 デイビッド・リンチ 出演 リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン、スタントン

s.hayashi(★★★★☆)(2000年6月9日)
アメリカの田舎の何にもない美しさ、分をわきえた人たちの暮らしの美しさよ。
主人公の娘役、シシー.スペイセクの横顔を映した場面の歯並びが悪いのが、とても自然でよかった。
デビット.リンチも、きっとこの歯並びを映したかったんじゃないかしら。まさか、悪く矯正したわけじゃないと信じてます。
それからお爺ちゃんの、シャツ+吊りジーンズ+帽子姿 カッコよかった。
で、胸ポケットにいつも入れてる赤い物(swisser favoritesって書いてあったような)は、ついぞ取り出すことが無かったのですが、あれは一体なんでしょうか?
とみい(2000年4月11日)
tominco@pop11.odn.ne.jp
じいさんの言葉には説得力がある。
シシースペイセクもいい味を出している。
途中で出会う人たちも、あまりねちっこく描かれないのがすっきりしてる。
移り変わる風景は最高に美しい。
いい映画に必要な条件はすべて揃っている、といえよう。
アカデミー賞をあげて、いい映画。
惜しむらくは、途中で一晩を共に過ごす家出少女の格好が、借り物のようにきれいに見えたこと(清潔って意味で)。
そこだけ妙に、リアリティがなかった。
もっとも「いい映画」とは思うけど、私にとっては、激しく感情移入できる、何かが足りなかった。
限りなく星四つに近いけれど、評価としては、★★★☆にとどめたい。
U(2000年4月6日)
ym9966@oka.urban.ne.jp
ファーンズワースの眼が良かった。
愛を伝えるには弊害が多いと思われがちな現代、周囲に惑わされず、 愛すべき相手をストレイトな眼差しで見つめた(道中のあの眼は常に兄貴を見ていたものでしょう。多分)爺さんの、感動しない感動を与えてくれる映画。
爺さんが聖人の様に描かれてないのも良かったです。
戦争の話とかを、さり気無く入れてる所や、 鹿を食べれば、鹿の置物が恨めしそうに爺さんを取り囲む。
それに対して、爺さんが後ろめたそうにしているのもリアル。
このへんはリンチっぽいブラックユーモアでしょうか。
あの置物が動き出して、妄想の世界に出発〜なんて事になりそうで 面白かった。或いは、既にあのシーンは心象風景だったってオチなのかもしれない。
墓場で寝たり、時速8キロのトラクターでちんたらちんたら。
冷静に考えれば、何考えてんだ?って話なんだけど、 劇中それを感じさせなかったのは、気持ちが『真剣』 であったからだと思う。
真っ直ぐ、真剣に生きる事の素晴らしさ。星5つ。
(初投稿ですが、こんな感じでいいのだろうか)
toto(2000年4月3日)
totoworld@yahoo.co.jp
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Sumire/2808/
文句なしに素晴らしい映画です。
まずリチャード・ファーンズワースの演技がとても良かったです。
特に、焚火を囲み行く先々で色々な人々と語り合うシーンは言葉 のひとつひとつに重み、説得力がありこの人自身の人生が反映さ れているようでした。
そしてトウモロコシ畑と夕陽のシーンが心を和ませます。
この映画を見ていると我々はなんとせっかちに生きているのだろう と考えされられます。ゆっくりと自分のペースで進もう、揺るぎない 信念を持っていれば道は必ず待っていてくれる・・・そんな精神を 教えてくれたような気がします。
ラストも良かったです。
映画全編を通して言えることですが、押し付けがましさはまったく なく、非常に淡々としています。だからこそ観る側はこのお爺さん と一緒に旅が出来たのだと思います。私の採点★★★★★
荒喜(2000年4月2日)
qing@air.linkclub.or.jp
予告編でこの映画を知ったとき、面白そう見に行きたいと思いましたが、まさかアカデミーノミネート作品とは....。(主演男優賞だけど)
私は丸の内ルーブルで見ましたが、畑の色は綺麗でした。田舎の穏やかな雰囲気とおじいちゃんのマイペースな旅が、こっちまでのんびりさせてくれたようでした。終り方もちょうどよかったと思います。ハンカチ二枚用意していったんですが、そういうわざとらしいものじゃありませんでした。見に行って良かったと思います。★は4つ。
パンちゃん(★★★★)(2000年3月28日)
老人というのはだいたい頑固なものだけれど、その頑固さがなかなか的確に描かれている。
芝刈機にリヤカーのものをくくりつけて「トレーラー」にする。カナノコでギーコギーコと金属パイプを切ったりするシーンもちゃんと描かれている。
その芝刈機が壊れると、古いトラクターの牽引車を買って、再び出発する。
途中での人々との交流のなかで、老人の過去や人生観が少しずつ語られる。
それはある意味では、「意味」そのものでありすぎて、味気ないといえば味気ないといえないこともないのだけれど、途中で出てくる「老人になればものごとの実と殻がわかるようになる」ということばの「実」そのもののよう感じがして、気持ちがいい。
これは、たぶんリチャード・ファーンズワースの演技力によるものだと思う。
余分な動きをせず、姿勢をしっかりと守っている。腰が悪く、杖を2本使って歩いているにもかかわらず、姿勢がいい。トラクターを運転する姿勢もがっしりしている。帽子をしっかりとかぶっている、そのかぶり方も安定感がある。これが「私の生き方」なのだ、ということが体全体からあふれている。
ジーンズもなかなか似合っていて、すべてが借り物ではない、という印象がいい。
アカデミー賞とれなくて残念でしたねえ。
*
私はこの映画を小倉のSY松竹で見たのだが、この劇場は映像が非常に悪い。焦点があっていないし、色が濁っている。
収穫期のコーン畑の色など、本当はもっときれいだろうし、それが鮮やかに映し出されていれば、もっと感動したかもしれない。
このページの採点など、SY松竹の関係者は見ていないだろうが、書かずにはいられない。
こんな不完全な映写技術で他と同じ料金を取るな。