ウェイクアップ!ネッド


jean(星4つ★★★★)(2000年1月31日)
jean@pop21.odn.ne.jp
これはただのハートウォーミングな物語ではなかったです。ほのぼのした気分になりたい人にはお勧めできない。何たって、死人が出ますから。葬儀の場面はひやっとさせられました。みんな、賞金を手に入れることに躍起になって、故人を悼む気持ちはどこへやら。主役の老人は夢のおつげまで見てしまう。死んでしまったネッドはさぞ心残りだろう。大金を手にしても、譲りわたす身寄りもない。お役人に取り上げられたのでは浮かばれまい。…と、勝手に故人の心中を思いやり、賞金横取りの理由をこじつける。このあたりは、誘惑に抗しきれない人の心がリアルに感じられて、とても笑いとばせない。いくら主役のじいちゃん達が陽気で愛にあふれていても、大金の魅力に参ってしまう人の心に共感できても、これは犯罪、人の道に外れることだと、見ているこちらも待ったをかける。じいちゃん達の奔走に声援を贈りたくなっても、ぐっとこらえる。しかしそんな心の内を見透かしたように、この映画はとんでもないオチを用意してくれていました。電話ボックスが軽やかに舞うあのシーンで、私の分別もどこかへ飛んでいってしまい、あとはひたすら、おなかの底から笑わせてもらいました。あー爽快だった。これで私も共犯者?
しーくん(★★★★★)(1999年12月1日)
kanpoh1@dus.sun-ip.or.jp
メチャクチャおもしろい!期待通り、いやそれ以上の作品でした。オープニングからエンドクレジットまで、思いっきり堪能させてもらいました。“いやあ〜映画って本当に良いものですねぇ〜”とは正にこの作品の為にあるような言葉!まだ年内に数本見る予定はあるのですが、現時点では私の本年度ベストワン!!「おもしろかったね」「良かったね」という声があちらこちらで聞こえたし、パンフレットを購入して帰る人も結構いましたので、ハズレで無い事だけは確かです(ベストテンに入れる人もいないかもしれないけれど・・・)。
この作品、まず出だしが面白い!何の知識も無しで見ると、SF映画と勘違いしてしまうかも・・・昨年の『アルマゲドン』とよく似ているのですが、断然こっちのほうがカッコイイのです。ハハハハハッ!。意味のよくわからない(人類皆兄弟とでも言いたいのかな?)シーンでありながら、この作品がただ者では無い予感がしました。画面は引き続きテレビの宝くじ番組へ・・・それを食い入るように見つめるお爺ちゃん。私は最低限の知識しか入れて行かなかったので、すっかりこの老人が“ネッド”だと思いました。ところが・・・。この作品を好きになったのは、最初から肩透かしを食らった事。これが凄く心地よかった。やっぱり映画はあんまり知識をいれないで見た方が良いということを、改めて実感しました。アイルランドの小さな村が舞台。住人はたったの52人。その中の誰かが宝くじに当選したことを知ったお爺ちゃん2人が主人公。いったい誰が・・・の“人物捜し”が前半の見せ場。当選者を絶対に捜してやる!と、あの手この手の作戦決行!誰もが考えそうな作戦なのに、私はニヤニヤしっぱなし。ニヤニヤしてしまうのは、この2人の行動に共感出来るから・・そして必死になる姿が本当に微笑ましいのです。めぼしき人物に酒をおごり、巧みな言葉で様子を伺う。妻までもがパイを焼き、あやしそうな婦人に届ける始末。挙句の果てにはチキンパーティーまで開いて当選者を絞り込んでいく・・・・。観客のほとんどはネッドが当選し、その興奮で死んでしまったという知識は持っているはず。だから“人物捜し”はヘタな演出だと退屈してしまう。しかし、私は退屈するどころか、もっと見ていたいという気持ちになりました。何と言ってもこの映画の成功は主役の2人。ちょっと太目のジャッキーと、あばら骨が露出するぐらいガリガリのマイケルが(名前も覚えやすい!(笑))絶品です。思い立ったら直ぐ行動!無邪気で子供のような2人に「がんばれお爺ちゃん!」なんて言葉を掛けたくなってしまう。2人がそれぞれ全裸でバイクを飛ばすシーンがあるのですが、ここはもう爆笑です。お金に対する欲望をユニークに描いた作品に違いないのですが、それだけでは私がベストワンに選ぶわけが無い(笑)。この作品は人間にとって、お金よりももっと大切なものを、さりげなく教えてくれる作品(全然説教とか教訓じみてないので安心を)。それは誰もがわかっていながら、いざという時にならないと実感出来ない事です。コメディであるのに、教会でのネッドの葬儀、そしてラストでの“乾杯”シーンは涙があふれてきたほどです。ハラハラするシーンは無いけれど、笑いあり、感動あり、そしてラストには少々毒の効いたシーンまで用意され(でも私はカイカ〜〜〜ンて感じだったけど・・・)久々に大満足の作品と出会えました。不満が全く無くもないですが、去年の『がんばって行きまっしょい』同様、アラ探しはしたくありません。機会があったら是非もう一度見たい作品です。(今週末に又行くかも・・・)
先日、主人公の1人、ジャッキー役のイアン・バネンがお亡くなりになったと言うNEWSを読みました。本当に素晴らしい作品をありがとう!。心からご冥福をお祈りします。