ピエロの赤い鼻



監督 ジャン・ベッケル 出演 ジャック・ヴィユレ、アンドレ・デュソリエ

panchan(★★)(2004年10月29日)
いかにもいかにもフランスという感じの映画。
いかにもいかにも良識という感じの映画。
それでいいのかもしれないけれど私には物足りない。
全体的に短編小説を読んでいる感じ。映画を味わっている感じがしない。
ストーリーの構造自体が、ピエロを演じる父を恥ずかしがる息子に向かって、父の友人が「君の父親がピエロを感じるのはこういうわけだよ」とことばで語って聞かせる。(それを映像化している。)その説明を子供は素直に受け入れる――うーん、なんだか嫌だなあ。気持ち悪いなあ。
その点『父、帰る』はすごかった。
父の生き方を息子は納得しない。反発する。甘えもすればすねもする。それでいて最後は父そのものになる。
『ピエロ』の場合、何が気持ち悪いといって、息子は父になるわけではない。父を超えていくわけではない。というか、父を賞賛してしまう。
子供から賞賛される父というのは父親の理想かもしれないけれど、それでいのかな?