
監督:ヨン・ファン 出演:スティーブン・ファン、ダニエル・ウー、スー・チー
PAPA(2001年2月2日)
お勧め度:★★★★☆
監督台湾人。舞台香港。話は題名の通り、美少年同士(男娼のジェットと警察官のサム)の恋愛モノ。同性愛が話のエッセンスとしてちょこっと拝借してあるのではなく、出てくる人間はほとんどゲイの完全ゲイムービー。ジェットは男性客相手のホストバーのボーイ。サムは堅気の仕事だがその過去はけして褒められたものではないことが後から分かってくる。全編を通して話はのったらのったら進むが、起承転結ははっきりしている。特に、転から決までのスピードが速い。背景はなぜか赤・青・黄(安っちいセロファン色)が多用されているが、華人の色彩感覚か?ナレーションはもっと少なくていい。
物語は、ジェットが側溝を這い回る泥亀のような目つきで議員JPをたらし込むところから始まる(このくだりのジェットの気色悪さは絶望的)。その後ぶらついた街中でサムを発見。背景は黄色。そして順調に二人のプラトニックなおつきあいが始まる。ここまでがまず一つ。もう一つはサムの過去の話(詳しくは現物を見て)。そしてその過去の話と現在が接したとき、二人は初めて求め合う…のも束の間、速攻で親バレ。サムは自殺。最後は、ジェットが「こころ」のように遺書を読んで割とあっさりめに劇終。
感情描写が舌っ足らずな分、話のもって行きかたはやや不自然で大袈裟。雰囲気だけに頼らないで、二人が正直になれない感情の自然な流れをもう少し丁寧に描いてもらった方が、僕には分かりやすかった。だが、人間関係が過去と現在にわたって煩わしくない程度に複層するのは、監督のバランス感覚ならでは。また、売専のホストバーが主な舞台にもかかわらず具体的な性描写が禁欲的なほどに少ないのは、最後に二人が激しく絡みあう部分をグッと盛り上げる。そして、あと寸でのところで家に父親が帰ってきて結局それは未遂に終わるのだが、その後のサムの自殺も含めて、観衆を天国の入り口まで案内しておいて急転直下地獄の底へ叩き落とす終局は、この映画の白眉。
ジェット役のスティーブン・フォンは、木村拓哉と岡本健一と原田龍二と松尾雄一をたしてジャッキー・チェンで薄めたような男前。特に、カナに振り返るジェット、あれは完全に岡本健一でしょう。なのにチャオプラヤの泥水をコップ一杯だけぶっかけたような印象が拭えないのは、V6の井之原某にもどことなく似てしまったせいか?とにかくジャニーズ系のいい男なのだ(ただ、全体的にフニャ夫)。サム役のダニエル・ウーは、何というか、飾り気はないけど飾り物のように端正で美しい。二人とも演技が拙い分、それでは補えない細かな表情の素材感がかえって引き立っている感じ。あと、二人とも濡れ場は上手いです。二人の美少(青?)年にキャラ燃えしたい人は今すぐビデオ屋へ。はまる人ははまったまま抜けられません、多分。
ただ、正直な感想を一言でいうなら、悲恋の話を観るのはしんどい。自分を隠して優しい両親の前ではいい息子であろうとするサムの姿が、辛い。残された手紙を読んで独り泣くジェットの姿は、なお辛い…。