遠いコンサート・ホールの彼方へ!
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ロータス・カルテット

ISHIHARA HALL 春コンサート2000

2000年5月13日 18時30分 イシハラ・ホール

プログラム

モーツァルト
プロイセン王四重奏曲 第23番 ヘ長調 K.550

西村 朗
弦楽四重奏曲第2番「光の波」

シューマン
弦楽四重奏曲第3番 イ長調 op.41-3.


西村の「光の波」で十分満足しました

 この団体は、今年1月にも来日しており、その演奏やCDに感心したこともあり、週末を利用して大阪まで聴きに行きました。

 1曲目のモーツァルトの感想はパス、普段聴きなれていない上に、疲れていてほとんど落ちていました、申し訳無い。

 2曲目、本日の個人的にはメインである西村の「光の波」。譜面台上の切り張りした巨大な楽譜を捲るヒマがあるのだろうかという程の難曲で(特に第2楽章なぞ休む暇もない)、どこかで落ちたちりしないだろかという余計な不安もありましたが、それは杞憂に終わりました(実演ならではのちょっとしたキズはありましたけど)。
 CDで聴くロータスSQの演奏を当曲が捧げられたアルディッティSQと比較すると、ト音が稲妻のように跳躍する冒頭部からして、音が柔らかく(響きやアタックが鈍いとか弱いのではない)、全体に線が細く重心が高めで、しなやかな演奏と感じていました(ここが良い)。しかし、実演で聴くと、線は細く感じず、重心も結構低くて、その上アタックも強烈でありながら(CDは何なんだ?)、音がダンゴとならずにCD並に各楽器の分離をはっきりと聴かせてくれました。勿論、ルトスワフスキの弦楽四重奏曲が木霊のように聞こえ、バルトークの弦楽四重奏曲第3番、第4番を彷彿とさせる当曲ならではの鋭い音の緊迫感や弱音での緊張感、コーダに向かって突き進む推進力と迫力にも、ライヴといえば当たり前でしょうが、当然のことながら事欠かず、第2楽章のヘテロフォニックな部分は、その響きの交錯に私は恍惚としてしまいました。大阪まで来てよかった。
 
 3曲目、謎めいたシューマンの弦楽四重奏曲第3番。シューマンは好きな作曲家の一人ですけど、最後にこの曲を置くのはプログラム的にはちょっとアンバランスのような気もします。演奏を聴いても、作品自体のアンバランスさに戸惑い、その感は拭えませんでした。ただし、普段聴かないような曲ですけど、飽きずに聴かせてくれましたし、最終楽章のコーダも十分盛りあがりました。聴衆には受けていました。

 アンコールはモーツァルトの弦楽四重奏曲から1楽章が取上げられていました。

兎にも角にも西村1曲で十分楽しめたコンサートでありました。次回来日時は東京でもコンサートをして欲しいもんです。