遠いコンサート・ホールの彼方へ!
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関西フィルハーモニーオーケストラ
第140回定期演奏会

2000年7月14日 19時 ザ・シンフォニー・ホール

プログラム

フォーレ
組曲「マスクとベルガマスク」

ハチャトリアン
フルート協奏曲ニ短調

ブラームス
交響曲第1番ハ短調 作品68

指揮:ウリ・マイヤー
フルート独奏:工藤重典


二度と聴きに行かないつもり

 前日の大阪フィルハーモニーの演奏会終了後、知り合いと歓談している最中に、明日は関西フィルのコンサートに行くと話したところ、関西フィルはお奨めしないと言われましたが、確かに悲惨な演奏でした。
 普段聴きなれている、そして東京ではイヤと言うほど演奏されていて目を瞑っても演奏できるんじゃないかと思われるブラームスの交響曲第1番で、どうしてこうも合奏している感覚に乏しく味気なく覇気もなく締まらない演奏が出来るのか?なぜティンパニは拍のズレにお構いなく淡々と叩きつづけられるのか?変拍子もなく極めて速いパッセージもないブラームスの旋律なのに、何故弦がまともに揃わないで天然クラスター状態なのか?コンサート・マスター以外は弱音で音出しを出来ないのか?ウリ・マイヤーは部分部分で気まぐれなテンポをとっていて、終始一貫したコンセプトの解釈を何故示さないのか?
 本当にひどい演奏で、金返せものでした。しかし驚いたことに、殆ど当日のコンサート・チケットは売切れの状態の上に、終演後にはブラボーが飛び、良い演奏であったという声があちこちで聞かれたのでした。楽譜を見ろとは言いませんが、トスカニーニでもフルトヴェングラーでもカラヤンでも何でもいいのですが、ブラームスの交響曲第1番の「まともな演奏」のCDを聴いていれば、今夜の演奏が噴飯ものでしかないことはたちどころに分かるハズなんですがねえ。確かに誉めないと演奏家や団体は育たない、というのも一理あるとは思いますが、すでに140回も定期を行っている団体が、それも多分基本的なレパートリーであろうブラームスでこの体たらくなのに対して、盛大な拍手を送るのは、かえってオケをスポイルするだけだと思いますけど、それとも、私の聴いたのは金を出して聴いてもいいという熱烈なファンがいるアマチュアオケだったのか?
 この団体が秋にペンデレツキの「広島の犠牲者に寄せる哀歌」を演奏するとはとても信じられませんが、いつも天然トーン・クラスターの演奏を聴かされている聴衆には、かえってペンデレツキ作品への抵抗感はないかもしれません。皮肉ではなく。