遠いコンサート・ホールの彼方へ!
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日本フィルハーモニック交響楽団
「20世紀の作曲家たち」
第18回演奏会

2000年7月15日 18時 サントリー・ホール

プログラム

山田耕筰
音詩「曼陀羅の花」

外山雄三
ヴァイオリン協奏曲第1番

尾高尚忠
フルート協奏曲

矢代秋雄
交響曲

指揮:広上淳一
ヴァイオリン独奏:戸田弥生
フルート独奏:佐久間由美子


発見の多い演奏会でした

 山田耕筰作品、ナマでは初めて。師と仰いでいたR.シュトラウスの二番煎じの感は否めないが、それでも洋楽を摂取して僅か数十年で、ほぼ同時代の音楽にまで何とか追いついているのは立派。でも魅力のない作品。
 外山雄三のヴァイオリン協奏曲第1番。初めて聴くかもしれないが、相も変わらず民謡に寄り添いすぎて、それなしには何にもなく、まさに民謡のクラシック風アレンジ作品という趣きの作品。全くもって詰まらない。これならば、まだ「河の流れのように」をヴァイオリン独奏で弾かれたほうがマシ。戸田のヴァイオリンは、曲が曲だが、それなりに弾けていた。
 尾高のフルート協奏曲、5音音階などを使用しているが、伸びやかでさわやかな曲。朝の目覚めには良いかも。でも私にはそれ以上ではないなあ。フルート独奏は、前日のハチャトリアンのフルート協奏曲が細かいパッセージを延々と吹き続く得る部分が多くて、結果的に殆ど聞えない(オケとのバランスが実に悪かった)のとは対照的に、よく聞こえたとだけ言っておく。やはり最初からフルート協奏曲としてオケとのバランスを考慮しつつ構想されたせいであろう(もしくは、尾高とランパル<ハチャトリアンのヴァイオリン協奏曲のフルート協奏曲に編曲した>の作曲家として能力の違いか)。
 というわけで、分かっていたとは言え、ここまでの作品は私の好みからは遠く離れていて、NAXOSのシリーズもこんな感じの作品ばかりかねえ、と思わせる展開であった。
 休憩後の矢代の交響曲は、CDでは全く想像もしていなかった、ピアノやチェレスタやハープといった楽器が結構活躍していて、多様な音色で彩られた作品としての側面や普段は詰まらないので飛ばしている第3楽章が、実演では楽器間の受け渡しの妙なども見えて興味深く聞けた。広上の指揮は、予想していた以上に第4楽章をはじめとして押さえたテンポを採用していて、かといって重苦しくはせずに、グロッケンシュピールのモットー主題がすこし煩すぎる交響曲を上手く飽きさせずに聴かせてくれたが、できれば、最終楽章のコーダの弦楽器はもう少し強調して盛り上げても良かったような気がする。
 いずれにせよ、滅多にナマで聴けない作品が聴け、そして良い意味でも悪い意味で色々と発見があったコンサートであった(我ながら詰まらない総括だ)。