金色日記  Diary in Gold


 

5月13日(土曜日)

 『ロミオ・マスト・ダイ』__アンジェイ・バートコウィアク監督+ジェット・リー+アリーヤ

 どってことない映画であるが、カンフーをあやつる中国人の「ロミオ」に、アフリカ系の「ジュリエット」はなかなか新鮮である。しかし舞台が、ニューヨークでなく、アメリカですらなく、カナダのどこかの街らしいところが、二流アクションの証明のようでもある。
 そうか、アフリカ系同士の挨拶は、「Hi!」じゃなく、「What's up?」かぁー、と、べつに山田詠美に教えられずともわかってしまう映画でもある。
 実は斜め後ろの客は、アフリカ系のオニーサンであった。黒人が中国人にカンフーでメッタメッタにやられている場面で怒り出すのでは? とひやひやしていたら、笑っていた。いやはや、人間の考えることはみんなおんなじであった。しかし、前の席に足を乗せる奴はなに人(じん)だって感じが悪いゾ。
 
 

5月15日(月曜日)

 けふはまことにタイミングのよい日なり。わずかばかりの原稿料の振替で送られるのを待って、何度も集合郵便受けを見に行き、(4時までに来ないと、今日はもう引き出せないんだよねーーー)とあきらめかけた頃、郵便屋さんのバイクの音。ピンポーン!と郵便受けに入りきらない郵便物を届けてくれた。でわ、郵便受けには……?!

 見に行くと「あったー!」。急いで家を出て駅前の郵便局までバスで行く。換金し、(こんなとき、ハギオさんでも電話して来ないかなー……)と思ったが、(ま、自分からするほどでもないや、あっちはいろいろ忙しいし)と、買い物にデパートへ入り、しばらくするとピッチが鳴った。「いま、どこにおるん?」

 ハギオさんとペチャクチャしゃべりながら、ウィンドウ・ショッピングをし、例の「ESPRESSO BAR」でお茶する。彼女も外国へ行き、近頃はすっかりカフェずきになった。こうして外の席に座っていると外国のカフェの気分に浸れる。

 帰りのバスもスムーズに来た。空気はやや肌寒いほど澄んでさわやかな日であった。

 「郵便受けに入りきらない郵便物」とは、bol.fr で注文していた、Italo calvino " Les Villes Invisibles"、Homere " Iliade(Chants 歛 ヲ)、Homere "Odyssee"である。いま、1フランは16円ぐらい。3冊で送料も入れて、189.65フラン。やすいーーー!
 
 

5月21日(日曜日)

 『ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ』__ヴィム・ベンダース監督+ライ・クーダー+キューバのミュージシャンのジーサン、バーサン

 悪くないんだけど……あんまり地味で途中で寝ちまった(笑)。ついにベンダースは「わび」「さび」の境地に達したか。

 *

 それよか、である。CNN.comのエンターテインメントで、ウッディ・アレンの新作が紹介されていたんだよね。題名は『Small Time Crooks』(『三流詐欺師たち』(?))。やっぱり、L'EXPRESSで読んだとおり(ある日、アレンから出演依頼のFaxが入ったとインタヴューで語っていた)、ヒュー・グラントさまが出る。その写真もちらと載っていて、ストーリーは、アレン扮するしがない悪党が、トレーシー・ウルマン扮する妻が焼いた秘密のクッキー・ビジネスで思わぬ金を得る。しかし「クラス」までは金で買えない。妻は、上品な入れ込みがいのある男に専心する。それこそ、「美術商」のヒュー・グラントさまで、妻は金を搾り取られて捨てられる……。だって。

 アレンはこの小悪党、レイ・ウィンクラーの役は、「コニー・アイランドのホットドッグと同じくらいおいしかった」と言っているそうだ。に、にくい。なんかホットドッグが食べたくなったー。

 本題はこれから、である(笑)。上記の記事をちらと見たのは数日前、そのあと、夢にヒュー・グラントさまが出て来て、私の耳もとで「7階で待ってるよ」と日本語でささやいた。その後、私はそこへ行き、彼とキスするところまでいった……が、途中で自意識(「彼、私のことをオバサンと思ってるんじゃないかしら?」という(笑))がそれを中断してしまった。オシー! よく考えてみたら、ヒュー・グラントは若そうに見えるが、私とそれほどトシは違わないのだ。

 目覚めてから、(「7階」とは、どこの7階で、どういう意味があったんだろー?)(しっかし、日本語は嘘っぽいなー)などとひとり夢想に耽る私だった。はは。
 
 

5月23日(火曜日)

 『エニイギブンサンデー』__オリバー・ストーン監督+アル・パチーノ+キャメロン・ディアス+デニス・クエード+ジェームズ・ウッズ+ジェイミー・フォックス+マシュー・モディーン

 やあ……ひさびさに、マシュー・モディーンさまを見たわぁー……やっぱ、いい男だねー……相変わらず頭よさそうで……(

 ……って、そういう映画じゃないんだけど……。

 アル・パチーノがアメフトのコーチになって、生意気な新人に人生のなんたるかを教える映画。そういう映画なもんだから、スポーツ映画なのに、やたらアップが多くて、実際、ゲームがどうなってるのか、全然わからなかった、私は。
 まあ、アル・パチーノのくたびれた中年男はよかった。中年でも目がでかいからなんかかわいいし、ちびでも声がでかいから迫力あるし。

 ラストは根性ものらしくなくて、意表をついてよかったんじゃないの?

 マシュー・モディーンは、チーム付きの良心的な若き医師を演じていてぴったし。しかし、役どころとして、完全に脇。しかし、その脇を、アン・マーグレット、チャールトン・ヘストンなどが固めているので、まあ「大物の一人」としてか。でも、モディーン主役の映画が観たい。
 

5月28日(日曜日)

 『マイ・ハート、マイ・ラブ』___ウィラード・キャロル製作・監督・脚本+ジリアン・アンダーソン+ショーン・コネリー+エレン・バースティン+アンジェリーナ・ジョリー+デニス・クエード+ジーナ・ローランズ+マデリーン・ストー+その他豪華キャスト

 『マグノリア』と非常に似たつくりの映画で、「断片」がしだいにひとつのストーリーへと収斂していく。しかし、前者と違って、「メタ」の部分が少ない。そのぶん、安心して観られるし、心暖まる感じもするが、「芸術性」は落ちる。

 しかしまー、映画には、それほど「芸術性」はいらない気がするし、その概念ももはや古いのかも──。

 アンジェリーナ・ジョリーが生き生きとしてすごくよい。彼女とからむ「少年」役のライアン・フィリップも今どき珍しい純な感じが出ていてよい。

 『エリン・ブロコビッチ』__スティーブン・ソダーバーグ監督+ジュリア・ロバーツ+アルバート・フィニー

 「男女平等」の国アメリカといえど、ハリウッド女優の地位は男優よりはりかに低く、人気女優も、ギャラの点でははるかに劣る。ジュリア・ロバーツこそ、その「不平等」を是正しようと迫る女優で、今ハリウッドで最も出演料が高い。その額は、やっと、一本、30億円の「大台」に乗ったとか……。

 前にも書いたが、ド庶民の女をやらせると右に出る者のいないジュリアの啖呵には胸がすく。チッソとか有機水銀の公害訴訟のような六価クロム垂れ流し問題で、アメリカ史上最大の和解金を手にした女を演じる。

 といっても、弁護士ではなく、高卒、子持ち、離婚歴2回の、最悪の状態にいる女。いかに彼女ががんばるか。それは、「弁護士」の資格を持っていれば、それで何でもできる時代の終わりを告げる。

 啖呵だけでなく、ハートもガッツもあるところが、いかに『セックスと嘘とビデオテープ』のソダーバーグらしくていい。また、ジュリアの挑戦的な肌見せファッションも、「女」を逆手にとっているかのようで快い。

 名台詞いっぱい。「尻が垂れないうちに着られるものを着なきゃね」(セクシーすぎる服装を指摘されて)。
 「なにさ、ダサイ靴履いちゃって」(気取った女弁護士に自分のやり方を批判されて)。
 
 
 
 


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