3月25日(木曜日)
『パーフェクト・カップル』__マイク・ニコルズ監督+ジョン・トラボルタ+エマ・トンプソン。
例の、クリントン夫妻を彷彿とさせるハナシとして売り込まれた、作品である……が、予告編のえげつなさを期待していくと、これが、しっかりドラマしている
well made play。
かつて、アンソニー・ホプキンス主演の『ニクソン』という映画があったが、あれは、考えてみれば、民主党的野心作であった。
これは、共和党的 well made play。
エマ・トンプソンはあいかわらず、うまーい!
余談であるが、アメリカには人の数だけシソーがあるのではないかと、思い始めた今日この頃である。
*
『輝く金字塔』__アーサー・マッケン(国書刊行会、1990年刊)。ボルヘスの「バベルの図書館」シリーズの1巻。
事件が起こる。謎が解かれようする。謎が解かれる。しかし、解決はどこにもない。
スティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』の文体を思い出すが、それよりずっと簡潔で洗練されているし、謎も奥が深い。
こういう作家は、当然のことながら、日本にはいない。
3月26日(金曜日)
(プロの)作家のサイトを覗くと、たいてい、編集者と会ってどーたらこーたらと書いてある。こうした記述を、マッチ売りの少女のように覗きながら、「いいなー、うらやましいなー……」と、思っていた。
(誰か編集者が電話かけて来ないかなー……)と、電話の前で待つこと数年……
かけてきたんだよ、東京の出版社のヒトが。
あたしゃべつになんにも言ってないのに、向こうから、ボルヘスとかカルヴィーノの話題を持ち出してきて、気がついたら一時間以上も話してました。
「今の日本の作家で注目している人とかいますか?」と言うから、
「いませんねー。ま、丸谷才一が生きているあいだは、私は浮かばれないと思ってます」と答えた。
それから、ひとしきり、作家、評論家に対する罵詈雑言を、10年分ぐらいしゃべってしまった私だったが、その人も大笑いしちゃって、結構ノッてるの。
最後に、「楽しいお話をありがとうございましたー」と言ってその人は電話を切ったが、
いったい誰だったのか(笑)?
ま、いいや。しかし、「現代思想」系の編集者とは、やっぱり気が合うなー。
3月28日(日曜日)
Liberation(仏)、The
Guardian(英)、The Times(英)、ABC
News(米)などのサイトをめぐり、いわゆるひとつの「コソヴォ問題」に関する記事を読む。
3月27日付のニュースは、どこも、NATO空爆に対するセルビア側の「報復」をレポートしている。
見せしめのために、アルバニア系有名弁護士と二人の息子が連行され、やがて彼らは射殺体で見つかった。
アルバニア系の住民が集められ、NATO軍が標的にしている場所に並べられた。
「民族浄化」のため、アルバニア系の婦女子は、男性と引き離され、居住区から出ていくように言われ、山を越えて逃げる人々の列が続いた。
空爆のどさくさに紛れて、商店の略奪や、建物の破壊が続いている。
セルビア警察や軍による不当逮捕や連行、拘留。
村まるまるひとつが、空っぽなのを見た、という報告。
ある村では男性20人がセルビア軍に処刑された。
NATO軍とアルバニア軍に責任をなすりつけるため、セルビアの街をもわざと破壊している。
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レポートはまた、セルビア人たちも苦しんでいる、と報告している(ABCでさえも)。
それはそうだろう。
軍でも警察でもないフツーの住民だったら、セルビア人だろうと、アルバニア人といっしょに逃げる人もいるだろう。事実、そういう人々のことも報告されているし、アルバニア解放軍だって、黙っちゃいないから、セルビア軍に攻撃をしかけるだろう。
しかし、これは、はじまりとしては、単なる民族紛争とは違った。NATO軍が出てきて攻撃するからには、そこに、国際的な(人道上の)ルール違反があったのである。それは、やはりセルビア政府の組織的犯罪(「民族浄化」の名のもとの住民虐殺、集団レイプ、等)であった。
だから、私は、NATO軍の攻撃は、内政干渉ではない、と思っている。人道的犯罪に対する制裁なのだ。
しかし、それは、結果として、その犯罪を抑止するどころか、逆に煽ってしまった、というのが、今までの状況である。
The Guardienのアンケート、空爆に賛成か反対かは、28日の午後10時頃(日本時間)見た時点では、賛成46%、反対53%であった。全体数が何人かはわからないけれど。
私は「賛成」に一票を投じたが、「効果」上は、よくなかった。しかし、空爆がなければないで、セルビア政府のアルバニア系住民迫害はさらに続いたであろう。
なかでは、The Timesの記事が、いちばん具体的であった。
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まー……なんていうか、こういうのは、政府レベル(制裁もまたしかたない)とか個人レベル(被害を受けるのは、どちらにせよ、一般住民である)とか、歴史(セルビア、アルバニアの怨念の系譜は、イスラエルとパレスチナに似ている)とか、いろいろあって、それを追ってないと、それがどういう意味を持つのか、どう判断してよいのか、よくわかりませんね。
私個人の感じとしては、みんなユーゴのミロシェビッチが悪い、と思う。
コソヴォ地区の住民の大多数は、アルバニア系である、ということです。
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ほんとーに、このサイトはためになること……。
3月31日(水曜日)
『パッチ・アダムス』___マット・デイモンが出た、ほら、なんていうか、題名忘れた、あの、数学の天才の青年の話の、あれでその青年を目覚めさせる役をやったロビン・ウィリアムスが、今度は、自分が「青年」役をやってしまった映画。だけど、トウがたってるからねー……。
そのロビン・ウィリアムズの臭い演技さえなけりゃ、よくできた映画だが、それがなきゃ成り立たない困った映画でもある。
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「コソボ問題」がコンピュータに及ぼす問題について___NATO空爆の抗議として、ロシアはY2K問題で、アメリカとの協力をやめた、とか。……CNNのTechnologyの見出しにあったもーーーん。
Mellissa and Papaウィルス対策__これは、データを壊すウィルスではないそうです。ただメールサーバーがおかしくなるみたい。その場合、Word、Excelのアタッチメントを削除すればよい、とか。
この方法は、将来の備えにはならない。将来のウィルス対策としては、ワクチンがあり、それはこちらで。
ほんとーに、この「日記」はためになること(といっても、ワシはそんなメンドーなことはせんがなー、WordもExcelも使ってないしー)。
4月4日(日曜日)
……っとー……4月ももう4日かあー……。
Liberationのサイトで、Kosovo関係のりっぱなリンク(コソボ側、セルビア側、アメリカ政府のコソボ関係窓口、フランス政府のコソボ関係窓口、アムネスティ、国連高等弁務官の難民事務所、赤十字、NATOなどなどの各サイトを余すとこなく網羅)を見ていたら、ふと思い出したんだけど……
その昔、「湾岸戦争」なるものがあって、それに反対するとかで、日本の文学者や文化人などなどが、声高に声明を出すってなことがあった、正義の味方みたいなカオして。
今回、その「文学者並びに文化人」は、いったいどこへいってしまった〜〜〜♪
思えば、サダム・フセインは、いかにも悪者のような顔をしていたが、ミロシェヴィッチに比べれば、それほどのワルってわけでもない。コソボ自治区で行なわれているナチ的行為に比べれば、人道的に裁かれるというほどのことをしたわけでもない(……だから、あのときは、アメリカに反対したんだったか?)。なのに……今回、なぜ、あのとき正義を貫こうした方々は黙っているのか?
ひょっとして、テレビが、「戦争の生中継」をしないからじゃないだろーね?
原油にまみれた鳥の映像がないからじゃないだろーね?
……なんちゅうことを思ってしまったではないか。
今ごろになって、日本(やアメリカ)のマスメディアはコソボ問題を大々的に扱ってますが、この問題は、フランスのメディアでは、もう何年も前から、しつこく出ていたのだ。
で、何が言いたいのかというと、やはり外国語は、英語だけでは不充分なのでは? 少なくとも、世界で何が起こっているのか、知りたいなら。
20年前になー、小林秀雄センセイの「教え」を読んだんだよなー……。
「作家志望の諸君へ」っていう。そこにはアドバイスが箇条書きしてあったんだよねー。その中のひとつに、少なくとも、二カ国語以上の外国語を習得すること、ってあったんだよねー。あたしゃ、それを忠実に守ったんだよねー……。(←前にも書いた覚えあり(これっばっか(苦笑))。
でも、「現状」みたらねー(苦笑)。あ、「大衆**」(←いまどき死語との声あり)の方々は関係ないよ。
え? なにを今更、小林秀雄だって? いやーーー……意外と「復活」するかも。なんせ、あの東浩紀が持ち上げちゃったからねー。
(すべてオバサンの「ひとりごと」です、ハイ)
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「Kosovo関係のりっぱなリンク」__CNNにもありましたです。試しに、NATOのサイトへ行ってみようとしましたが、満杯だった……みたい。
4月5日(月曜日)
『ユー・ガット・メール』によれば、いま、ニューヨークのアッパー・ウェストサイドで流行っている飲み物は、カプチーーーノ、だそうである。
そうするとすぐ影響受けちゃって、某ビルの、家電店のあるフロアの一角に開いた、エスプレッソ・スタンドへいっちゃうわけよ、わざわざ本読みに。
そこで、カプチーノと、手焼きクッキーを(これは昔の駄菓子屋の瓶みたいなのに入っていて自分で取る)一枚。
カプチーノとカフェ・ラテとどう違うのか、オニイサンに訊く。_____カプチーノの方がミルクの泡の層が厚いんだって。
そこはなにしろ、家電店の「一部」なんで、家電店との「し切り」には、ビデオが二十台くらい、タテヨコに積んである。それがいつも、何台ものビデオで『アルマゲドン』を流している。しかたないんで、読書の目をときどきそっちに移す。それで自然に、映像研究。いやー……なかなかよくできた映画だ。
それで思ったのは、最近の映画が、昔のに比べてよくできているのは、編集技術の格段の進歩によるものだな、ということ。
"Just...I wanted to say I'm sorry about everything."_____なんて、台詞まで覚えてしまいましたよ。
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東浩紀『棲み分ける批評』(「Voice」4月号)___これは「文芸批評」批評です。しかし何をテーマに書こうと、この人はデリダ学者である。そして、それをちゃーんと実践しているところがエライ。
実は、件の編集者に、「日本の作家で注目している人が誰かいますか?」と訊かれたとき、私は、この人の名前を挙げました。
「参考文献を全部原書で読んで、しかも引用は、自分で翻訳してるとこがすごい」と言ったら、「それは専門の研究者なんだからあたりまえですよー」と言われてしまいました。そうかー。
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ほんじゃあ、まあ、ついでに応用編。
ちょっと前、マジシャンのサイトで、マグリットの、頭部を布で覆った男女が唇を寄せ合っている絵について、あれこれ問題にすることがありました。それを見て、春歌の「醜い女とするときにゃー、ハンカチ(だか風呂敷だか)かぶせてせにゃならぬー……♪」を、マジシャン氏は思い出したとか、書かれてました。その後、それについては、あれこれ、いろいろ意見が出たみたいですが……。
しかし、誰一人、あの布の中には、男女の顔があると信じて疑わなかったわけです。
しかし、あの中には、ほんとうに顔があるんでしょうか?
「ない」とも言えるし、「ある」とも言えるし、「あれはただの男女の体の上に布を描いた絵にすぎない」とも言える(Pouvoir-ne-pas-etre)。
つまり、signifiantとか、signifieとか、transcendantとは、そういうことです。
(なんせ東浩紀読んじゃったもんなー…………(笑))。
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こんなにレベルをアップしちゃったら、ほとんど訪問者がいなくなるのでは……。
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ちなみに、仏語ページでは、ずっと以前から、「ラカン『エクリ』を読む」というメニューを作ってましたが、チョー難しくて、ワタシの実力ではよくわかんなかったもんで、作っただけで中断してます(笑)。
でも東クンのおかげでちょいわかってきたみたい
(←ハハハ……あったんだな、これが)