金色日記 Diary in Gold


4月18日(日曜日)

 『りんご』サミラ・マフマルバフ監督(イラン)___18才の天才少女監督、ということだが、この監督が天才かどうかはわからない。しかし、これは、そんなプレミアムなどどーでもいい、りっぱな「作品」である。

 題材は、イランで実際にあった「事件」、双子の少女が12才まで父親によって監禁されていた、という「事実」をもとにし、しかも、登場人物も、その「当事者」たちである。

 しかしこれは、そこから想像されるような陰惨なドキュメンタリーではない。

 「りんご」をキーにしたファンタジーである。

 自宅に鍵をかけられ一歩も外へ出してもらえなかった少女たちは、近所の人々の署名で福祉事務所の人に助け出されるが、彼女たちの顔はずーっと笑ったままである。

 見るものすべてが珍しいのである。そしてその家庭に一歩踏み込んでみれば、それなりの「事情」もあったのである。父親は年寄りで視野が狭く、臆病者で、そうするよりほかに、娘を守る方法を知らなかった。なにせ盲目の母親の代わりに買い物に出たりしなければならなかったから。

 その男には職がなく、人々の施しで生活していた……。

 思えば、日本でも、何十年も前なら、こんな父親が、娘を監禁するまででなくても、いたかもしれない。

 妙に懐かしい感じもする、ハリウッド映画の文脈とはまったく異なった文脈によって作られた、エンターテインメント。



4月19日(月曜日)

 Amazon.comより、注文してあった本が届く。

The Complete Poetry and Prose of William Blake____$18.36
The Three Impostors (Arthur Machen)____$5.56
The Theory of the Leisure Class (Thorstein B.Veblen)____$1.60
送料__$9.85

 やすーい! とくに、ヴェブレンの『有産階級の理論』(邦訳、ちくま学芸文庫にあり←まー、親切なことー)は、なんと、1ドル60セント、フツーのペーパーバックが、だよ。

 これは、著者がみな死んでから数十年以上経っているので、著作権料とか版権がいらないからか? ほとんどコピー代である。

 一昔前は、洋書っていうのは、バカ高いうえ、日本にいるかぎり入手も困難であった。なんて時代になっちまったんだろー……(植草甚一が知ったら泣くだろーなー……)。

 おまけに、特製ポスト・イットのオマケまで入っていた(なんで私がポスト・イットがすきってわかったんだろー?(笑))。

 ほんとにここは、至れり尽せりで、ついつい買ってしまう。

 紀伊国屋Webも、かつては不備が目についたけど、私が再三メールを出してAmazon.comを見習うように指導したところ(笑)、最近ではぐっと向上し、ついに、Web of the Year に輝いたみたいですね。
 買わなくても、「国内和書」の調べ物は、ほんとんどここで足りる。ただし、会員じゃないと、10冊ぐらいしか表示されない。

 ここは、コワイことに、本を出したヒトであれば、どんな超無名人(そんな言葉があるのかねー?(笑))の本も網羅されてる。私なんか、知り合いの無名人の名前検索して遊んじゃったりするもんねー。あのヒトのも、このヒトのも、あったー!!(笑) どーやって、調べるのか? 書店界のCIA。



4月20日(火曜日)

 「超」で思い出したが、「超」のオジサン、野口悠紀雄の『超インターネット利用法』だったか、も、買ったが、本文はなんと100ページくらいしかない。あとはWebの紹介。

 氏のホームページ「攻略本」と考えていい。

 確かに「有益なリンク」が多い。しかし、本を買ったヒトしか、全部見られないようになっている。
巻末の「袋とじ」(『週刊現代』みたい、と思ったら、その元編集長も噛んでました(笑))内部に記載されている、その読者固有の番号を、野口サイトで打ち込まないと……。

 でも、一つ一つ検索すれば、わからないこともないけどー、面倒なだけで。

 しかし、このヒト、ついに株式会社を作ってしまいましたか。

 氏の目配せは、でも、英語圏だけだもんねー。



4月21日(水曜日)

 実はこのサイトには、というか、私には、というか、フランス人の「ストーカー」(という表現は正しくないかもしれないが)がいる。
 誰も見るはずのない仏語ページのカウントが増えていたりする(数えてるワタシも逆ストーカー(笑)?)。しかし、べつにそんなのはどーでもいいのだ、メールさえ来なければ。

 ここ1ヶ月くらいメールが来なかったので、やれやれ、(視界からは)消えてくれたか……、と思っていた矢先、またメールが来た。来るときは、なぜか一度に数通来る。

 「自作のCDROMを作っているので、文部省の助成金(確かそういうのがあったようなことも耳にはしているが)をもらいたいが……、日本の大学で奨学金をもらって……でも、受け入れてくれる教授が……蓮實氏を考えたが、とても難しそうだし……何か助けてくだされば……」

 いやー……初めはまともな青年と思ったし、一度「読めないファイル」を送ってきたので、CDROMなら普通郵便で送ってくれと住所教えちゃったもんなー……。だから、無視するのも恐くって、一応教えてやりましたよ、

 蓮實の居場所

 お話変わって、そのハスミちゃんですが、東大入学式式辞で、現行用紙42枚ぶんのメチャ長いオハナシをしたとか(所要時間47分)。
 「Yomiuri ON-LINE」に全文載ってますが、まだ全部は見てません。記者が抜粋した部分だけ読んだのでは、マトモー!

 記者はしきりに、「難解」で、みんなとまどった、とか書いてるけど、どこがー?

 なんか学長になった初回は、ごくあっさりめにすませたみたいだけど、これは、戦略じゃないの? いよいよ、好き勝手にやらせてもらぞっていう。

 ほんとに、氏のいうとおり、

 「全部説明しちゃうのは相手に対して尊敬を欠いてる」かもねー。

 「『100%わかんないとわかったことにならない』と思うのは、現実に対する侮蔑」かもねー。

 ハスミ氏の「著作」は、入学式式辞だろが、単行本だろうが、オモシロク読んでしまう、元「ハスミ研究家」の私だった(ちなみに私の評価→文学論は×、映画論は○)。



4月22日(木曜日)

 昨日の夜明けにさー、Yomiuri ON-LINEに「ハスミの式辞」に関するご意見を、と書いてあったので、メール出したらさー、私の意見も載ってるの、今日(笑)。以下、記事引用+私のカンソー付き。

****


 ◆東大総長の“難解”式辞に批判と共感

 東京大学総長(学長)の蓮實重彦さん(62)が今年度の入学式で読み上げた“長大かつ難解”な式辞に関する記事と式辞全文を、読売新聞社のホームページ「ヨミウリ・オンライン」(http://www.yomiuri.co.jp/)に掲載したところ、十八〜二十一日の四日間で、記事に二万五千件、全文に八千件を超えるアクセスがあった。

 メールなどで寄せられた感想は賛否両論に分かれた。

 千葉県君津市の主婦間宮由美子さん(47)は、「理解不能な式辞は非常に危険。内容のないエリート意識を植え付けるようなものだ」と批判し、

 ↑「理解不能」ってさー、「あんたにとって」だろ? しかし、なぜ、それが「エリート意識を植え付ける」ことになるわけ?

「一学者としてでなく、総長としての役割をもう一歩踏み込んで考えて」と注文。

 ↑「総長」としての役割ってなんなわけ? まさか「新一年生に、こうちょうせんせいが、『みなさん、わからないことはおにいさん、おねえさんに聞きましょう』って、アレじゃないだろーね? いやしくも日本で一番難しいと言われている東大の学長だよ! こういうPTA主婦の意見てのは、自分のアタマで全然ものを考えない「紋切り型」なんだよ。


 同県佐倉市に住む新入生の父親(51)は、「その場で聞いていた者としては、ただただ長くつまらない話だった。裏返しのスノビズムだ」としている。
 
 ↑これも、このヒトのアタマが悪いとしか思えない。

 「『難解』を『平明』に説明するのがインテリジェンスでは」(東大卒業生)、
 
 ↑当然のことながら、「東大卒業生」にもバカはいる。

 「東大至上主義にしか聞こえない」(他大学の新入生)などの声もあった。

 ↑やっかみ。

 一方、岡山大工学部の文部技官山田益男さん(50)は式辞の持つ「知性の活性化」の効用を評価し、「三十年以上学生を見ていて、昨今の日本人の薄っぺらな脳みそを何とかしろと言いたくなる。少なくとも難解な話・文章に耳を傾け、読もうとする姿勢は欲しい」とする。

 ↑ま、そりゃ、そうでしょう。

 「蓮實氏の著作を愛読してきた者には、きわめてまっとうな『著作』」とする女性も。

 ↑きゃー、これは、私の意見だ(笑)! でも、どーして「女性」ってわかったんだろー?

 さらに「東大の入学式を特別扱いするな」

 
↑言えてる。だいたい、なんで、読売はこんなもんを「記事」にするわけー?

 「この式辞のどこが難解か? 記者は無教養を恥じるべきだ」など、記事掲載への痛烈な批判もあった。

 ↑これは、完全に言えてます。でも、私じゃありません、これ言ったの。言いたかったけど、角が立つと思って、表現を和らげたのだ(笑)。新聞記者って、単細胞のヒトが多いから(笑)。

 これらの反響に対し、蓮實さんは、「予想通り、批判と共感が極端に二分しましたが、そのこと自体が、この式辞の主題である社会の『複雑さ』を証明しています。私としては、これから思考することを学ぼうとしている若い男女に、対等な個人として、最大限の『敬意』をはらいつつ若干の挑発を行ったつもりです」としている。

 あ、そうですか。よー考えたら、私、ハスミを「卒業した」んだった。チャン、チャン。

 どーでもいいんですけど、この記事の「文体」からしてすでに紋切り型。世界で何が起ころうと、すべてをこのような「文体」で語られたら、どんな意見が戦わされようと、世の中変わるわけがない。



4月23日(金曜日)

 『エネミー・オブ・アメリカ』__トニー・スコット監督+ウィル・スミス+ジーン・ハックマン+ジョン・ボイト

 題名がなんとも、あからさまであるが、「エネミー・オブ・アメリカ」、つまり、「アメリカの敵」とは、ユーゴスラビアでもなんでもなく、実はアメリカ自身である、ということを、いまやはっきり理解した作品、と見た。完全なるエンターテインメントではあるが。

 監督のトニー・スコットは、たしか、リドリー・スコットの弟だったか、兄だったか、で、その片鱗は、映像にも表れている。

 ウィル・スミスは、黒人であるが、ハンサムな感じも、知性も、繊細さもあって、非常によい。

 ジーン・ハックマンの役は、かつての『盗聴・カンバセーション』の20年後という感じである。

 もー、ジョン・ボイトは、あいかわらずのNHK会長的雰囲気(いったいどんな雰囲気だー(笑)?)である(この人、ほんとにジーンズ穿いてたんですよ、昔は)。

 ガブちゃん(有森の夫ではない!)をほんのチョイ役に使った贅沢さ。

 ついでに言えば、『エンジェル・ハート』のリサ・ボネット。

 あの、ジェーソン・ロバーツ。

 と豪華キャストに加え、ストーリーが非常によくできている。うーーーん、こういうエンターテインメントも書きたい!……ような。

 オススメ度、二重マル(どういう基準だか、よーわからんが(笑))。



4月26日(月曜日)

 つれづれなるまま、新聞を手に取ると、昨日の読売新聞である。ま、いっかー。読書欄を開くと、嵐山光三郎の書評が目に留まった。私はこのヒトの文章、ケッコー、すきなんです。

 評している本は、瀬戸内寂聴師の、『いよよ華やぐ』上・下(新潮社)。その書評書き出し、

 「『源氏物語』現代語訳をなしとげた瀬戸内寂聴さんは、あとはユーユーと余生を過ごすのかと思っていたら、とんでもない、老婆色ざんげ集成ともいうべき恋愛ジツジ小説を仕上げてしまった。ジツジとは「実事」で、性行為をさす言葉だということもこの小説で知った。女はいつまでジツジが可能か、ということもこの小説に出てくる」

 やー、もう、今週の「書評大賞」は、このヒトでしょう(いつしか、「書評評論家」になってしまったワタシだった)。

 などと思いつつ、もう一枚、ページをめくると、「顔」欄に、なんと、上記の小説のモデルとなった、鈴木真砂女さん(92才、美人!)のインタビューが。べつにこの書評と関連してではなく、なんとか言う俳句の賞を取ったから。

 ……なんかできすぎだなー。上記書評を読むと、その本も読んでみたくなる。書評は、Yomiuri ON-LINE(近頃こればっかりだが)のヨミダス(データベース)で、検索できるでせう。まだのヒト、行って、読もうぜー!
 


 中毒症状に陥りやすいワタシは、だんご中毒になり、毎日、なにがしかのだんごを買っては食べている。今日買ったのは、フツーのみたらし(これは絶対入れる)と、なんと、柏餅をだんごにした、柏だんご。こしあん入りの白いだんご三個を串に差して、それを一枚の柏の葉で包んである。柏餅そのまんまの味。



 なんにでも付箋をつけてしまうワタシは、なんと、銀行の預金通帳にも付箋をしていて、それをしたままCD機に入れてしまい、あわててすぐに「取消」をボタンを押したしだいである。



 嵐山光三郎氏によれば、編集者が作家より背が高くてはいけないそうである。



 夕空晴れて、春風吹く〜♪



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