金色日記 Diary in Gold


3月4日(日曜日)

 『バガーヴァンスの伝説』__ロバート・レッドフォード監督+ウィル・スミス+マット・デーモン+シャーリーズ・セロン

 確かに「主役」は黒人なんだけど、なんかワスプ臭い映画だなー。

 三月や暗い天より雪の降る



3月7日(水曜日)

 『偶然の恋人』___ドン・ルース監督+ベン・アフレック+グウィネス・パルトロウ

 あんまり期待せずに見たんだけど……結構のめり込んでしまった。脚本がよい、それをていねいに描く演出もよい。また、水準以上の演技をする俳優陣もいい。

 まあ、恋愛つーのは、そういう不条理な偶然を、多かれ少なかれ抱えているもんですね。それをていねいに追っている。小説で言えば、文体の一部にも相当する俳優の表情がとてもよいのである。なかでもグウィネス・パルトロウは、見直してしまった。この人、伊達にアカデミー賞もらったわけじゃないみたいね。ほんとに、うまいのだ。彼女がアカデミー賞を取った、『恋に落ちたシェークスピア』は、作品自体が面白かったので役得と思ったが、この作品で才能を見抜いて投票した、アカデミー会員たちは、エライ!

 えひめ丸沈没事故をめぐる米海軍の査問会議が開かれたけど、アメリカって国は、各組織がそれぞれ内部に、内部での事件を調査する機関を持っていて、何かあるとすぐにそれが活動を始め、警察より早く、事故の経緯を、裁判形式で明確にしていくところは、やっぱ開かれているなー。

 映画でも、そういう機関を題材にしたものは、多くて、思い出せるのでも、『英雄の条件』『将軍の娘』、題名は忘れたが、前の湾岸戦争でのできごとを描いた、メグ・ライアンとデンゼル・ワシントンが出た映画も、内部機関が、そこで何が起こったのか? を調査するものだった。

 今度の調査も、『英雄の条件』で言うと、トミー・リー・ジョーンズに相当するグリフィス少将が、「前艦長は人の意見に耳を貸すタイプではなかった」ので、ソナーの解析で、えひめ丸の存在をつかんでいたが、報告しなかった、という他の乗組員の証言を報告して、そこには、微妙な人間関係があったことを明るみに出している。こういうのは、外部の調査機関では、なかなかつかめるものではないと思う。

 あと、ワドル前艦長が雇った弁護団も、見物である。

 かつて塩野七生という作家が、「政治は好きだけど、日本のは茶番であって、政治ではない」と言っていたのを、何かで読んで、まったくだなー、と思って、それ以来日本の政治にはまったく関心を持って来なかったが、なんか、いよいよ森が辞める(させられる)みたいですねー。

 かつて、女でしくじった宇野ソースケとかゆー首相がいたけど、あれはあれで、自分の意志だったんだから、森より遥かにましで、あれよりみっともないですねー(笑)。どんなバカでも首相になれるという歴史を作ったという点では、意味のあることだったのか。


3月11日(日曜日)

 『Snatch(スナッチ)』___ガイ・リッチー監督+ベネチオ・デル・トロ+デニス・ファリーナ+ビニー・ジョーンズ+ブラッド・ピット

 そのスピード感が創作の参考にもなるような、センスのいい映画である。お話が、大上段に構えた「A級」風でも、大きな物語でもないのがいい。世界の片隅の、うさん臭い人々の、滑稽なエピソード。いろんな人物が出るが、なかでも私の興味を引いたのは、

 「ユダヤ人にあこがれ、ユダヤ人になりきっている」宝石商のオジサン
 「その従兄弟で、ロンドンが大嫌いなNYのマフィア」のオジサン
 「KGBくずれであらゆる武器を売買している」オジサン

 この三人である。とくに、ユダヤ人にあこがれているオジサンの場面では、物悲しいユダヤ音楽が流れて、この音楽がすきだ。実は私も、ユダヤ人にあこがれ、ユダヤ人になりきりたいと思っているのだった。

 あ、ブラピですかあ? よくやってましたよ。自分で自分がわかってる感じで、感心した。妙になまめかしい、ダサい柄(焦茶色のような濃い色の地に、白っぽい小さな柄があった)の「ブリーフ」にも感心した(笑)。

 終わり方も好みである。


3月15日(木曜日)

 『背信の行方』___マシュー・ワーカス監督+ニック・ノルテイ+ジェフ・ブリッジス+シャロン・ストーン+キャスリーン・キーナー+アルバート・フィニー

 これは……青春時代に過ちを犯してしまった三人の若者(男二人+女一人)の二十年後の人生を描く、メロドラマだった。三人は過去の過ちのために苦悩しているのだが、それにしてもなんでこんなツマンナイことしてしまったんだろ? もっとましな考え方ができなかったのか? まあ、それが、苦悩に結びつくんでしょうけど。それにしても、やはり、アメリカ人はセックス・コンプレックスから逃れられないね。

 三人とは全然カンケイない役で出て来る、スーパーマーケットで働く女、キャスリーン・ターナーが、主役の三大スターを食っていて、それがドラマを変な方向に向けている。

 『ゲット・ア・チャンス!』___マレク・カニエフスカ監督+ポール・ニューマン+リンダ・フィオレンティーノ+ダーモット・マルロニー

 上記の作品が、犯罪から立ち直ろうとする映画なら、この映画は逆に、人生のやり直しを、犯罪で始める。まあ、何事もものは考えようである。

 しかし、ポール・ニューマンは、生涯『スティング』から逃れられないのであろうか? 「植物人間のフリをした元すご腕の銀行強盗」役は、ジーサマの未来を感じさせて愉快ではあるが。下り坂の看護婦を演じるリンダ・フィオレンティーノも、「気取った女医」よりよほどウィットに富んでいるが。

 花粉症か? 目が痒くて、なんかナゲヤリ。


3月18日(日曜日)

 『プルーフ・オブ・ライフ』___テイラー・ハックフォード監督+メグ・ライアン+ラッセル・クロウ

 ハリウッドは、数々の「いい男」を送りだしてきたが、時はめぐって、いまや、このラッセル・クロウの時代である。顔だけみてると、最初の頃に戻ったのかなって感じだけど、やっぱりどこか新しい。体もがっちりしてるし。そのクロウの「ショー」といってもいい映画。しかし、一番に名前が出るのは、メグの「お姉さま」である。「恋人同士」とか、「すでに別れた」とか、正確なところは知らないが、すでに不動の地位を獲得した大物女優だからこそ、「旬の男」をゲットできるのかも……。

 映画は、ゲリラに誘拐されたメグのダンナを、プロの「交渉人」のクロウが助け出す、という設定だが、「決して恋には落ちないこと、が掟」の「恋愛映画」というコピー矛盾はともかく、クロウのストイシズムは、もち、セクシーさまでたかまって、それなりに惹きつける。


3月19日(月曜日)

 『小説家を見つけたら』__ガス・ヴァン・サント監督+ショーン・コネリー+ボブ・ブラウン+アンナ・パキン

 ショーン・コネリーもいかにも作家らしいが、彼と友情を育み、彼によって才能を見い出される黒人少年、ボブ・ブラウンの顔がいい。いかにも頭よさそうなのだ。

 ということは、ハリウッドはこれまで、ろくな顔の黒人俳優を使って来なかったということかもしれない。白人を引き立たせるような顔をした黒人を出していたのではないか? などと勘ぐりたくもなる。

 それに、この黒人少年と白人アンナ・パキンとの、さりげない初恋も、このようにあたりまえに描かれたことがあっただろうか? また、ニューヨークの黒人居住区、ブロンクスをこのように、ごくあたりまえの住宅地として描いたことがあっただろうか?

 さりげないのに、画期的な映画。


3月22日(木曜日)

 『小さな目撃者』___監督?+フィリアム・ハート+ジェニファー・ティリー+フランチェスカ・ブラウン

 アムステルダムが舞台の、女の子版『ホーム・アローン』である。つまり、10才の女の子が、ほぼ一人で、殺し屋と渡り合う。

 この映画は、クレジットを見ると、スタッフ、資本、すべてオランダ資本の映画である。確かにアムステルダムは美しい街だ、しかし、恐い街でもある。なんせ、(すでに5、6年前になるか)私が行った時も、この映画のように、「犯罪」に巻き込まれ、警察は、ほとんど、この映画のような対応だったもんね。
 しかし、この映画を見て思うのは、私には、この女の子のような心構えが足りなかった。やはりこういうところでは、自分の身は自分で守るしかない、とつくづく思うのだった。

 しかしなんでオランダはこんな映画を作ったのだろう?

 作中、女の子を助けるヤク中の男は、いかにもオランダ顔ながら、アメリカ映画の『トーマス・クラウン・アフェア』で刑事を演じた役者だと思うけど、タイプである()


3月25日(日曜日)

 『ザ・セル』___ターセム監督+ジェニファー・ロペス+ヴィンス・ボーン+ヴィンセント・ドノフリオ

 一応「ミステリー」である。しかし犯人はわかっている。探すのは、八人目の犠牲者になるかもしれない女性の居所である。その居所は犯人しかわからず、しかも犯人は意識不明の状態にある。犯人は若い女性を40時間、透明な箱の中に監禁し、そこに水を入れて殺す___。早くしなければ、8人目の女性が同じ運命を辿る。

 そこで、ジェニファー・ロペス扮する心理学者が、犯人の脳(潜在意識)の中へ入っていく……。どうやって? なんか、犯人と脳波を交わらせるみたいな形で。

 フロイトも真っツァオな装置を研究している機関があるのである。

 そして、その心理学者は、今度は自分の脳の中へ犯人を迎え入れる……。

 その潜在意識の世界が、映像美で描かれる___。だいたい、こういう猟奇殺人を犯した男の「過去」というのは、たいがい想像のつくように、幼児に親から虐待された、というものである。その虐待のされ方でも、今回印象的なのは、「洗礼」を受けるために、親に抱かれて川の水に漬けられる、そこで溺れさせられそうになるのだが、周囲に大人たちがいながら、誰も助けてくれなかった___。それが宗教的な「絵」と結びついて、犯人の特殊なトラウマを形づくる……。

 そのへんは面白かったのだけど、果たして、人間の脳の中って、こんなもんか? という疑問は残る。


3月28日(水曜日)

 『サトラレ』___日本のマンガを映画化したもの。相変わらずの学芸会のような演技を越えた面白さが、この映画にあるのかどうかは、わからない。

 なんか信じられないんだよねー、架空でさえもが。




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