金色日記 Diary in Gold


3月4日(月曜日)

 『耳に残るは君の歌声』___サリー・ポッター監督・脚本・音楽プロデューサー+クリスティーナ・リッチ+ジョニー・デップ+ケイト・ブランシェット+ジョン・タトゥーロ

 涙なくしては見られない。予告編を見ただけで泣けてくる。場面を思い出しただけでも涙が滲む。迫害される民族の映画は珍しくないが、この映画の主人公の少女もそんな出自を持っているが、これは声高な政治映画ではない。むしろ、誰の思い出にもあるような、過去の悲しいディテールの物語である。そんなディテールを、クリスティーナ・リッチの哀しい瞳が甦らせる。



3月8日(金曜日)in Tokyo

 『夜風の匂い』___フィリップ・ガレル監督+カトリーヌ・ドヌーヴ(於:銀座テアトルシネマ)

 タッチは、『息子の部屋』のナンニ・モレッティー風なれど、さわやかではない。

 夕方、ホテルで妹と母親と合流。今回の上京の目的は、いまだ労働者である母親に歌舞伎ご招待の「親孝行」。女三人だとお得なホテル宿泊プランを利用して。



3月9日(土曜日)in Tokyo

 『長谷川等伯 国宝 松林図屏風展』___(於:出光美術館)

 見られない人のために「メニュー」の画像をご用意しました(笑)→(後にここに移しました↓)

橋本センセイが、『ひらがな美術史』で、「ジャズのようなもの」と表現する桃山時代のテクニシャンの画家の水墨画である。六枚折の屏風に描かれた、薄暗い照明のもとでは、たんなる汚れた屏風のようにしか見えないものである。母親曰く、「こんな屏風が家にもたくさんあって、着物を掛けたりしてぼろぼろになってしまったから、お婆さん(母親の母親)が捨ててしまった」(ほんとかよ?)

 『平家女護島 俊寛(へいけにょごがしま しゅんかん)』(一幕)__(於;歌舞伎座)近松門左衛門作+幸四郎(高麗屋)+三津五郎+橋之助+幸太郎+孝太郎

 テレビ界じゃあ人気の橋之助も、歌舞伎では、あんまり目立たない武士って役どころが、「序列」としていいとこなんだろーなー……。しっかし、歌舞伎の女形は動きがかわいーな。幸四郎は、もとの市川染五郎だが、やっぱ顔が大きい。

 『花街模様薊色縫(さともようあざみのいろぬい) 通し狂言 十六夜清心(いざよいせいしん)』(三幕五場)___河竹黙阿弥作+仁左衛門(松嶋屋)+玉三郎(大和屋)+左団次

 清純な(?)遊女十六夜と郭通いの僧侶で十六夜の恋人清心は、かなわぬ恋ゆえ心中をはかるが……二人とも助かる。そして二人はべつべつの人生をゆき、だんだん悪くなる。悪くなって再び出会い、また心中する……という、テキトーな筋書きなれど面白い。
 なんたって、仁左衛門と玉三郎のカップルはうつくしー。この二人は歌舞伎役者にしては顔が小さく長身でスタイルがいい。とくに玉三郎は、清純な女と堕ちた女の落差の表現がみごとで惚れ惚れする。うーーーん……伊達に「玉三郎」はやってないか。やっぱ歌舞伎は女形だな。

 それはそうと、歌舞伎は昼の部と夜の部があり、われわれは、「夜の部」(午後4時半開演)だったが、それぞれが4時間ぐらいある。昼、夜とも、出る役者は同じで、出し物は違うものをやる。昼、夜の間は、正味1時間くらいしかないだろう。出演時間もさることながら、動作にも体力が要求されるものすごいエネルギーである。どおりでみんな若々しい肉体を保っているわけである。



3月11日(月曜日)

 『アメリカン・スウィートハート』___ジョー・ロス監督+ジュリア・ロバーツ+ビリー・クリスタル+キャサリン・ゼタ・ジョーンズ+ジョン・キューザック

 ハリウッドが舞台の内幕モノ風コメディー。こんどのジュリアは、売れっ子女優である姉の付き人。もとデブで、目立たない女。ほんとは「女優」の方が回ってきたというが、ゼタ・ジョーンズと入れ代わったとか……。どうであれ、あんまり新鮮味はなかった。面白かったのは、キューブリックを思わせる変人監督をクリストファー・ウォーケン(この人は最近、どんな映画に出ても「変人」役である。案外「地」かも)と、彼が作った「メタ映画」である。



3月19日(火曜日)

 『青い夢の女』___ジャン・ジャック・ベネックス監督+ジャン・ユーグ・アングラード+エレーヌ・ド・フジュロール

 精神科医が主役の精神分析がテーマのミステリー仕立ての映画のようだが、この種の映画は、それゆえ、どういう物語展開も可能で、素人っぽいつくりになりやすい。で、本作もそんな感じである。なにしろ出演俳優に全然魅力がないので、誰にも感情移入できず、観客のみが覚めた目で映画を見ることになる、というのも皮肉なものである。



3月20日(水曜日)

 『エネミーライン』___オーウェン・ウイルソン+ジーン・ハックマン

 おじんのジーン・ハックマン以外、とくにスターの出ていない映画だが、なかなか面白い。私は軍隊映画がすきだ。というのも、よぶんな装飾を付けにくく、うまいか下手がすぐわかる。結局、敵の手から生還するという「上がり」がわかっている物語をどう見せるか、だ。戦争物も吐いて捨てるほどあれど、時代によって、少しずつ変わっていなければならない。その点、この映画は、音楽、アメリカの象徴、敵との関係、戦場、などが新しい。オーウェン・ウィルソンという、これまでは脇であった甘いマスクの二枚目は、これから「スターライン」に躍り出るのだろうか?

 20日はまだ終っていないが、時間ができたときに書いておく。



3月24日(日曜日)

 『シッピング・ニュース』___ラッセ・ハルストレム監督+ケヴィン・スぺーシー+ジュリアン・ムーア+ケイト・ブランシェット

 この監督は、ほとんどアイデンティティーを奪われたも同然のように、自己の生からさえも疎外されている人間の、生の尊厳と、生きる意味の回復を、ずっと描いてきた。今回もそうであるが、それは、その人間が生きるローカルな環境をきめ細かく描くことで成立している。今回は、それが、ニューファンドランド島という、北海の漁場とも言われる場所であった。



4月1日(月曜日)

 『ブラックホークダウン』___リドリー・スコット監督+ジョシュ・ハートネット+ユアン・マクレガー+トム・サイズモア+サム・シェパード

 戦闘シーンは、『プライベート・ライアン』を越える。これほどまでの犠牲を出して、「内政干渉」かの疑問の向きもあれど、まー、こういう「現実」もあるのだということを映像化し得た点では評価できる。



4月6日(土曜日)

 熊川哲也『ザ・コンフェッション』___いくら世界的なダンサーとはいえ、たかだか正味1時間20分で、しかも、熊川自身は、全体で30分くらいしか踊ってない。これで、16000円は高い! 前にも書いたかもしれないが、熊川人気につけ込んでいる感じだ。最初の『ボレロ』と最後の『若者と死』が、熊川の踊りだが、前者はベジャール振付けのシルヴィー・ギエムに比べると、いまいち深さに欠けるし、後者は、コクトー台本だそうだけど、今の時代では、わざとらしい設定が気になった。ダンスも、「仏作って魂入れず」か。両方とも、タバコの小道具が陳腐でいただけない。本人かっこいいつもりなんだろうけど(苦笑)。



4月7日(日曜日)

 『ビューティフル・マインド』___ロン・ハワード監督+ラッセル・クロウ+ジェニファー・コネリー

  かつては「子役」であったジェニファー・コネリーは、本作で、アカデミー助演女優賞を獲得した。なるほど、の演技である。





過去日記

メニューへ