金色日記 Diary in Gold


7月9日(火曜日)

 「誕生日」という難所を越え、ハギオさんと待ち合わせて、おしゃべり&買い物。べつの友だちが、デパート内のチケット売り場にとらばーゆしていて、そこに訪問して、デパートの職員用だけど、一般客にも積極的に売っているという妙なバーゲン会場、そこは、やはり、地下2階の従業員専用の場所にあるのだが……。そこで、母親用の下着などを買う……が、気持ちよさそうなので、自分用にするか……?

 ハギオさんといろいろ映画について話す。ハギオさんは、いつも、「アレ観た? アレ」というが、「アレ、じゃわからん」といつも私は言うのだが……。

 またまた、たまっていた映画いろいろ……(「よい」作品★印、「悪くない」作品は☆印)。

 ★『ニューヨークの恋人』___ジェームズ・マンゴールド監督+メグ・ライアン+ヒュ−・ジャックマン

 19世紀の公爵が、21世紀のニューヨークにタイムスリップ、そこに生きるキャリア・ウーマンと恋をする。ハーレクインチック、荒唐無稽のストーリーながら、脚本はよくできている。19世紀→21世紀のつぎ目が、それなりの説得力を持っている。最後に流れるスティングの主題歌『Until...』がいい(ゴールデングローブ賞の最優秀主題歌賞を取った)。で、さっそく拙作に「応用」。

 『ハイ・クライムズ』___カール・フランリン監督+アシュレイ・ジャド+モーガン・フリーマン

 過去にあったいろんな映画のつぎはぎ映画。サスペンスなれど、つじつまが全然合わない。

 『ワンス&フォーエバー』___ランダル・ウォレス監督+メル・ギブソン

 20年前からメルのファンであったが、ひゃ〜〜、がっかりしたわぁ〜〜。第一、メルは、どう見ても、「ハーバード卒」には見えん(笑)。敵方の立場にも立ったベトナム戦争映画というが……、ステレオタイプの「愛」とか「思いやり」を描いてみせればすむってもんでもないだろう。こんなわざとらしい「ヒューマンな」映画より、汚い海兵隊の訓練を描いて見せたキューブリックの『フルメタルジャケット』の方が、よほど繊細な映画である。
 あるいは、ちょっと前に観た、リドリー・スコットの『ブラックホーク・ダウン』(戦場の描き方の凄まじさのスタイルは、この作品の後を追ったかのようだが)のシンプルさの方が、作品的には上質である。

 『アイ・アム・サム』___ショーン・ペン

 ★『活きる』___チャン・イーモウ監督+コン・リー

 1940年代から文革まで、「激動の」中国の歴史が、個人の生に刻まれる。歴史が主で、個人が従ではない。個人は個人として、確固と存在し、政治やイデオロギーや、災厄などが、勝手に通り過ぎていく……。災厄も不幸も、文革さえも、何もかも乗り越えて堂々と活きるコン・リーがすごい!

 「演技派」ショーン・ペンが、子育てする知的障害者を演じて見せるのだが……彼に協力する隣人で、ひきこもりの女を演じるダイアン・ウィ−スト以外は、平板な感じのドラマ。

 『エトワール』___パリ「オペラ座」の内幕もの……と思いきや、ただ、バレリーナにインタビューしてみせただけのドキュメンタリー映画。

 ☆『マジェスティック』___フランク・ダラボン監督+ジム・キャリー

 ジム・キャリーの得意技、二人の人格の使い分け、が、ここでは、これまでの単なる対照的なキャラクターの使い分けから、記憶を失う前、失っている時、戻った時、と、ハードルが高くなっている。その演技と、ジャズが底に流れるおしゃれさを隠し味に、アメリカにおける思想の自由をモチーフに、一人の男の人間的成長を描いてみせた、この監督の前2作『ショーシャンクの空に』や、『グリーンマイル』よりは、わかりにくい作品。



7月26日(金曜日)

 中沢新一『緑の資本論』(集英社、2002年5月刊)

 本書は、四つのエッセイを集めたものである。最後に収められた、Appendix(補遺)と書かれた「モノとの同盟」が、発表順から言えば、一番古く(2000年3月)、一番重要であると私は思った。しかし、このエッセイは、本書の中では、あくまで、「つけ足し」にされている。なぜかと言えば、本書は、昨年の9月11日に起きた、ニューヨーク貿易センタービルのテロ破壊と、それにつらなるアメリカのアフガン攻撃といった世界的な出来事を、いかに考えたらいいかという「答え」を用意した体裁にしてあるからである。
 むろん、それは、出版ジャーナリズムと商売を意識してのことであろう。
 それゆえ、中心エッセイとなっている、「緑の資本論」は、マルクスの資本論とイスラーム経済の比較であるが、なにか強引にすぎる。資本論をよく読み下してもいなければ、「コーラン」解釈も、「我田引水」的なところがあるように思う。
 中沢の基本的態度は、ユダヤ-キリスト教が支える資本主義世界、今の世を席捲している西洋思想の批判である。それ以外の、マイナーな思想の中にも豊かさや可能性がある、いや、そのなかにこそ、世界の問題を解決できる道があると、説く態度であるが、その仕事が、いちばんまっとうにされていると思われるのが、折口信夫や谷崎の『陰翳礼賛』を援用した「モノとの同盟」なのである。
 果たして中沢は、再び、『フィロソフィア・ヤポニカ』のような仕事ができるのだろうか?



7月27日(土曜日)

 けふは、バレエの発表会があった。私は出ないが、有志は出演する。ハギオレイコの晴れ舞台である。若い子の本格的な踊りもあるが、私の知っている人たちが出るのは、オバサンばっかの群舞。期待して見に行った。もちろん、ゲテモノ、失敗、「(笑)」、などなどである。しーかーしー、実際は、予想に反して、なかなかさまになっていたのである。20人ほど出ている中の、とくに、ハギオレイコがいいのである。表情といい、スタイルといい……。あー、これじゃあ、また病みつきになって来年も出る、なんてことに……。まー、人生、いろいろ?

 例によって、映画が溜った。日付無視で、見た順に感想を記しておく。

 ☆『スター・ウォーズ、エピソード2』___ジョージ・ルーカス監督+ユアン・マクレガー+ナタリー・ポートマン+ヘイデン・クリステンセン

 注目は、あのかわいいアナキンが、いかにダークサイドに転落し、おぞましいダース・ベイダーに変身するのか? という点であったが、「伏線らしきものの気配」は、感じさせるものの、今回はまだ、それはなしであった。このサーガは、物語がなかなか含蓄があって面白い。ヘイデン・クリステンセンは、21世紀の美を供えた役者である。

 『太陽の少年』___上記、『活きる』と同じ頃撮られた(1970年代半ば)、同じ主題、文革時代の見直し、の中国映画。しかし、作りはモダンである。でもそのモダンな雰囲気が、表面を上すべりしているようにも思えた。

 ★『MIB(メン・イン・ブラック)2』___スティーブン・スピルバーグ製作総指揮+バリー・ゾネンフェルド監督+トミー・リー・ジョーンズ+ウィル・スミス

 軽いノリ、ジョークにつぐジョーク、現代アメリカのカルカチュア、アメリカ人なら100倍楽しめるが、日本人もそれなりに……。

 ★『海辺の家』___アーウィン・ウィンクラー監督+ケビン・クライン+クリスティン・スコット・トーマス+ヘイデン・クリステンセン

 ひとつ間違えば、お涙ちょうだいのハナシになるところだが、美しい映像と、芸達者ぞろいの抑えた演技と、上質の脚本が、極上のエンターテインメントにしている。演技派ケビン・クラインは、自分が主役なのにもかかわらず、一歩退くことによって、息子役のヘイデンを輝かせ、中年男の人生モノから、彼の息子の「ビルドゥングスロマン」へと変換させている。

 『ルーブルの怪人』___ジャン・ポール・サロメ監督+ソフィー・マルソー+フレディック・ディフェンタール

 なんやこの映画はぁー、いまどき素人だってこんな映画は撮らんワ、という感じの映画なのだけれど、チラシを見ると、「『15ミニッツ』『トラフィック』など並みいるハリウッド大作を押し退けて見事、興行成績No.1を記録した」とある。まあ、「瞬間値」なんでしょうが、たとえそうでも、信じられない(もっとも、どんな映画のチラシにも「No.1」とあるけど)。下らんのに、『MIB2』より長く書いてしまった(苦笑)。






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