犬的生活「バウリンガルなんかいらない」


 我が輩は犬である。名前はワン太。なんでも、我が輩が生まれる前からこの名前は存在していたそうである。我が輩は、一見、「レトリーバー」の一種。だが、れっきとした雑種である。近頃、法外な値段で、犬身売買が盛んであるがとんでもないことである。
 我が輩は、なんでも、愛知県動物保護管理センターという「役所」で、3匹の兄姉たちといっしょに、無邪気に遊んでいたそうである。そこはなかなか管理が行き届き、半端な犬は引き取られないし、また犬がほしい人は、決められた日時に、抽選会に出席しなければならないのである。こうして、「難関」をかいくぐった引き取り手だけが、我が輩のようなりっぱな雑種をもらえるのである。ちなみに、我が輩の飼い主が参加した8月5日の抽選会は、34家族の希望者に対して犬は13匹。ほしい犬に投票するのだが、我が輩に票を入れたのは、わが飼い主だけであった。これは決して、我が輩が他の犬に比べて見劣りしたというのではなく、飼い主の「強い祈り」と、「機転」によるものであった。
 おっと言い忘れたが、我が輩は、実は女の子なのである。ま、「ジェンダーフリー」というのか……単なる無精というのか……。21世紀の犬だからね。
 犬用を運ぶ専用のバッグに入れられ、新幹線に乗って、我が輩は、関門海峡を越えた。管理センターの書類には、「生後推定二ヶ月」とあった。
 我が輩が来てから、飼い主の生活は乱れっぱなしである。しかし、それは我が輩のせいではない。我が輩は犬としてきわめてまっとうに行動しているだけである。

 以下は我が輩の、すでにしてできた「ミニアルバム」である。

もらわれたばかりで不安そうな我が輩。

飼い主がパソコンを使っているので監視している我が輩。

専用のケージを用意してもらったが、我が輩は広いところでのびのび寝るのがすきだ。まわりに散らばっているのは、もっぱら我が輩が「かみかみ」する新聞の折り込み広告である。今のところは、我が輩は、書籍には手を出していないヾ(@^▽^@)ノあはは。

我が輩の体よりでかい「ももんが」を「食い殺す」シミュレーションだ。これは、飼い主がカゴメジュースのリングプルを集めて、十何年も前に「当てた」ぬいぐるみだそうだが、我が輩のこんな使用目的のために取っておいてくれたそうである。

しゃーないから、「お部屋」で、ぴんくの鹿と遊んであげる。これは、飼い主のフランス人の友だちがプレゼントしてくれた、なんと!「メイドイン・フランス」のものだが、さすが、噛みごたえがあるというか……。手前には、新しく買ってくれた噛む専用のブルーのくまちゃん(ブードゥー教の呪いの人形のようだが)、奥に、100円のバーゲンで買った笛付きボール(我が輩は結構ハマっていて、ふだんは物静かな我が輩も、こいつを追う時は、狩猟犬の本能が呼び覚まされ、「わんわん!」とまともに吠えてしまう)が見える。




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