オンライン連載小説『私のように美しい女、あるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか@2021』


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 えっとー、この小説は、20年以上前、そう、まだ20世紀だった頃、ホームページで連載していた小説と同じ題名で、ただバージョンを@2021と、しています。なぜかというに、いつか、その頃この小説を喜んでくれた若者が気がついてくれるかな?との淡い期待をかけているからです。その若者も、もう、40歳すぎ……。うーん……時の流れる感じますねー。昔の方が、ネット界は純粋でしたねー。
 で、なんで突然、オンライン小説を?と言えば、Amazonで、ある小説の梗概を見ていて、笑ってしまったからです。すんませーん(笑)。まあ、著名人だから出せた小説なんでしょうが、その著者にとっては初小説で、しかも恋愛小説(!)なんですが、こうあったんです──○○△△子は、古希を迎えて、身も心も枯れていくのを感じていた。そんなとき、SNSで、年下の男性と知り合って……って。をい! 古希の女がいったいいくつ年下の男と知り合ったんだ? と、ついのっけから突っ込みを入れてました、ひとりごとで(笑)。そして、激しい恋愛へ……?
 それを読んだら、私も、小説を書こうって、思ったんです。もちろん、「レンアイ」小説を。相手は、SNSで知り合った、火星人(笑)。顔は、今度、NHKの大河で、渋沢栄一をやる、吉沢亮……みたいな完璧なルックス。火星人だから、どんなルックスにもなれるんです。で、今回は、お時間がないようなので、このあたり(って、全然進んでないじゃん(笑))で、おわり〜。次回をお楽しみに〜。

  To be continued !!





2

 “Forgive me this too long letter ; I had not time to write a short”(John Barth “Letters”)
 「このあまりにも長い手紙をお許しください。短く書く時間がなかったものですから」(ジョン・バース『レターズ』)


 とうわけで、……って、なにが「というわけで」だ? ネットで調べたわけよ。コロナ時代のいい男四天王のプロフィール……みたいなものを。


1、 長谷川博己(NHK大河ドラマ『麒麟がくる』主役明智光秀役、43歳、身長181㎝、建築史家長谷川嶢の息子)
2、 山田裕貴(NHKドラマ『ここは今から倫理です』ストイックな倫理教師役、30歳、身長178㎝、プロ野球選手の息子)
3、 成田凌(NHK朝ドラ『おちょやん』で、準主演、25,6歳、メンズノンノ出身のモデル、身長182㎝)
4、 吉沢亮(NHK大河ドラマ『青天を衝け』主役渋沢栄一役、25,6歳、15歳の時母がアイドル系コンテストに応募、身長171㎝)

 もはや、岡田准一の時代は終わっていた……。このなかで、顔は吉沢がダントツだが、身長がちょっと……もしもwikipediaに間違いがなければ。しかも、彼らはそれなりの基礎と下積み時代があり、ただ容姿がいいだけのいにしえのスターとは違う。石原裕次郎のように、兄の小説がヒットしてまんま映画スターになったのとも違う。俳優を目指す諸君にとってはなかなか難しい時代となっている。俳優にとってまずは、NHK朝ドラか大河で主役を張らねば……である。が、それだからといって、十年存続できる保証はない。小説家を十年続けるのも難しいが、売れっ子の俳優を十年続けるのは、もっと難しいように思える。いったんは落ちぶれ、再び浮上するというのを覚悟しなければ。それでも、浮上できればまだよい方であるが。時間はどんどん経ち、時のスターもどんどん入れ替わり、忘れられていく。彼らの後にはすでに、


 1、『おちょやん』脇役の福助役の俳優が待ち構えている。彼は、『おちょやん』では、眼鏡をかけて三枚目風であるが、眼鏡をとってインタビュー番組に出たら、まー、あまりのイケメンで、眼鏡なしで出ていたら、準主役成田凌を、凌駕していたワ(笑)。
 2,『嵐』で一番顔のいい、松本潤が、『青天を衝け』の次の大河主役に決まっている。

 ゆえに、おのーのがた、うかうかはしておれんのだ。
 ……てなことを、吉沢亮似の火星人は伝えてきた。手紙で。

 to be continued !


3

 

 あれから、いわゆる「コロナ禍」と呼ばれた時代は、誰もの期待に反して十年続いた。誰もの予想を超えて、全世界の人口の1/3が死んで、おまけに、「想定外」というか、まったく想定されないわけでもなかったが、核戦争が起こった。それも二度。最初の核戦争を、第一次核戦争といい、二番目のを第二次核戦争と言った。まあ、そんなこと、あたりまえというか、あたりまえでないというか。ゆえに、原発事故とか、そいうレベルのものではなくて、ことの始まりは、これは誰もの想定を大きく超えて、火星人が攻めてきたのであった。しかも、いきなり、核で攻撃したきたのである。したがって、地球は、すべてが核で汚染され、もうどこにも、まっさらな場所は残されていなかった。地面も海も。それでも、世界人口の「コロナ禍」で生き残った人々が、まだ1/3いたが、それも、核戦争で、1/1000000に減った。
 そんなとき、山下晴代は、まだ自宅にいて、寝たきり老人になっていた。すでに自分が何歳かはわからなくなっていたが、100歳にはなってないような気がした。神経痛に見舞われ、体をずきずきと痛んで、もういつ死んでもいい、防災なんかカンケーねー、津波でもなんでも来やがれ!と思っていた。いつかどこかで読んだ、あるいは、読んだような気がしただけかもしれないが、70歳を迎えて「女でありたい」という女主人公の小説を思い出した。作者と等身大の主人公のように思われたが、この「女でありたい」の「女」って、いったい、どういう思想のもとでの女なんだろうと思うに、男というものに、性的魅力をアピールできる存在とまあ、そういう思想というか、イデオロギーから来てるんだなと思った。老いさらばえた体に、ブルーとピンクのブラジャーをあてがって悦にいるシーンがあるが、まさに、色基地外(爆)。「いいかげんに枯れろよ!」と、山下はその作者=主人公に向かって言っていた。瀬戸内寂聴だって、あれで、適度に枯れているんだぜ、というか、あれほどの「修行」(経験値)がなければ、こういう小説は、ヤバい、それこそ、「墓穴革命」でないの? この小説の題名は「疼くひと」とついていたが、まさに山下こそ、(神経痛で)疼くひと、であった。そこで、山下は、万年床に入ったまま、iPad(初代。ゆえに、重い、ゆえに、顔の上に落としたら、顔面血だらけになる……(笑))で、メル・ギブソンの『リーサルウェポン』シリーズを見始めるのだった。
そして、「4」に達した時、山下は眠るように息絶えたのであった。おー、最高の死に方!トーマス・マンの「ヴェニスに死す」のアシェンバハに勝るとも劣らない死に方であるな。彼はヴェニスの海岸で執筆していて、愛する少年を見かけ、そこで何か語りかけようと、椅子から立ち上がったところで息絶えたのであった──。


to be continued !


 




 

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