第116話「戦い終えて」


うーん、もうちょっとだったんだけどなぁ。
また2着かぁ、くそー。

「れーす」の結果が出て、オーガナイトお兄ちゃんが悔しがっている。
「ごーる」した時は、暴れていた仔とお兄ちゃんのどっちが勝ったかわからなくて、
「しゃいんはんてい」って奴になったんだ。
どっちだ?ってみんなざわざわしていたくらいだ。
「しゃしんはんてい」の結果が出るまで、ずいぶん時間がかかったんだよ。

関係ないボク達はなんてことなかったけど、お兄ちゃんや暴れていた仔のまわりのひとは、
とっても「やきもき」してたんだって。
「やきもき」ってなぁに?
何かおいしいもの??

オラ、お前速くなったなぁ。
「れーす」が終わって引き上げてくるとき、お兄ちゃんがボクのそばに来てそう言った。
そう?えへへ。
いっぱいかけっこしたしね。
牧場にいたときはかけっこは好きだったけど、あっちにふらふらこっちにふらふら、
って感じだったもんなぁ。
お兄ちゃんはなんか遠い目をしてしみじみしていた。

あ、あはは。
お、オラ君昔からそうだったんですね。
い、今も、あっちにふらふらって感じは、か、変わってませんよ。
ゲンちゃんが、くすくす笑っていた。
し、失礼だな。
ま、まあ、その、否定はできないけど。う、うほん。

で、でも、そこが、お、オラ君のいいところでも、あ、あるんです。
ゲンちゃんはにこにこしていた。
ゲンちゃんの顔はボクからは見えなかったけど、ボクにはわかった。

それを聞くと、お兄ちゃんはゲンちゃんにニッと笑いかけ、そしてボクに顔を向けた。
また機会があったら一緒に走ろうな。
うん、お姉ちゃんとも一緒に走りたいなぁ。
ボクがそう言うと、お兄ちゃんは苦笑いした。
ポピーか、あいつはだいぶ遠いところに行っちまったからな。
一緒に走るには、俺たちはもっと頑張らないとなぁ。




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