「いんたい」したボクは、高木さんのところを「たいきゅう」して、「ぼくじょー」に戻ってきた。
オラ、お帰り、今までお疲れだったな。
あの化け物「ばうんしゃ」からちょっとげっそりしながら降りたボクを、
あんちゃんがそう言って迎えてくれた。
え、ぜ、全然疲れてなんかないよ。
げ、元気いっぱいさ。
ば、「ばうんしゃ」なんて、も、もうへっちゃらだよ。
カラ元気を出してそう言うと、あんちゃんは一瞬きょとんとした顔になった。
そして、はははは、と笑い出した。
ああ、ごめん。
いや、馬運車での長旅がお疲れという意味で言ったたわけじゃなくて、
競走馬として今までお疲れだったね、って言ったのさ。
ありゃ、ボク、思いっきり勘違いしちゃった。
ちょっと恥ずかしいぞ。
でも、そう勘違いするってことは、
そう言いながらあんちゃんはニヤリと笑った。
馬運車は相変わらずダメか。
そればっかり気にしていたんだろ。
う、ず、図星だな。
三つ子の魂百まで、ってかんじか。
なんか難しいことを言いながら、あんちゃんがまた笑った。
むむ、ボクは全然面白くないぞ。
おう、お帰り。
おっちゃんとおっかちゃんもやって来た。
うん、ただいま。
そのちんまい体でよう頑張ったさ。
おっかちゃんはそう言いながらボクの頭をなでてくれた。
えへへ。
ボクはふと空を見上げた。
お空にはぽっかりと「くも」が浮かんでいた。
そういえば、昔、「なつ」の「くも」を見て、
あの上でゴロゴロしたら気持ちよさそう、って考えたなぁ。
今見ても、やっぱり気持ちよさそうだな、うん。
そんなことを思いながら、
ボク、これからどうなるのかなぁ、
って考えてた。