翌日は気持ちのいい朝だった。
昨日とは打って変わっていいお天気で、時々涼しい風がさーっと吹き抜ける。
小母ちゃんのお産はあっけなく終わった。
小母ちゃんはそれほど苦しむでもなく、
生まれた仔も頭が見えたと思ったら、するんと寝藁の上に落ちてきて、
しばらくじたばたしていたけど、小母ちゃんがちょっとぺろぺろしたかと思うと、
そのうちにすくっと立ち上がった。
みんなものものしかったわりに、あっという間だったね。
ボクが声をかけると、
あら、ものものしい、なんて言葉を覚えたのね、
と小母ちゃんはボクの鼻をぺろっとなめて、
オーガの時もポピーのときもこんなものだったわね、
おほほほと笑った。
まあ、なんにしろ無事に終わってよかった。
あんちゃんがほっとした顔で言うと、おっちゃんはあくびをかみ殺しながら、
さてそれじゃ朝までもう一眠りするかな、
と母屋のほうに引き上げていった。
おっかちゃんはそのまま朝まで「ばぼー」にいたらしい。
らしい、っていうのは、ほっとしたら急に眠くなってきて、
ボクはそのまま寝ちゃったから。えへへ。
生まれてきた仔は男の子だった。
ボクに弟ができたんだ。
本当の弟ではないけどね。