「なつ」が近づいてきた頃、メリーポピーお姉ちゃんが帰ってきた。
お姉ちゃんは、「おうかしょう」に出れなかった後に出たレースで勝って、ちょっとした話題になったんだ。
「おーくす」の穴人気だとかいうのになったんだって。
ボクにはよくわからないんだけど、
「おーくす」とかいう大きな「れーす」で、意外と頑張るんじゃないか、って思われてたらしいんだ。
その上、「だーびー」にも「とうろく」したんで、さらに話題になった。
え?「とうろく」って何って?
うーんとね、「だーびー」に出るための手続きをしたんだって。
そんなもんだから、あんちゃんの「はないき」がまたまた勢いを増して、うるさくてしょうがなかった。
結局、お姉ちゃんは体に疲れがたまってきたってことで、「れーす」には出ずにお休みすることになったから、
「だーびー」を走ることはなかったんだけどね。
でも、とっても難しい、「だーびー」に出るっていう目標を口に出して、
もう少しで達成するところまで行くなんて、
お姉ちゃんすごいや。
こういうのを「ゆうげんじっこう」って言うんだって。
えへん、ボク物知りでしょ。
実行はしてないけどね、
お姉ちゃんがいつの間にかボクの横に来て言った。
ちょっと見ない間に、お姉ちゃんはとっても大人になっていた。
昔はすぐにあちこち走り回っていたのに、今はとっても落ち着いているんだ。
休むために帰ってきたんだから、遊んでなんかいられないわよ。
お姉ちゃんがふふん、と鼻を鳴らす。
でも、ボクの首をよく噛むのは相変わらずなんだ。
みつごのたましいひゃくまで、っていうやつだね。
あら、相変わらず生意気なこと言うわね、お姉ちゃんはそう言うとボクの首をかぷっと噛んだ。
あいたたた、それだよ、だから相変わらずなんだよ。もう、困っちゃうなぁ。
そんなこと言いながら、楽しそうだな、オラ。
「ばぼー」から首をにゅっと突き出して、サイキョウ小父ちゃんがにんまりと笑った。