第74話「照れ」


お帰り。
見上げるとサイキョウ小父ちゃんの笑った顔が見えた。
ただいま。
ボクも小父ちゃんに笑い返した。

やっぱり「おうち」は落ち着くね。
ボクがそう言うと、小父ちゃんは、いっちょ前の口を叩くようになったな、とニヤリとした。
むこうの厩舎はうちじゃないのか?
小父ちゃんにそう返されて、ボクは首を傾げた。
うーん、高木さんのところもそういえば「おうち」だよね。

ちょっと考える。
すると、あんちゃん、おっちゃん、おっかちゃん、小父ちゃん、メリーフローラ小母ちゃん、
メリーポピーお姉ちゃん、オーガナイトお兄ちゃん、サンちゃん、みんなの顔があたまに浮かんだ。
でも、やっぱりここの方が、「おうち」っていう感じが強いかなぁ。
ボクはそう答えて、それから、うん、って頷いた。
そうだ、ボクの「おうち」はここなんだ。

まあ、むこうの方はどちらかというと仕事場か。
ボクの顔を見ながら、小父ちゃんはかかかって笑った。
そして真顔になって、一つ勝てて良かったな、って続けた。
とりあえずは一安心だ。

ひとり頷いている小父ちゃんを見ていて、ふいにスカイクルー兄さんの顔が浮かんだ。
小父ちゃん、そういえばね、ボクがいるとなりの「ばぼー」にスカイクルーっていうお兄ちゃんがいるんだけどね。
おお、天皇賞でポピーと一緒に走っていた仔か。あの仔はこれから強くなりそうだなぁ。
うん、そのスカイ兄さんなんだけど、なんか小父ちゃんにすごい憧れてるんだよ。
あのお方、あのお方、ってちょっとおかしくなるくらいだよ。

そして、ふだん、兄さんがボクに小父ちゃんがどんなにすごい馬かってしゃべっていることを、そのまんま小父ちゃんに伝えた。
あ、あの仔はそんなことを言ってるのか。いやはや。
小父ちゃんは照れ臭そうにもじもじっと身じろぎした。
そんな小父ちゃんを見るのは初めてで、なんか少しおかしくなった。




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