第9話「メリーポピー」


メリーフローラ小母ちゃんの子供、お姉ちゃんの名前は「メリーポピー」。みんなにはポピーって呼ばれている。
このあいだ「にゅうきゅう」したオーガナイトお兄ちゃんの妹だ。
いつも走り回っていておてんばだって話は前にしたよね。
あら、また生意気なこと言ってるわね。
あいててて、またお姉ちゃんに首を噛まれちゃった。

お姉ちゃん、いつも走り回っているせいか、走るのはとっても早いんだ。
オーガナイトお兄ちゃんとよくかけっこしてたけど、絶対負けないんだ。ボクはいっつも置いてけぼりだ。
あなたはあたしに似てるけど走るのは早いわね、って小母ちゃんはお姉ちゃんによく言ってる。
確かにお姉ちゃんは小母ちゃんそっくりだ。小母ちゃんをそのまんまちっちゃくしたみたいだ。
でも小母ちゃんはのんびりしてるけど、お姉ちゃんは落ち着きがないよね。ボクがそう言うと、
小母ちゃんは、おほほほ、って笑って、確かにそうね、でもそんなことあの仔に聞かれたら、また首を噛まれるわよ。
だって。うわぁ、それは勘弁だよ。

ある時、いつものようにお姉ちゃんと一緒に遊んでいると、走り回っていたお姉ちゃんが急にぴたっと立ち止まって
そのまま動かなくなった。だるまさんが。。っていう遊びかな?ボクいろんなこと知ってるよ。
すると、様子を見ていたおっちゃんがやって来た。
どうしたポピー。
そう声をかけられても、おねえちゃんは目を白黒させたままピクリともしない。
しばらくお姉ちゃんの体を触っていたおっちゃんは、しばらくすると、がははは、と笑ってお姉ちゃんの背中をぺしりと叩いた。
お前、一生懸命遊びすぎだ。運動しすぎて筋肉が固まっちまったな。
それから近所の人も呼んで、大勢でお姉ちゃんを「ばぼー」に戻すのに大騒ぎだった。なんかお祭りみたいで楽しそうだな。

その夜、獣医さんが来てお姉ちゃんを診て、おっちゃんとあんちゃんとぼそぼそ話していたけど、
最後にあんちゃんがほっと息を吐いて笑っていた。
たいしたことではなかったんだな。サイキョウ小父ちゃんが小母ちゃんをちらりと見ながら、小さな声でぽそっと呟いた。
たいしたこと?おっちゃんずっと大笑いだったじゃない。ボクが首をかしげると、
目が笑ってなかっただろ。だって。
小父ちゃんまた難しいことを言う。

お姉ちゃんはその後しばらく遊ぶのを禁止されてて、ぶーぶー言ってた。
じごうじとくだね。ボクは新しく覚えた言葉を早速使ってみた。
あいた!またお姉ちゃんに噛まれちゃった。
あなたの方が自業自得ね!
おねえちゃんは、ふふん、と鼻を鳴らした。ちぇっ。




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