これはまったくの実話である。こんなこと創作してまで書く意味もないし、事実でなければ面白くもなく運が悪いと嘆くこともない。

ある朝のこと、いつものように電車に乗るとすぐに車内放送でこの路線で人身事故があり、折り返し運転となると言う。折り返し運転とは、電車が予定している区間を通して走るのを止めて、途中の駅を終点にしてしまって往復運転にしてしまうこと。
これは朝から調子が悪いと思ったが致し方ない。電車に惹かれて死んだ人に比べれば、まだ電車が遅れて困るほうが運が良いことは間違いない。幸いJRのふたつの路線が並行して走っている。それでもうひとつの路線に乗り換えることにした。
私も都会に出てきてはや5年、東京近郊路線図が頭の中に入ってきたのである。
終点となった駅でみながドヤドヤと降りて、駅の中を早足というか駆け足というか大急ぎでとなりのホームに進んでいく。
私もその流れに合わせて一緒に階段を渡りとなりのホームに着くと、するとちょうど電車が入ってきた。
もう何も考えない状態でそれに乗り込んでしまった。
やれやれと思って窓の外を見ると、なんと！今来た方向に電車が戻っているではないか。
私はのぼりとくだりの行き先を間違えて乗ってしまったのだ。

電車は左側通行だからホームのどちら側に停まるかによって行き先がわかるだろうなんて突っ込まないでください。そりゃそうなんだけど、時間を気にして後先（あとさき）考えずに乗ってしまったからしょうがない。 以前、村上ファンドのお兄さんも「聞こえちゃたんだからしょうがない」と言ってましたが、私も現実に乗ってしまったんだからしょうがありません。

いまさらどうしようもありません。しかたがないと思うしかない。
ともかく隣の駅で停まるとすぐに降り同じホームで反対側で電車を待つと・・・なんとその平行している路線でも人身事故が起きて大幅遅れになっているという。
あぁ！もう最悪
遅れてもその路線で行くか、並行して走っている私鉄にするか、少し歩いて地下鉄で行こうかと迷ったが、結局私鉄に乗り換えることにした。
さて、JRと平行している私鉄に乗り換えてみると、なぜかすいているんです。駅を二つ三つ過ぎると座ることができました。これはハッピーと先ほどまでのゆううつは吹っ飛びました。
シートに座るとこれがまた暖房が効いて快適な状態です。走るにつれて、ついうとうとしてしまいました。
はっと気がつくと、もう降りるべき駅を通り過ぎています。乗り過ごしてしまったのです。
あぁ！なんと今日はついていない日だと、またまた落ち込んでしまいました。
そんなこんながありましたが、とにもかくにもいつもの駅より会社から遠い私鉄の駅を降りると外は小雨です。
まったくついていません。こんなことを泣きっ面に蜂とでもいうんでしょうか？
傘をさしてトボトボと会社まで歩いていきました。
それでも、会社に着いたのはいつもの到着時刻よりわずかに30分ほど遅いだけでした。
まあその程度のことを運が悪いなんていっちゃ罰が当たりますよね、

実を言いまして、これはだいぶ前のことです。
しかし今日も朝、出勤時に電車に乗った瞬間、車内放送が「○○線で人身事故が発生し、この電車は次の駅で折り返し運転となります。」ときましたよ・・
おぉ！今度は乗り換える電車を間違えないようにしなければと心に誓ったのです。

先ほども言いましたが、私にも学習能力はあるのです。

大勢の人々と一緒に隣のホームに行きました。
そして乗ったのが、反対方向の電車・・

朝から人身事故にあわれた方のご冥福をお祈りします。
と思っていましたが、本日　昼ごろインターネットのニュースを見ると、事故にあった方は重症だそうですが命はとりとめたとのこと
お互いに良かったですね



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