地下道で遭難 2009.06.21

私は田舎者である。田舎には地下道はない。田舎には高層建築もない。なので私は見通しの良い道しか歩いたことがない。つまりどこを歩いても、車で走っても、磐梯山が左手に見えるから東に向かっているとか、風力発電の羽根が見えるからどのあたりだとかわかるわけだ。
飛行機にたとえれば、有視界飛行であり、GPSとか地図にだけ頼る計器飛行はしたことがない。
夜は夜で町の明かりを見て、翼よあれがパリの灯だと安心して走れるというもの。
昔、福島県原町というところに、高さが200mもある電波塔があった。関東大震災を世界に知らせたという歴史を持っていた。しかし風化して解体された。非常に残念だった。
浜通りを走る時、あれは最大のランドマークだった。

../landmark.jpg 東京で働くようになって早7年になる。都会では地下道だらけである。ここでは地上を歩くことは少なく、横断歩道を渡ることもすくない。地下道でビルからビル、駅からビルというルートが多い。確かに雨が降るときも寒いときも地下道は便利だ。
しかし、もはやランドマークタワーが真正面にあるから方向は間違いないとか、東京タワーが見えるから安心という目印(ランドマーク)を頼りに歩くことができない。
地下道というのは目印が見えないから不安であり、不安だけでなく実際に道に迷うことも何度もあった。いや、いつも迷っている。さまよっているのかもしれない。
長年田舎暮らしをして有視界飛行が体に染み付いてしまった私は、今でも地下道は苦手だ。

しかも地下道も一本道ならいざ知らず、交差点もある。さらには交差点が四つ角になっていればまだよいが、ロータリーになっているともう完全に方向感覚を失ってしまう。ロータリーを回っているうちに、元来た方向も目指す方向も分からなくなる。
大阪の梅田の地下道(地下街)には、何箇所か真ん中にギリシア彫刻や噴水のあるロータリーがあるのだが、そこで道に迷い警官に助けを求めたこともある。 _| ̄|○
福岡に行くといつも天神という中心街の地下鉄の駅で乗り降りするのだが、ここにもロータリーがあり方向感覚がまったくつかめない。一度コインロッカーに荷物を入れて昼飯を食ったあと、そのコインロッカーを見つけることができなかった。遭難ではなく災難である。最後には駅員に助けを求めて案内してもらうしまつであった・・
私は生粋、純粋な田舎者で、大東京だけでなく、大阪や福岡でさえ生存することは不可能のようだ。

私は地下道が苦手なだけでなく、地下鉄も苦手だ。
何が苦手かというと、まず地下鉄に乗るのに駅の入り口がビジブルでなく目立たないので駅を見つけることが困難なこと。そして出口が多数あって、出口を間違えるともう見知らぬ街となってしまう危険。さらには乗り換え方法が全く見当つかない。
JRとか地上を走る線路は乗り換える際に他のホームが見えるから、東に行くのだからこちらのホームだなということが実感としてわかる。地下鉄の場合は、そういった原始人の時から備わった視覚情報がまったく役に立たない。
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仲間にモグラという男がいるが、彼は頭の中にGPSとか慣性航法装置があるのだろうか。
地下鉄の駅には電車の進行方向が違うと改札口が違う駅もある。またエスカレーターってたいがい登りも降りも並んでいるが、ホームが狭い駅では離れて設置してあったりして、見つけるのに苦労する。
極めつけは大手町だ。大手町というところは、地下鉄が何本も交差するところで、JRでいえば東京駅のような位置づけだ。ところが乗り入れしている地下鉄の路線が多いだけにここは迷路である。半蔵門線と丸の内線の一方の乗り換えは楽なのだが、反対側への乗り換えはどう行けばよいのかまったく見当がつかない。
あるとき東西線を降りてからJRの東京駅に行く方法が分からず、とうとう最後は諦めて地上に出てしまった。ところが出たはいいがどこにいるのか分からない。東京駅が見えるわけもない。地上でギターを弾いていた若い男に東京駅はどっちだと聞いたが、この男も分からない。テッシュ配りのネーチャンに聞いても分からない。警官も近くにいない。もう途方に暮れた。なんとかかんとか新丸ビルまでたどりついた。そこから東京駅が見えたが、今度は地上を行く横断歩道がない。やむなく東京駅の方向をしっかりと記憶して、また地下に潜って東京駅方面に進軍したのであった。まあ、無事にたどり着くことができた。
ラビリンスなんてクレタ島まで行かなくても、大手町の地下にある。
今度から大手町には糸巻きを持って入らねばならない。

しかし牛の化け物に出会っても逃げ方も分からない。
私は決して一般論では語らない。
いえ、簡単なことです。昨日都内某所にお出かけして、地下鉄の駅を出たのはいいのですが全く方向感覚を失ってしまいました。近くの人に聞けばよいものを・・私の性格ですから適当に歩きだしたら、なんと今来た方向に地下鉄ひと駅戻ってしまったというアホな体験をしてしまったのです。
困りました。
都会に出てきたとき、同僚が都内の全駅が載っている小さな本を「これがあれば安心して歩けるよ」と私に薦めてくれました。しかし地下道が二層にも三層にもなっているので、その本を見ても私は迷子になるのでした。

本日の決断
よし!モバイルGPSを買おう
・・でもGPSって地下でも使えるのだろうか?


KY様からお便りを頂きました(09.07.15)
地下道で遭難
このタイトルで思い出しましたが、10年ほど前に東京が豪雨に見舞われたとき、地下街に雨水が多量に流入し、地下駐車場で人が溺死した、という事故を思い出しました。
市街地はどうしてもコンクリートばかりで雨が降っても地面に水がしみこまず、そのまま排水溝に一挙に流入するので下水道の許容量をオーバーしてあふれるのだそうです。このての災害は「地下道で遭難」のパターンとしては最悪のケースでしょう。他にも豪雨時に地下水道でメンテナンス中に一気に流入した雨水に流されて作業員が溺死した、という事故もありました。
まさにコンクリートジャングルならではの事故・災害と言うべきでしょうが、この手の惨劇を防ぐ方策はないものでしょうか?

KY様 毎度ありがとうございます。
それどころではありませんよ!
「人類がいなくなった世界」という本に書いてあったのですが、地下鉄のトンネルは常時染み出てくる地下水を汲みだしているそうです。ですから電気が停まると数日たたずして地下鉄は水の中に沈むそうです。
東京のビルの地下室も同じでしょう。なにせ、丸の内の海抜が10数メートルですから、ビルの地下5階なんていったら海面下でしょう。
そんなことを考えると、北朝鮮は核攻撃するより東京都近辺の送電線を数か所破壊しただけでより簡単に日本崩壊させることができるでしょう。
こんなことなら福島の山奥に住んでいればよかったなあ



銀座で遭難 2009.06.30

先日、東京の地下道はラビリンス(迷路)で迷子になりやすいと語った。
だが、私はそうではないことに気がついた、
東京の地下道が悪いのではなく、私が方向オンチであることが判明したのである。
悪いのは私だ
数日前、所用で銀座に行った。東京駅から銀座は遠くない。目的地が三越の近くと聞いたので歩いていくことにした。まあ、人が多いなあと感心しながら歩いて行ったのだが、三越というものがわからない。
大通りにぶつかったとき歩道の左側にライオンの像があった。
あとでそれが三越だったと思い当った・・・不覚である
まあ、そんなライオンなんぞに興味はない。私はそこを左に曲がりドンドンと歩いて行った。
歌舞伎座というのがあるらしい。きっと立派な建物であろうと思いつつ、それらしいものがない。
とうとう、これはやばいぞ!と思うようになった。
歩道を行き交う人に聞くのははばかられ、お店の人に聞いた。
「銀座の三越はどこですか?」
「アンタネー」店の人は絶句した。
やがて「ここは築地だよ」
私は三越も歌舞伎座も通り過ぎたらしい。下手をすると勝ちどきを通り越し、トリトンを通り過ぎ、トウキョウビッグサイトに行ってしまったのではないかと思った。
私は都会人にはなれない。
え!田舎者にもなれませんか?

一応、グーグルから印刷した地図は持っていったのですが・・



木下様からお便りを頂きました(09.07.01)
迷子
はあ、銀座で迷子になられましたか・・・。私は歩いて東京駅に行けないこともない所に住んでいますが、そこここに地図が設置されていたと思います。私も運動のために歩いていて自分が何処にいるのかわからなくなると探します。なかなか便利ですよ。

木下様 毎度ありがとうございます。
都会は見通しが悪いので迷いやすいのです。
東京タワーが見えるとか、山が見えればそれを目安に歩けるのですが・・ビルの谷間ですから、ビルの看板を見てどこにいるかを推し量らねばなりません。
地図があるといいますが、地下鉄の駅の出口とかでしか見たことがありません。
・・あるいは私の目に入らないのでしょうか?

あらま様からお便りを頂きました(09.07.01)
直角
佐為さま あらまです
どうやら「街」に住む人は、曲がるということは「直角」に曲がるという認識を加えてしまうようです。
つまり、角度に関係なく、左、次は 右、といった具合に曲がると、人間って言うものは、最初に向いている方向に戻ったと思い込むそうです。
それを繰り返すものですから、終いにはとんでもない方向とに勘違いするそうです。
その点、アフリカの土人は、そもそも道なんてものがないのですから、曲がる = 直角 という概念がないものですから、常に、太陽の位置を見ながら進むので、迷子になることは少ないそうです。
ところが、ジャングルに入ると、太陽を見失うので、迷子になりやすいそうですよ。
コンクリート・ジャングルに住む都会の人は大変ですね。

あらま様 私を理解してくれる人がいてうれしい。
そうなんです、曲がるということは普通90度だと思いますよね。ところが実際には斜めだったり、あるいはまっすぐ歩いているつもりが道がくねっていたりして、いつのまにか90度くらい実際と感覚がずれていることがあるのです。
そうです!
私は悪くない! 悪いのは道路なのです。


ある大学生様からお便りを頂きました(09.07.02)
お久しぶりですが
東京のコンクリートジャングルと迷路な道路と地下に悩まされるのは世代も関係ないようです。私もたまに自分がいる場所が分からなくなって携帯のナビ機能を開きます。

・・・妹は京都に行ったので道が非常にわかりやすい上にビルも高くないそうでうらやましい。ただバスシステムが複雑怪奇だそうで本人は嫌がっています。

ある大学生様 ご無沙汰しております。
携帯のナビ機能! そんなものがありましたか!
私も携帯を持っていますけど、知らんかった。
京都と東京では都市の規模が違いますよ。人口がケタ違いですからね。
ともかく銀座で遭難しないよう頑張ります!


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