腕時計年代記

2016.12.19
🕛 街で何時だろうと左手首をみて、腕時計をしていないことに気が付いて書いた短文。

腕時計が壊れたらしい。動かないわけじゃないが、だんだんとずれが大きくなってきた。今どきの時計はクオーツだから一日何秒も狂わないが、毎日30秒くらい遅れるようになった。
さて、新しいものを買おうか、それとももう腕時計はいらないかと考えていると、妄想が・・・

🕐 初代
私が腕時計をしたのは高校を出て会社に入り、初めてのボーナスのときだ。1960年代当時は今と違い、セキュリティそれおいしいの?っていう塩梅で、業者でもなんでも会社の中に入って来て物を売ったりラーメンの出前に来ていた。
ボーナス時期になるといろいろな物売り、指輪とか腕時計とか高額なものの行商(?)が入ってきた。
私はそのときまで腕時計というものを持っておらず、そういう一人に声をかけてサンプルを見せてもらった。しっかりしたアタッシュケースに腕時計を100個くらい入れてきていて、中から手ごろなのをいくつか出して見せてくれた。
今でも覚えているが最初のボーナスは1万2千円だった。ボーナスと同額の1万2千円というセイコーファイブというものを買った。日付と曜日付きで自動巻きのステンレスバンドである。初めての腕時計、うれしかったね。1960年代末の物価指数から推定すると今の3万くらいに相当するが、今年の高卒の初ボーナスは7万7千とのこと。まあ大金だ。
これはけっこう丈夫で壊れずに何年も使った。

🕑 二代目
私が結婚したのは1975年である。結婚してまもなく腕時計が動かなくなった。家内が好きなものを買えというので、ずっと欲しかったダイバーウオッチを買った。お値段は3万くらいだったと思う。泳げもせず海に行くこともなかったのだが、かっこいいのが欲しかった。子供も生まれプールなどに連れていくこともあったのでまあ防水の意味はあっただろう。
本体は頑丈ではあったがゴムバンドが1年半とか2年もするとヒビが入って切れてしまう。二度ほどバンドを交換したが、同じことの繰り返し。もうだめと判断して新しいのを探した。
当時既にクオーツ腕時計はあった。クオーツは秒針が1秒1秒動くのがカッコよかったが、高額でとても私には買えなかった。

🕒 三代目
ちょうどその頃、デジタル腕時計が現れた。山口百恵が「デジタルのカシオ」なんて宣伝してたのは1980年である。
今はデジタルは安物というイメージがあるが、当時は高額だった。だがメカ部分がないためか、デジタル時計はクオーツのアナログ時計よりは安かった。新しい物好きの私は一番安いデジタル腕時計を買った。それでも5万近くしたと思う。
ただデジタルは使いにくいんですよね。人間の頭はアナログなので表示盤もアナログの方が良い。それに当時のデジタル時計は発展途上だったらしく、液晶が数年で真っ黒になりました。ご臨終です。

🕓 四代目
1985年頃でしょうか。その頃になると腕時計はアナログでもクオーツが当たり前になりました。再び針式に戻ってスピリットというブランドを買いました。5万くらいでした。そのときは日付も曜日も秒針もないものにしました。というのはバイクで通勤していたので時刻表を気にすることもなく、どうせ1週間に7日会社に行くのだから曜日も気にしない、余計なものがないほうがいいというのがその理由です。まあ人間日常生活によって必要なものが決まるわけです。
当時の腕時計って壊れないんですねえ。その時計を10年以上使ったと思います。電池は2年くらいで交換しなければなりませんので、何度も電池交換した記憶があります。

🕔 五代目
2002年に私は都会に出てきた。出張も多くなったし電車に乗ることが日常となった。それに今まで使っていたものは傷だらけで、もう引退していただいても良いだろうと思った。
ということで今回もスピリットで日付、曜日、秒針のあるものを買いました。お値段が3万5千円だったのを覚えています。

🕕 六代目
まあそれを使っておりましたが5・6年後のあるとき、出張先で電車に乗り遅れてしまったのです。なぜかというと電池がなくなってきて時計が遅れてしまったんですね。クオーツは電池がなくなってくると秒針が2秒ごとに進むようになるはずなんですが、そうなりませんでした。電池交換する時間ももったいないと出張先で手ごろなものを買いました。私は貧乏人ですから、予定していないでそれほど高額なものを買ったのは初めてでした。それは日付も曜日もないものですが、代わりに電波で時刻が合うというものでした。それを見たときは素敵だと思ったのですが・・・
実際に使っているとマンションとかビルの中では電波がさえぎられて自動で時間が合わないんです。合わせるためにはベランダに一晩出しておかないとならないというシロモノ。あまりうれしくありません。

🕖 七代目
とはいえ私は貧しいですから、それをずっと使っていました。定年退職してからもですから、7年くらい使ったはずです。あるとき電池が切れて動かなくなりました。時計屋に電池交換を頼もうと行きました。当然店内にはたくさんの時計があるわけですが、4000円とかだせばまっとうに見えるものがあるわけです。電池交換しても3000円くらいします。
どこでも「電池交換1000円」なんて看板出していますが、15気圧防水とかになると3000円くらい取られます。
かかる金が同じなら安物でもいいから新しいものを買おうかと気が変わり、8000円のLENEOというブランドのものを買いました。ソーラーなんで電池交換が要らないと言います。
電波による時刻修正はありませんが、月10秒くらいの誤差ですからまあ実用上は十分でしょう。なによりも値段がお手頃

🕗 そして今
それから4年、冒頭に書きましたようになんか最近誤差が大きくなってきました。実を言って先日一度止まってしまったのです。よくある方法ですがショックを与えたらまた動き出して今に至るのですが、そのうちまた止まるのかも?
ということで現在どうしようかと考え中です。私は出歩くときいつもスマホを持ち歩いています。スマホには電波時計が付いています。それに駅でも街でもどこにでも時計はあります。時計が見当たらないなら通りすがりの人に聞けばいい。もちろん家の中にいるときはパソコンをいじってますからタスクバーには常に日付と時間が表示されています。私の場合インターネット常時接続ですから標準時にあっています。
となるともう腕時計を買うことはないかもしれません。
実はまた別件ですが、万歩計が壊れたようなのです。今は腕時計に万歩計がついていたり、万歩計に時計が付いていたりしますので、腕時計と万歩計のふたつを持ち歩くということもなさそうです。
実を言ってここ数日、腕時計をしない暮らしをしているのですがこれが快適です。手首が軽いってこれほど楽なのかと驚きます。
女性が、いや最近は男性もブレスレットをする人が多いですが、なんでわざわざ煩わしいものを身に着けるのか不思議です。

どんなものでも必要なら買う、不要なら買わないということは当然だろう。現代は新しいツールがドンドンと現れている。スマホが電話、デジカメ、テレビ、時計、ボイスレコーダー、ミュージックプレイヤーなんでも叶えるなら他に何もいらないじゃないか
時計というしろものはもはや進化しつくしたようで、20年位前に逆行というか高級機械式時計が流行ったり、最近では10万年の誤差が1秒なんてのが現れたり、まあいろいろあるけれど腕時計の売り上げは減少傾向だそうだ。
マンモス狩り ところで10万年で誤差が1秒という時計はどんな人が使うのだろう。
今から10万年前というと、ネアンデルタール人がマンモスを追っていたんじゃないか。10万年後は化石燃料はとうになく、弓矢で獣を追いかける人間の子孫が1秒2秒気にするとは思えない。
おっと、10万年に1秒しか狂わないというのは、10万年動くということではないのか
参考までに: ソーラー発電の場合、発電素子の寿命、それを充電する充電池、定電圧回路など寿命があり永遠に使えるわけではない。一般的に充電池は内部抵抗の増加などがあり2016年時点5年程度で一番短い。そしてソーラー腕時計の充電池交換は一般のクォーツ時計の電池交換より高くしかも時計屋ではできないそうだ。
となると・・・ソーラー腕時計というのは一般クォーツよりも電池が2倍程度長持ちというだけのメリットしかない。10万年を心配することはなさそうだ。

🕘 ところで
私がいままでの生涯で腕時計に費やしたお金は電池やバンド交換を含めると20数万になる。もちろん高級な時計をしている人なら1個でそれを上回るでしょう。
ともかく私の場合、年間5000円、1日当たり14円、腕時計代がかかっていたわけです。1日14回時計を見るとして、時間を知るために1回1円かけていることになります。ロレックスなんてしている人は1回につき20円くらいかかるわけで、そう思うとョっとしますね。
高級腕時計をするのも拡張自我とか気分がいいとはいっても、単に時間を知るために大金を使うのもどうなんでしょうか?
腕時計をしないのが一番かな?

🕙 本日のまとめ
振り返ってみると、私が過去に使用した腕時計はまさにそのときそのときのティピカルな安物であった。私は大衆の一人というか特徴のない貧乏人である。


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